データセクション、東急不動産とAIデータセンター事業で提携 〜北海道発、環境配慮型AIインフラの最前線〜

はじめに

2025年10月8日、データセクション株式会社東急不動産株式会社は、「AIデータセンター事業における包括的業務提携に向けた覚書」を締結しました。この提携は、今後のAI社会を支える基盤として大きく注目されています。特に、環境課題の解決北海道の地理的特性を活かした再生可能エネルギーの活用が、大きなキーワードとなっています。

データセンター需要の背景と現状

近年、AI技術の急速な進化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、そしてIoTの普及により、世界中でデータ量が爆発的に増大しています。その裏側で、AIモデルの大規模化や高度化による学習・推論の計算資源の需要が急増し、データセンター(DC)の電力消費や環境負荷が今まで以上に大きな社会課題となっています。特に生成AIでは、モデルの学習や運用に膨大な電力が必要とされ、世界のDCが消費する電力量は、2022年時点で世界全体の約1.5%に達し、2030年には3%超への拡大が確実視されています。

  • AI・DX需要によりデータセンターの増設が国際的急務に
  • 電力消費と脱炭素社会の両立という新たな課題
  • AIクラウド、GPUクラスターの最適運用技術の必要性

今回の提携のポイント

  • エネルギー問題解決への挑戦
    データセクションと東急不動産は、AIおよびDX社会で直面する
    電力需要増大と環境負荷の課題に取り組みます。共に再生可能エネルギーをベースとした次世代AIデータセンターの開発と運用を目指しています。
  • 北海道・石狩再エネデータセンターの活用
    今回の連携において、「石狩再エネデータセンター第1号」を活用し、AIインフラ構築を推進します。北海道は再生可能エネルギーの供給環境が良好で、広大な用地や冷涼な気候による安定運用にも適しています。
  • データセクションの技術力
    同社は、高性能GPUサーバー調達力とAIワークロード向け大型GPUクラスターの最適化アルゴリズム「TAIZA」を開発・運用し、多種多様なAIモデルやAPI連携、プライベートクラウドの運用に強みを持っています。
  • 東急不動産のビジョン
    「WE ARE GREEN」のスローガンに基づき、環境経営とDXの融合を目指し、日本発の環境配慮型AIインフラのグローバル基準の確立、持続可能なデジタル社会実現への貢献に取り組みます。

北海道がAIデータセンター拠点として注目される理由

  • 再生可能エネルギーの恵み
    北海道は風力や太陽光など再生可能エネルギー資源が豊富です。特に道内では、「再エネ100%」運用が急速に拡大し、脱炭素化を進める企業の誘致が進みつつあります。データセンター拠点としての施設立地が年々拡大している背景には、環境負荷低減への社会的要請の高まりがあります。
  • 低温・安定運用のメリット
    北海道の冷涼な気候はデータセンター運用時の冷却コスト削減にも大きく寄与します。これらの特徴が、AI時代のインフラとしての選択肢を広げています。

提携に対する各社コメント

  • データセクション株式会社
    代表取締役社長執行役員CEO 石原紀彦氏

    「生成AIの発展は社会の創造性を著しく高めますが、一方で膨大な計算資源とエネルギーが必要です。今回の東急不動産との連携を通じて、再生可能エネルギー100%で運用する“環境負荷を最小化したAIインフラ”を北海道・石狩から実現できるのは非常に大きな意義があります。日本発のAIクラウドであるTAIZAの運用で、世界をリードし国内企業の成長を支えていきます。」
  • 東急不動産株式会社
    取締役常務執行役員 インフラ・インダストリー事業ユニット長 兼 環境エネルギー事業本部長 西田恵介氏

    「デジタル社会の進展とAI・DX需要でデータセンターの電力消費量増加は避けられません。当社は環境経営とDXの融合によって課題解決に挑みます。データセクションとの提携で、再生可能エネルギー100%データセンターを通じ、日本発の環境配慮型AIインフラのグローバルスタンダード確立と持続可能なデジタル社会の実現に貢献して参ります。」

AI時代のデータセンターが担う新たな役割

AIブーム本格化以降、データセンターは単なる「データ保管庫」から「超大量計算・AI学習インフラ」に役割を拡張しています。大量GPUクラスターを用いたAIモデル訓練やリアルタイム推論が求められ、計算力=競争力の時代になりました。そのため、“Compute as a Utility”(演算力の公共事業化)という新しい社会インフラ観が根付いてきています。

  • AI関連サービスの継続的な高負荷対応
  • 低炭素化・安定供給による社会的信頼性向上
  • 地域分散配置で災害リスク分散とレイテンシ低減

電力会社・不動産会社の新たな競争と協調

過去は「発電」「送電」「小売り」で区切られてきた電力会社が、AI・データセンター事業というデジタルインフラ事業者へ変貌しつつあります。同時に、不動産会社もデータセンター施設の新規開発・運用で存在感を増しています。こうした業種横断的な連携は、社会のデジタル基盤を下支えする重要な潮流です。

まとめ:持続可能なAI社会への歩み

AI時代のイノベーションと社会的責務が交差する地点で、今回のデータセクションと東急不動産の協業は大きな一歩です。北海道・石狩市をはじめとした地方創生とも連動し、「環境に優しいAIクラウドインフラ」から日本発の新たなデジタル社会像が描かれています。

  • 再エネ100%データセンターの推進
  • AIを支える技術基盤の強化と発展
  • 企業・自治体・地域社会の新たな共生モデル

今後も両社は「持続可能な社会インフラ」の実現に向けて連携し、時代の要求に応えていきます。

参考元