新型潜水艦「そうげい」進水式──海中を舞う“青いクジラ”誕生の瞬間

待望の新型潜水艦、「そうげい」とは?

2025年10月14日、川崎重工業神戸工場(神戸市)で大勢の関係者や市民が見守る中、海上自衛隊向け新型潜水艦「そうげい」の命名・進水式が厳かに執り行われました。
「そうげい」は、“青いクジラ”を意味する造語「蒼鯨(そうげい)」に由来し、戦後32隻目の自衛隊潜水艦となります。
最新型である「たいげい」型潜水艦の第6番艦として、2027年3月の就役が予定されています。

進水式の現場──期待と緊張が交錯する瞬間

進水式には防衛省関係者や川崎重工業の職員、報道陣約1400人が参加し、歴史的な船の誕生を見届けました。
新艦の艦尾が静かに水面に滑り込む様子は、傍で見守る人々に深い感動を与えました。
この進水式は、単なる儀式以上の意味を持ち、自衛隊の防衛力強化、とりわけ潜水艦技術の発展を象徴しています。

そうげいのスペック紹介──最新技術の結集

  • 全長: 84メートル
  • 全幅: 9.1メートル
  • 基準排水量: 約3,000トン
  • 乗員数: 約70人
  • 建造費: 約736億円

この「そうげい」は、従来の「そうりゅう」型を上回る性能を持たせるために、新型ディーゼルエンジンリチウムイオン電池を搭載しています。
これらの技術は、潜航時間の延長だけでなく、静粛性や安全性の向上、さらに従来の潜水艦よりも高い持続力と隠密性を実現しています。

「たいげい」型との関係──潜水艦開発の歴史的蓄積

「そうげい」は「たいげい」型潜水艦の6番艦に位置付けられ、2022年に就役した「たいげい」から続くシリーズです。
「たいげい」型は、日本独自に開発された高性能型潜水艦として知られ、最新の技術とノウハウが詰め込まれています。
海上自衛隊の潜水艦としては通算32隻目となり、日本の潜水艦建造技術の高さを世界に知らしめる存在となっています。

建造の意義──防衛力強化と日本の造船技術の粋

「そうげい」の建造は、安全保障環境が大きく変化する中、海上防衛力の強化と、日本の造船・海洋技術の発展に寄与しています。
川崎重工業が長年培ってきた技術力により、世界でも有数の性能を誇る新型潜水艦が誕生したことは、日本の産業界全体の誇りです。
進水式に出席した防衛省の担当者は、「今後の平和と安全に貢献する、非常に意義深い一隻だ」と語りました。

環境と社会への配慮──「クジラ」の名前に込められた思い

「そうげい」に込められた“青いクジラ”というイメージには、自然との調和や豊かな海洋環境への配慮も感じられます。
潜水艦は静かに海中を進み、まるで本物のクジラのように、海の生態系や環境への影響を最小限に抑えつつ任務を遂行します。
また、乗員たちは厳しい訓練や任務の中で、生き物としてのクジラの力強さと優しさに学び、士気を高めていきます。

今後の見通し──2027年の就役に向けて

進水式を終えた「そうげい」は、今後数年間にわたり港で最終的な艤装作業や各種試験を受けることになります。
2027年3月の正式就役を目指し、海上自衛隊の潜水艦部隊に加わっていく予定です。
艦隊配備後は、日本の海域防衛はもちろん、国際的な治安維持や海洋安全にも重大な役割を果たすこととなります。

まとめ──国民の安全と平和の海へ

新型潜水艦「そうげい」の誕生は、日本の造船技術の進化、海洋防衛の新しい時代の幕開けを意味しています。
最新鋭技術が凝縮されたこの潜水艦は、乗員約70名と共に、より安全で平和な海を守るために進み続けます。
クジラの名にふさわしい大きな存在感で、未来への信頼と期待を背負い、日本の海を今日も静かに見守ります。

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