ベネッセが従業員の学習データとキャリア自律性を調査――「自発的成長」と「働き方の変化」が企業成長の鍵に

近年、社会の急速な変化や働き方の多様化を背景に、企業と従業員との関係性が大きく変わってきています。特に ベネッセコーポレーション は、社員一人ひとりの「学び」と「自律的なキャリア形成」の関連性を追究する調査・施策に力を入れています。2025年10月には、最新調査結果や人事定点調査の開始など、さまざまなニュースが注目を集めています。

ベネッセ、従業員の学習データとキャリア自律の関連性を調査

ベネッセは、2025年6月25日から7月1日にかけて、同社の従業員464名を対象に「Udemy Business」活用状況と人事関連データの大規模な調査を実施しました。この調査は、2022年3月から2025年3月まで3年間にわたる学習データ(延べ1,107名)のほか、社内の人事施策や残業状況、キャリア面談・DX研修への参加履歴、社内公募への応募状況など、総勢約2,500名分のデータを活用。従業員が自己成長の機会をどのように捉え、キャリア自律にどう繋げているかを丁寧に分析したものです。

  • Udemy Businessとは:世界8,100万人が利用するオンライン学習プラットフォームUdemyの法人向けサービス。AIを活用し、30,000以上の厳選講座が定額で受講可能。ベネッセはUdemy社と2015年より日本独占業務提携。
  • 調査対象者:ベネッセ社員464名(学習データ)、約2,500名(人事施策関連データ)
  • 期間:2022年3月1日~2025年3月1日(学習データ)、2022年4月1日~2025年1月1日(人事施策データ)

この調査では、個人ごとの「学習進捗」と「キャリアへの意識変化」だけでなく、組織全体への波及効果についても多角的に検討されています。実際、知識の共有や活用、そしてリスキリング(新しいスキル習得)の重要性が改めて浮き彫りとなりました

正社員の半数以上がフリーランス転向を「キャリアアップ」と認識する時代

もう一つ、今回話題となっているのは「正社員の働き方意識の変化」です。ベネッセが社内向けにキャリア意識調査を行ったところ、正社員の半数以上が、「フリーランスになること」をキャリアアップと認識していることが明らかになりました

  • 「正社員」という伝統的な雇用形態にこだわらず、自分のスキルや経験を活かして複数の案件や企業で働くこと=キャリアの拡大・選択肢の増加と捉える傾向が強まっています。
  • なぜこの意識変化が起きているのか?デジタル化、リモートワーク推進、プロジェクト型業務の普及による仕事の流動化、ならびに「終身雇用神話」の揺らぎが背景にあります。

従来は昇進や管理職への登用がキャリアアップと見なされてきましたが、現在では「自分らしい働き方」「専門スキルの獲得」「複業・副業での収入アップ」など、多様なキャリアパスの実現を重視する傾向が顕著です。

「飛躍の下期」の鍵は、従業員の自律的成長支援――CANTERA ACADEMY×ベネッセ、人事の定点調査を開始

2025年10月から、ベネッセグループのCANTERA ACADEMYでは、社員のキャリア自律や成長支援を見据えた最新人事調査(定点観測・Vol.4)がスタートしました。これは、従業員の「自律的な成長」に企業がどうコミットするか、その有効性や課題を継続的に追跡・検証するユニークな取り組みです。

  • 定点調査:従業員のキャリア志向、学習意欲、業務成果、学びの活用度合いなどを半期ごとに調査。
  • AIやDX領域のリスキリング支援、キャリア面談の充実など、最新人事施策へのフィードバックに活用。
  • 自律的成長とは?会社からの「指示待ち」でなく、自分自身が「学びたい」「成長したい」と能動的に動き出せる状態。

ベネッセは、従業員一人ひとりの学びや成長の動機を丁寧に掘り下げることで、キャリアアップだけでなく「組織の生産性向上」「企業文化の変革」までを見据えています。学びの成果が定量的にも定性的にも明確化されたことで、「学習意欲の高い社員が集まり、組織が活性化する」「部門横断で知識が共有され、イノベーションが起こる」といったポジティブな波及効果が着実に生まれています

「個人の学び」と「組織成果」の関連性―組織力を強化する新しい人材戦略

2025年春にベネッセと村田製作所が共同で発表した調査でも、従業員の「主体的な学び」を支援することで、組織全体の生産性やイノベーションが向上することが示唆されています

  • 知識の共有(オープンなコミュニケーションと情報分配)
  • 学びの活用(新しいスキルや知識を日常業務で積極的に使う)
  • 心理的安全性(誰もが意見を言いやすい風土づくり)
  • ラーニングカルチャーの醸成(学びが認められ、挑戦が歓迎される企業文化)

これら4つのポイントがそろうことで、社員一人ひとりの自律的な成長が組織全体の成果に繋がり、結果として企業の競争力が高まるという考え方です。

ベネッセの「学び支援」―未来志向の人材育成・企業価値向上への貢献

ベネッセは「一生涯の学びを通して社会と人々の人生が豊かになること」を企業理念に掲げ、オンライン学習プラットフォーム「Udemy Business」を活用した研修・リスキリング、社内公募やキャリア面談、DX関連研修など、社員の自律的キャリア形成を後押ししています

こうした活動の総合的な成果として、「従業員のキャリア満足度」「自社内異動や社内公募への積極的な応募」「学んだスキルの社内展開や副業への発展」など、さまざまな形で個人と組織双方にメリットが生まれています。

変化の時代に企業と個人がともに成長するために

「ビジネス環境の変化とともに、働き方そのものが進化しています。ベネッセの最新調査は、社員一人ひとりの学び・成長・キャリア自律が企業の発展に不可欠であることを改めて示したものです。

  • 社員全員が「自分の学び・キャリアは自分で選べる」という意識を持てる組織づくり。
  • 会社は「学びたい」「成長したい」を支援し、成果を認め合う企業文化の醸成が大切。
  • 正社員・フリーランス・副業・社内公募など、多様な働き方がキャリアパスとなる時代が到来しています。

今後ますます「個人と組織を成長させる学び」が求められる中、ベネッセの取り組みは多くの日本企業にとって参考となるでしょう。

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