揺れる伊東市議会議員選挙――田久保市長の学歴詐称問題、不信任決議と市政の未来を問う

はじめに――いま注目の伊東市議選、その背景

2025年10月12日、静岡県伊東市で議会解散に伴う新たな市議会議員選挙が告示されました。市議選は今、全国から熱い視線を集めています。その理由は、田久保眞紀市長を巡る「学歴詐称」疑惑に端を発した混乱と、市政そのものの信頼が強く問われているからです。今回の選挙は単なる顔ぶれ一新だけでなく、伊東市の民主主義とまちづくりの根幹を問う場となっています

市議選の発端――田久保市長の学歴“詐称疑惑”と不信任決議

田久保市長を巡る問題の発端は2025年春ごろ、市長自身の履歴書に記載された学歴に“事実との齟齬”があるとの告発でした。詳細な調査と議論を経て、伊東市議会は全会一致で田久保市長への不信任決議案を可決。この議決に基づき、田久保市長は議会を解散し、市議会議員選挙の実施を決定するに至りました

市長による解散権行使自体は地方自治法に基づく「法の枠内」の手続きでしたが、自らの疑惑に起因する不信任に対し、いわば“報復的”な意味合いで議会を解散したかのような構図に、市民や有識者から根強い違和感の声が上がっています

過熱する選挙戦――定数20に30人が挑む激戦

今回の市議会議員選挙では定数20議席に対し、前職18名と新人12名、合わせて30人の候補者が名乗りを上げています。期日前投票は告示翌日の13日から始まり、本投票・即日開票は10月19日に行われます

  • 立候補者30人(前職18、新人12)
  • 市内4カ所で期日前投票実施
  • 選挙期間は7日間

多くの候補が市政刷新や「市民本位の政治」を掲げて出馬。各候補陣営は早朝の出陣式から市内各地で支持拡大を図り、「田久保市長支持」か「刷新・改革」かを明確に打ち出しています。

最大の争点——田久保市政の継続か刷新か

選挙戦最大の焦点は「田久保市政の存続・刷新の是非」に絞られています。市民の信頼を失ったとされる市長に、「再び市政を託すべきか」「抜本的な刷新が必要か」という認識が有権者と各候補者の間で交錯しています

  • 地元メディア・記者クラブ合同アンケートによると、30人中24人が「田久保市長を支持しない」と回答。さらに26人が不信任決議案再提出に『賛成』と意思表明しています
  • 「田久保市長のどこが悪いんですか!」と、ただ一人だけ公然と不信任に反対する新人候補もおり、市民の関心が高い中、反市長派と支持派が街頭で激しく論戦を繰り広げています。

もはや実質的には「田久保市長信任・不信任選挙」の様相を呈しています。次期議会での不信任案提出に対し、田久保市長が失職を防ぐには「最低7人の市長派」議員当選が必要ですが、報道各社調査では26人が市長不信任支持とされ「失職は不可避」との見方が大勢を占めています

“市政混乱”の現場――市民の声と民主主義の課題

伊東市の自治と暮らしを担う議会が、市長の個人的疑惑で大混乱に巻き込まれる異例の事態です。有権者の中には「市長の解散権行使は法の範囲内だが、市民の民意を軽視している」、「不祥事による議会解散が続くのであれば、法の再点検が必要」といった声も多く、一つの地方自治体の問題を超えた論点が浮き彫りとなっています

選挙期間中、主要商店街や駅前広場、住宅地など随所で応援演説とビラ配布が行われ、市民グループや有志による公開討論会も実施されました。有権者は、田久保市長を“最後まで守りたい”とする熱心な支持層と、「市政私物化」を厳しく追及する層とに二極分化しています。

各候補者の主張とアンケート結果――田久保支持・不支持の構図

地元メディアと記者クラブの合同アンケート、テレビ特集などで30人の立候補者が政策と立場を表明しています。その中核テーマは「田久保市政を支持しますか?」と「再度不信任案が出た場合、どうしますか?」です

  • 「支持する」「不信任案に反対」:ごく少数(アンケート未回答の新人を含む)
  • 「支持しない」「不信任案に賛成」:圧倒的多数(全ての前職+多くの新人)

候補者たちからは
「市民の信頼が回復できない」
「学歴詐称問題に加え説明責任を果たさない態度が市政不信の根本」
「市長の都合による議会解散は、市民への背信」
といった意見が相次ぎました。一方で、市長派は
「実績や行動力は評価されるべき」「問題はあったが説明は十分」
と訴えを続けています。

市長選出直しの可能性――田久保市長の去就と今後の動向

10月19日の投票・開票で新市議会が発足すると、直ちに田久保市長に対する新たな不信任決議案が提出される考えです。市長が失職すれば「出直し市長選」に出馬する構えを田久保市長自身が明言していますが、その道のりは極めて厳しい状況と報じられています

選挙が問うもの――政治倫理と地方自治の未来

今回の伊東市議選は、地方政治における「首長の不祥事」と「議会解散」をどう考えるか、そして市民の代表をどのように選び、信頼を築くべきか、という根源的な問いを私たちに投げかけています。法の枠内における議会の解散権行使といえども、それが市民の政治参加や民主主義を根底から揺るがしかねない事態であれば、今後の法制度や自治体運営の在り方に一石を投じる可能性があるのです

有権者の一票一票が、伊東市のみならず全国の地方自治体が抱える「ガバナンスの危機」を動かす一端となるか、結果が注目されています。

おわりに

いよいよ投票日を残すのみとなった伊東市議会議員選挙。市政刷新か現状維持か、有権者の選択が伊東市の未来と全国の自治の在り方にも示唆を与える重要な選挙となっています。

動向に引き続き注目し、市民一人ひとりが納得のいく選択をすることが、今回の選挙の最大のテーマといえるでしょう。

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