大越キャスターの発言が波紋を呼ぶ――高市早苗氏へのインタビューを通して見えた報道の役割
話題の発端:「報道ステーション」での高市早苗総裁インタビュー
2025年10月9日夜、自民党の新総裁に就任した高市早苗氏がテレビ朝日系の『報道ステーション』に生出演しました。この中継インタビューを担当した大越健介キャスターの発言や態度がSNSを中心に大きな注目を集めています。「高市氏に対して冷たい」「嫌味な物言い」といった声が続出し、「大越キャスターは高市氏を嫌っているのでは」という憶測まで飛び交う事態となりました。
問題となった発言とその背景
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「もし総理になれば」発言:
番組の中盤、大越氏は「高市さんがもし総理大臣になればですけれども」と二重否定を含む言い回しで話を進めました。既に総裁就任直後の高市氏に対してこの言葉を使ったことで、視聴者の間では「嫌味」「下に見ている」と受け取る人が多く、一部では「すでに総裁なのに“もし”は失礼」という指摘もありました。 -
割込み・遮り行為:
インタビュー中、大越キャスターは高市氏の発言に何度も割り込んだり、「的を絞って短くお答えいただけますか?」と諌める場面が見られました。全国紙政治部記者は「放送時間の都合もあったのかもしれないが、繰り返し話に割り込むのは、記者同士の会話でも失礼」と指摘。インタビュー以前の自民党総裁選討論会でも、高市氏への発言遮断や発言時間短縮のジェスチャーが目立っていたと報告されています。 -
麻生氏との関係への言及:
高市氏が「2回目の投票については、党員票の多かった人に投票しろと麻生氏が言った」と説明した場面で、大越キャスターは「麻生氏は高市さんを想定してたんでしょ?」と話に割って入り、場を和ませようとした意図も見えますが、一部視聴者には不快と受け取られました。
視聴者とメディアの反応
- SNSでは「話を聞かないって、人としてどうなの」「無礼がすぎる」「嫌味な言い方。冗談でも少し不快」といった厳しい批判の声が相次ぎ、実際に「不快になったのでチャンネルを変えた」というコメントも目立ちます。
- 「大越キャスターの知性に欠ける発言」「わざわざ喧嘩売っているように見える」といった意見もネット上に広がっています。
- 一方で、冷静な視点を持つ全国紙の記者は「大越さんの質問スタイルはもともと厳しく問い詰めるタイプ。ジャーナリズム的警戒であって、特定人物への嫌悪ではない」と分析し、メディアと政治家それぞれの立場の違いから緊張感が生じやすいと述べています。
大越健介キャスターの「ジャーナリストとしての姿勢」
大越キャスターはNHK時代から政権中枢への直撃取材で知られ、権力に対して距離を置く姿勢を貫いてきました。今回のインタビューも「権力者への厳正な問いかけ」と捉えることができ、ジャーナリズムの精神が表現された形と見なす立場もあります。ただし、その口調や演出が「個人感情の表れ」と誤解されやすい面もあり、「批判的な態度」と「無礼」の間で議論が巻き起こっています。
高市早苗氏の「保守的政策」と“メディアとの緊張”
高市氏は保守的な政策スタンスを掲げ、メディア批判を繰り返してきた人物です。今回のように報道機関の代表的キャスターと対峙すると、政治心理学的には「立場的反発」が生じます。これは私的な嫌悪とは異なり、両者のバックグラウンドの違いが無意識のうちに“距離”として現れる場合があるのです。
インタビュー技法と「報道の公共性」
- 記者の中には「取材対象を怒らせて本音を引き出す」技法を使う人もいます。しかし、これは信頼関係がなければ単なる「嫌がらせ」となりかねません。インタビュー時の割込みや発言時間制限が場を和ませる意図であっても、公共の場では慎重な配慮が求められます。
- 視聴者からは「ジャーナリズム 」と「リスペクト」の両立がメディアに求められているという声が多く、報道現場の振る舞いが社会的に注目される時代が続いています。
皇位継承や麻生太郎氏への話題も――番組内で広がる政治テーマ
同番組内では「皇位継承への対応」「麻生太郎氏の人柄や役割」にも話題が及びました。高市総裁は麻生副総裁に皇位継承問題への対応を託す意向を示し、安定的な皇位継承を重視する姿勢を強調。また、参議院議員の金子恵美氏が麻生氏について「参政党・神谷氏の相談も受け入れる心の広い人」と語り、麻生氏の人間性や“キングメーカー”としての影響力が再評価され、番組全体の政治的論点にも幅を持たせていました。
まとめ:報道・政治・視聴者の三者関係が浮き彫りに
今回の大越キャスターのインタビューは、メディアが権力者とどのように向き合うべきか、ジャーナリストの使命と礼儀のバランスという難題を投げかけました。視聴者の感じ方や、キャスターの意図、さらには政治家側の反応が複雑に絡み合うなか、「報道現場の振る舞い」が大きな社会的関心事となっています。信頼と批判の狭間で何が求められるのか──今後も報道現場、政治、そして市民の間で議論が進むことでしょう。