第77回東葛駅伝、始まる ― 74校の夢をつなぐ31kmのたすき
「中学生の箱根駅伝」として長い歴史を持つ、東葛飾地方中学校駅伝競走大会(東葛駅伝)が、2025年10月18日に開催されます。
本大会は千葉県北西部の6市から70校以上、今年は74校が参戦するという、この地域独自で最大規模の中学生駅伝大会です。
総距離31キロ、一般公道を駆け抜けながらたすきをつなぐこの大会は、地域住民や学校関係者の期待と熱意が込められています。
東葛駅伝とは ― 「中学生の箱根」、地域と歴史の誇り
東葛駅伝は、1948年に第1回大会が開催されて以来、70年以上続く伝統ある大会です。
毎年10月中旬、東葛地方の公道を封鎖して実施されるレースは、「中学生の箱根駅伝」と称されるほど、児童生徒のみならず地域でも親しまれてきました。
各校の陸上部員だけでなく、部活動未経験の生徒も参加していることが特徴であり、単なる競技大会だけでなく、「仲間への思い」「学校の誇り」を胸にコースを疾走する姿が感動を呼びます。
今年注目される関宿中学校 ― 3年ぶり「最下位脱出」へ
その中でも、今年特に注目されているのが野田市立関宿中学校です。
関宿中は、参加校のなかでも最小規模、生徒数わずか57人という小さな学校です。
駅伝練習に励む選手はわずか27人。
多くの大規模校が人数・練習環境に恵まれる中、「今年こそ最下位脱出」を合言葉に、3年ぶりの悲願達成へ向けて日々努力を積み重ねてきました。
残暑が残る9月初旬、関宿中の校庭では、全学年が励まし合いながら「1周200m × 15周」のメニューに汗を流していました。
駅伝経験が少ない生徒や、走ることが苦手な生徒も混じるなか、互いに声を掛け合い、助け合う姿が印象的です。
週に4回、始業前や放課後、そして週末には自主練習を行う生徒も。
8月の合宿では、上位10人の2000メートル走タイムが昨年より10分近く向上し、選手たちの成長が数字でも表れています。
関宿中の挑戦、ひたむきな生徒たち
今年のレース、1区を走る横内翔さん(3年)は、「昨年は自分の番から最下位だった。今年は中位に食い込みたい」と強い決意で臨みます。
2区を受け持つ主将の藤久龍晴さん(2年)も、「少しでも順位を上げたい」と、何度も2000メートルの自主練習を重ねてきました。
顧問の実方和也先生は、「1区から3区がポイント。どこまで粘れるかが勝負」と大会展望を語る一方で、順位以上に「やり遂げた達成感」を大切にしてほしいと話します。
- 「駅伝の魅力は、完走後の達成感。順位ではなく、困難の先に得られる充実感と仲間との絆を味わってほしい」
- 地域の歴史や人口減少という困難にも負けず、毎年たすきをつなぎ続けてきた関宿中。「駅伝をやってよかった、走るのが好き」と思ってもらうことが何よりの願い、と先生は語ります。
地域の誇り ― 「夢と感動」が会場を包む
東葛駅伝は、地域の伝統・誇り・感動を存分に感じられる行事です。
選手や学校関係者のみならず、地域住民、地元企業、PTAも一丸となってサポートに動き、当日は沿道に多くの応援が詰めかけます。
また、今年は「東葛駅伝特集」とステッカーが会場で販売され、大会の様子や過去のエピソードをまとめた紙面は、楽天市場などのネット通販でも広く販売されるなど、地域外からも大きな関心が寄せられています。
- 大会の公式グッズや特集紙面は、会場購入ができない人もネット通販で手にすることができます。
- 過去の感動エピソードや、各校のレポート、小さな学校の奮闘記などが多数掲載され、観戦者・関係者にとって大きな記念となる取り組みです。
駅伝が生み出すもの ― 「記録」だけじゃない「記憶」と「成長」
駅伝は単なるタイム争いや順位争いに止まりません。
毎日繰り返される地道なトレーニング、仲間と励まし合う努力、限界を超えようと挑戦する心、そして一つのたすきに込められた「思い」こそが、この大会の最大の魅力です。
昨今、競技人口や地方部の生徒数減少が課題となる一方で、こうした「小さな学校が大きな目標」に挑戦する姿勢や、地域とのつながりは、地域の未来・子どもたちの人間的成長にも大きな力となっています。
応援とエール ― 未来へつなぐたすき
関宿中のみならず、各校・各地域の強みと個性がぶつかり合い、毎年予想を超えるドラマが生まれています。
「勝ち負け」よりも「一生の思い出」、「順位」よりも「全力で走り抜けた自信」。
応援する私たちもまた、子どもたちの努力と真剣な姿に大きな力をもらいます。
- 東葛駅伝は、走った選手や関係者、地域のみんなに「夢」「勇気」「感動」を届け続けています。
- これからもずっと地域に根ざした「中学生の箱根駅伝」であり続けて欲しいと、多くの人が願っています。
まとめ ― 東葛駅伝が育む「心」と「つながり」
今年も、東葛駅伝は「つなぐ」「励ます」「高め合う」スポーツとして、地域の誇りを表現し続けています。
コースを駆け抜けるすべての生徒たちが、たすきを最後までしっかり握りしめ、それぞれの目標と仲間の思いを胸に、「ゴール、その先」まで走り抜けることでしょう。