公明党連立離脱で混迷する政局、辻元清美氏が語る連立政権の在り方

公明党が連立政権からの離脱を決定したことで、日本の政局は大きな転換点を迎えています。この混沌とした状況の中、立憲民主党の辻元清美参院議員が文化放送の番組に出演し、今後の政権運営について注目を集める発言を行いました。

野党連立政権への現実的な道筋

辻元氏は10月14日放送の文化放送「長野智子アップデート」に出演し、立憲民主党の安住淳幹事長が提案した「首相指名選挙で国民民主党・玉木雄一郎代表の名前を書く」という案について、リスナーから賛否を問われました。これに対して辻元氏は「まとまるのならね」と即答し、連立政権樹立への前向きな姿勢を示しました。

現在の国会勢力図を見ると、公明党の連立離脱により、立憲民主党と日本維新の会、国民民主党の衆院会派が一本化すれば計210議席となり、自民党会派の196議席を上回ることになります。このため、野党による政権交代の可能性が現実味を帯びてきているのです。

辻元氏が語る連立政権の経験

辻元氏は連立政権について豊富な経験を持っています。同氏は「私は29年前の初当選は自民党、社民党、さきがけの…国民民主党よりもっと離れている自民党と一緒にやってましたものでね」と、1996年の初当選時が自社さ連立政権の時代だったことを振り返りました。その後も民主党と国民新党と社民党の連立政権でも交渉を担当した経験があります。

多党化時代における政権運営の知恵

辻元氏は現在の日本政治について、重要な指摘を行いました。「これからはどの政党も1党で政権が担えない、連立時代、多党化時代に入ったわけです」と述べ、今後の政治の在り方について明確なビジョンを示しています。

その上で、連立政権では「よりマシな政権を選ぶということの競争になる」とし、さらに率直に「よりマシというかもっとドラスティックに言ったらより悪くない方を選ぶ」と説明しました。これは理想論ではなく、現実的な政治判断の必要性を訴えるものです。

政策の「やること」と「やらないこと」を明確に

連立政権を運営する上での具体的な手法について、辻元氏は自社さ連立政権時代の経験を例に挙げました。当時、自民党は憲法改正を党是としていましたが、社民党と組むためにこれを棚上げしたといいます。

辻元氏は「自民党は凄く知恵があって、当時、この政権でやることとやらないことを決めた」と振り返り、各党が100%の主張を通そうとすると政権が組めなくなるため、「お互いに我慢するところは我慢しながら、しかし『これとこれとこれはこの政権でやりましょう』ということを決めて組み合わせを作っていく」ことが重要だと説明しました。

玉木代表への助言とメッセージ

国民民主党の玉木雄一郎代表は、安全保障やエネルギー政策の一致を連立の条件として要求しています。これに対して辻元氏は「あんまり連立交渉したことないからね、玉木さん」と笑いながら指摘しました。

辻元氏は玉木代表が「民主党政権の失敗を2度とやってはいけない」として、基本政策の一致を重視していることについても言及しました。民主党政権時代を振り返り、「今、自民党以外で政権を担えるっていうと…私も総理補佐官として官邸にいたりだとか、野田さんは総理大臣やったことあるから明日行っても、枝野さんは東日本大震災の時に官房長官やってるから。玉木さんはその時は若手だった」と述べ、経験豊富なメンバーでサポート体制を組める可能性を示唆しました。

失敗から学ぶ姿勢の重要性

民主党政権は3年3カ月で終わり、多くの批判を受けました。しかし辻元氏は「失敗から人って学ぶじゃない?だからいつまでも民主党時代のバラバラだとかっていうのは捨ててもらった方がいいと思う」と前向きな見解を示しました。

さらに「あれで自分たちが政権を失ったというところから私たちは出発しているので、やっぱり学んでいるわけ」と強調し、過去の経験を活かした新しい連立政権の可能性を訴えました。そして玉木代表に対して、「やるんだったら私はちゃんと支えるわよ!」と笑いながらメッセージを送りました。

短期集中型政権運営の提案

辻元氏は今回の連立政権について、具体的な運営期間についても言及しました。減税と政治改革といった目的を決めて連立政権を運営する方法について、「2年かからないですよ。これをやったら解散する、もう一度国民に選んでもらおうじゃないかっていう」と述べています。

物価高対策や政治改革は早急に決着を付けなければ政治を前に進めることができないという認識のもと、短期集中型で課題に取り組む政権運営を提案しました。これは長期政権を目指すのではなく、明確な目標を定めて実行し、その後は再び国民の審判を仰ぐという、透明性の高い政治手法といえます。

公明党代表も首相候補の選択肢に

さらに注目すべきは、辻元氏が公明党の斉藤鉄夫代表についても、立憲民主党の野田佳彦代表や国民民主党の玉木雄一郎代表と並んで「首相指名候補の一人」として言及していることです。これは連立離脱を決めた公明党に対しても、柔軟な連携の可能性を示唆するものといえます。

新しい政治の時代へ

辻元氏の一連の発言は、日本の政治が新しい局面に入ったことを示しています。一党優位の政治から多党化時代へと移行する中で、各政党が互いの違いを認めながらも、「どういう配置でどういうバランスを取ってやっていくのかっていうのが政治」という現実的な視点が求められています。

公明党の連立離脱という大きな政治的転換点において、辻元氏が示した連立政権運営の具体的な知恵と経験は、今後の政局を占う上で重要な示唆を与えるものとなっています。政策の優先順位を明確にし、互いに譲れる部分と譲れない部分を整理した上で、国民のために何ができるかを最優先に考える政治姿勢が、これからの日本政治には求められているのです。

参考元