連合の今:立憲・国民民主両党との関係と芳野会長体制3期目の課題
2025年10月、労働者の立場を守る日本最大のナショナルセンター「連合」は、芳野友子会長の3期目体制が始まる中、政界再編や野党再編の議論とともに、その動向が強く注目されています。立憲民主党(立憲)と国民民主党(国民)の協調、そして連立拡大の機運低下、さらには国民民主党の連立政権参加に向けた対応など、連合が置かれた状況と今後の課題について、最新ニュースや社説をもとに優しくわかりやすくまとめます。
連合とは――働く人々の拠り所
連合(正式名称:日本労働組合総連合会)は、1989年に結成された日本最大の労働組合中央組織です。正社員、非正規社員、公務員など多様な立場の働く人々の権利の擁護や労働環境の改善を求めて活動しています。主に製造業や公共サービス、流通、電力など幅広い産業の労働組合が加盟し、政策提言や政党への支援、労働環境の改善交渉などを行っています。
- 組合員数:約700万人
- 主要産業ごとの連合体が加盟
- 中立性を保ちつつも、政党との連携が伝統的に強い
連合をとりまく政治的背景
日本では、労働組合が政策を実現するため、ときに特定の政党を支援してきました。連合は特に、立憲民主党や国民民主党と近い関係を持っています。一方で、政権政党である自民党や、連立を組む公明党との関係や距離感も話題になりやすい特徴があります。
2021年の衆院選以降、野党の勢力図には変化があり、最近では国民民主党が自民党との距離を縮めようとする動きが報じられてきました。このなかで、連合のスタンスや働く人々の声が、今後の政治のかじ取り役としてますます注目されています。
ニュース1:連合、立憲・国民両党の協調に期待感
2025年10月、連合は野党第一党である「立憲民主党」と、かつては同じ系譜にあった「国民民主党」との協調関係に期待感を示しています。2021年以降、立憲と国民民主党の路線の違いが広がり、政策協力や選挙協力の分断がたびたび指摘されてきました。
特に国民民主党は、政策ごとに政府与党(自民党・公明党)と連携する場面が増えており、野党間の「共闘路線」から離れる傾向がみられます。しかし、連合は働く人々の利益を最大化するためには、「反自民」の野党再編や政策協力を重視する考えを強めています。連合幹部は『立・国が再び一つのテーブルにつき、労働者や生活者本位の政策実現を』と語っています。
ニュース2:3期目の芳野会長、幅広い結集の軸作りが急務
10月に3期目に入った芳野友子連合会長が、今、特に大きな課題とされるのが「幅広い結集の軸」をどう作るか、という点です。社説などでは、「連合が働く人すべてのためのプラットフォームとして、既存の枠組みを超えて開かれた組織になるべきだ」と指摘されています。
- 多様な働き方への対応――非正規雇用、女性、高齢者、若者へのアプローチ強化
- 組合離れへの危機感――新規組合員の拡大と、組織の求心力強化
- 政策提言の深化――最低賃金、ワークライフバランス、ジェンダー平等など生活に直結した課題への発信力強化
芳野会長はこれまで、女性のリーダーシップ強化や多様性推進を訴え、経済団体や政府関係者とも意見を交わしてきました。しかし、社会の変化にスピーディーに対応するため、連合自体が変化の「軸」となれなければ、今後の求心力を維持するのは難しいという声も上がっています。
ニュース3:国民民主党の連立政権入りに対するけん制
そして最近、最も注目を集めているのが「国民民主党の連立政権入り」に対する連合の姿勢です。読売新聞の報道によれば「芳野会長は、国民民主党が自民・公明両党と『野党連立』の形で政権運営に参画する動きに対して、『容認できない』と強くけん制」しています。つまり、国民民主党が与党よりの姿勢・政策協力を深める場合は、連合の支援自体を見直す可能性もあるとの強いメッセージです。
この背景には、「働く人々の声を代弁する政党が、労働者の利益とかけ離れた政権と同調することへの危機感」があります。実際に、民間企業の組合では政治的なスタンスや方針転換について議論が白熱するケースも増えており、労働組合と政党の「距離感」や「信頼性」があらためて問われています。
立場の異なる政党との距離感――難しいかじ取り
連合は、特定の政党に偏ることなく、働く人みんなのための政策実現を目標にしています。しかし、実際には立憲民主党・国民民主党と近い関係性があります。一方、国民民主党の一部議員や労組には「政府与党とも柔軟に政策を実現すべき」という現実主義的な声もあり、「野党再編」か「連立参加」かという論争が激化しています。
芳野会長ら連合執行部は「中立性」と「現実的な政策推進」の間でかじ取りを迫られており、組合員からの意見集約やガバナンスの難しさを強く感じているといいます。特に、非正規雇用者や新興産業の若い世代など、従来の組合以上に多様な「働き方」や「価値観」が広がるなかで、柔軟な姿勢も求められます。
連合が直面するこれからの課題
- 労働組合組織率の低下――「組合離れ」や若年層の無関心にどう向き合うか
- 女性や若者、非正規雇用者の発言権拡大
- 高齢化・労働力不足社会に対応した政策提案
- デジタル化・リモートワークなど、新しい働き方への柔軟な対応
- 組合員ひとりひとりの声をどこまで政治や社会へ届けられるか
連合は今、「守る」だけでなく「攻める」組合へ、つまり政治や社会をより良く変えるための原動力となる必要があると評価されています。しかし、現実は決して簡単ではありません。たとえば大手製造業と中小零細の組合員では想いもニーズも大きく異なりますし、連合幹部と現場組合員との距離感も長年の課題です。
芳野会長3期目に期待されること
芳野友子会長の3期目に求められているのは「幅広い働き手の多様な声」を束ね、強いリーダーシップで政党や社会との橋渡し役を果たすことです。そして、「どの政党が労働者の暮らしや雇用を守るのか」という観点から、本音で発言し続ける姿勢が社会から期待されています。
実際、芳野会長は連合初の女性トップであり、教育・医療・公共サービス分野への政策提言や、企業との交渉力強化にも実績があります。今後はより一層、組合員のみならず「働くすべての人」に信頼される連合づくり、そして「分断ではなく結集」のリーダーシップが問われます。
まとめ:連合はどこへ向かう?
2025年秋、連合の存在感は日本の政治・社会全体でこれまで以上に大きな重みを持っています。立憲民主党・国民民主党への働きかけや、芳野会長のリーダーシップの行方は、今後の働く人々の生活や雇用に直結するからです。
今の日本社会は多様で、働き方や価値観も複雑化しています。そんな中、連合が「最大公約数」としての役割を果たし、多様な人々の声をまとめ、影響力を発揮できるかどうかが注目されています。芳野体制3期目の連合が、どこまで社会変革をリードできるのか。今後の動向から目が離せません。