大きな話題の2つの彗星:彗星イベントの最新ニュースまとめ
2025年10月、宇宙ファンの間で大きな話題になっているのが、太陽系を通過中の〈2つの明るい緑色彗星〉と、〈恒星間天体3I/ATLAS(スリーアイ・アトラス)〉です。それぞれの天体は、天文学的にも非常に珍しい特徴を持っており、専門家やメディアの注目を集めています。今、私たちはどんな「宇宙のイベント」に立ち会っているのか、詳しく解説します。
2つの明るい緑色彗星が接近! 双頭のファイアーボール現象とは
まず一つ目は〈2つの明るい緑色彗星が地球に接近している〉という話題です。通常、彗星が地球に近づくことは毎年ありますが、今回は「2つ同時」かつ「明るい緑色」という点が非常に珍しいとされています。
なぜ「緑色」に見えるかというと、彗星の尾を作る物質に原因があります。彗星は「氷」(水氷やドライアイス)と「塵」で構成されており、太陽に近づくとこれらが蒸発。すると、炭素分子(C₂)やシアン(CN)といったガスが発生し、宇宙空間で特別な色(緑色)として光るのです。この現象は「コマ」と呼ばれる彗星の頭部で特に目立ちます。
「2つ同時」という点はさらに希少です。彗星の軌道はそれぞれ異なり、たまたま同じ時期に地球近くを通過することは、天文学的には極めて稀な出来事。実際、双眼鏡や小型望遠鏡でも観察できる明るさということで、世界中の天文ファンが観望会やSNSで盛り上がっているのです。
この2つの彗星は、どちらも地球に衝突するリスクはゼロ。安全な距離を保ちながら通過するため、安心して観察することができます。
NASA機密文書流出? 「3I/ATLASはエイリアン探査機」説の真偽
もう一つ、大きな注目を集めているのが〈3I/ATLAS(C/2025 N1)〉という天体です。この天体は、2017年の「オウムアムア」、2019年の「ボリソフ」に続き、史上3例目となる「太陽系外からやってきた恒星間天体」とされています。
3I/ATLASは2025年7月1日にチリのATLAS望遠鏡によって発見されました。発見後に軌道解析が進み、太陽に束縛されない「双曲線軌道」を描いていることが判明。つまり、太陽系の外から飛来し、再び太陽系を離れていく「宇宙の旅人」であることが確定しています。
この天体に関して、非常に興味深い説が浮上しています。ハーバード大学のアヴィ・ローブ博士が「3I/ATLASには、エイリアン文明が作った探査機や人工物の可能性がある」と示唆したのです。ローブ博士は、この天体の軌道が「金星」「火星」「木星」の軌道に異常なまでに揃っていること、またランダムな天体がこのような軌道を描く確率は0.005%しかない――つまり、設計された軌道ではないかと考えたわけです。
実際、3I/ATLASの直径は0.32~5.6キロメートル(最有力は1km未満)と推定されています。当初は彗星活動の兆候がほとんどなく、人工物説が話題となりましたが、その後ジェミニ南天文台やNASAの観測で「氷」や「水蒸気」などの揮発性成分が検出され、現在では「活発な彗星」であることがほぼ確定しています。
こうした背景から、「NASAや政府が『3I/ATLASはエイリアン探査機』という事実を隠しているのではないか?」「機密文書が流出した」といった噂がSNSや一部メディアを賑わせています。しかし、NASA公式サイトでは「3I/ATLASは彗星」と明記していることから、現時点で人工物説を支持する公式見解は存在しません。
科学界では、ローブ博士の「探査機説」も決して非科学的な妄想ではなく、SETI(地球外知的生命探査)プロジェクトの一環として検討されるべき仮説とされています。人類自身も、ボイジャーやパイオニア探査機を太陽系外に向けて打ち上げているわけですから、高度文明が他星系へ探査機を送り込む可能性はゼロではありません。
とはいえ現段階で、明確な証拠や根拠が示されているわけではなく、3I/ATLASは「珍しい恒星間彗星」と見なすのが妥当でしょう。今後も各国の天文台や探査機による詳細観測が続き、謎の解明が待たれます。
観測の楽しみ方と注意点
こうした天体イベントを楽しみたい方へ、いくつかのポイントをまとめます。
- 観測場所:2つの緑色彗星は都市部でも比較的見やすい明るさですが、なるべく空が暗い場所を選びましょう。
- 観測時間:天体の正確な位置や見頃は天文学の専門サイトやアプリでチェックしてください。3I/ATLASは肉眼では見えませんが、火星探査機の観測データが今後公開される予定です。
- 写真撮影:スマートフォンやデジタルカメラでも、三脚を使って長時間露光すれば尾を捉えた写真が撮れるかもしれません。
- 情報の信頼性:SNSや一部メディアでは「エイリアン説」「NASAの陰謀説」など刺激的な情報が流れがちですが、信頼できる科学機関の発表をチェックしましょう。
まとめ
2025年秋、私たちは太陽系を舞台にした壮大な天文ショーを目の当たりにしています。身近で見られる「2つの緑色彗星」と、天文学の最前線で議論を呼ぶ「3I/ATLAS」――どちらも宇宙の神秘を感じさせてくれる事件です。
天文学の進歩により、太陽系外から飛来する天体の発見が今後も増えるかもしれません。しかし、未知のものを見つけたときに「科学的検証」と「想像力」をバランス良く使うことが、宇宙の謎に迫る第一歩だと言えるでしょう。
主な固有名詞まとめ
- 3I/ATLAS(C/2025 N1):2025年7月に発見された恒星間彗星
- ATLAS望遠鏡(チリ):3I/ATLASを発見した望遠鏡
- アヴィ・ローブ博士(ハーバード大学):3I/ATLASの人工物説で有名な物理学者
- SETI(地球外知的生命探査):地球外文明の探索プロジェクト