田崎史郎氏が読み解く「自公連立解消」 驚きと’せいせい感’が広がる政界~東京・神奈川・埼玉・兵庫で激震
26年間の自民・公明連立解消、その舞台裏とは?
2025年10月10日、自民党と公明党による長年の連立政権が正式に解消されました。この歴史的な決裂は、政界に巨大な衝撃を与えるとともに、両党の支持層や地方組織に複雑な余波を広げています。
連立解消の水面下にはさまざまな要因が重なっており、政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」など複数メディアでその裏側を詳しく解説しています。
首都圏や兵庫県など都市部を中心に「壊滅的な打撃」が自民党に及ぶことが予測され、同時に党員間には妙な「せいせい感」すら生まれているという現象が注目されています。
連立解消の経緯――「懸念」の連鎖とパイプ消失
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発端は自民党新執行部への不信感。
公明党・斉藤鉄夫代表は総裁選の勝利直後、高市早苗新総裁に対し、政治とカネの姿勢、靖国神社参拝と歴史認識、外国人政策の3点を異例の形で「懸念」として伝達しました。これまでは水面下の調整と合意文書で済んでいたのが、表立った不満表明となりました。 -
1週間で交渉決裂、連立離脱へ。
自民党側は「内容を丸呑みしない限り、公明党は受け入れない」と見なし、協議は平行線に。水面下での調整も全く行われず、公明党から連立離脱が通告される「想定外」の事態となりました。 -
人脈消失と「慢心」
かつて両党の橋渡し役を担った菅義偉元首相や木原誠二元選対委員長らが執行部を離れ、「パイプ」が完全に途絶えたことが大きな要因です。田崎氏も「自民党は公明党やその母体である創価学会の重要性を見落としていた」と指摘しています。
両党支持層の「せいせい感」と背景
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長年の「いやいや連立」からの解放
田崎史郎氏は、「これまでは選挙協力などのために”仕方なく”連立を維持していた側面があった。自民・公明両党の現場党員や後援者の間では、『やっと解放された』『せいせいした』という声が広がっている」と証言しています。 -
価値観や政策の相違がついに顕在化
教育無償化や社会福祉、平和外交など公明党の主張と、自民党による防衛強化や歴史認識をめぐる姿勢は長年「不協和音」を孕んでいました。とりわけ今回は旧安倍派の人事や、倫理面での溝が決定打となりました。
都市部を中心とした衝撃~「壊滅的な打撃」とは
田崎氏は、自民党が東京・神奈川・埼玉・兵庫など大都市圏で「壊滅的な打撃」を受けると指摘しています。これは次のような事情に基づきます。
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選挙協力の全面停止
これまでの選挙では、拮抗区で公明党が組織票を投入し自民党候補を支えてきました。その支援が消滅したことで、およそ52の選挙区で自民の候補が苦戦・落選する可能性が高まっています。 -
無党派層と都市型選挙の難しさ
地方と違い、都市部では無党派層やリベラル傾向の強い有権者が多く、公明票抜きでは与党優位が一気に崩れるリスクがあります。
現場・支持者のリアル ― 両党員の本音
- 「今までいやいや一緒にやっていたのが本音。分かれてせいせいしている」「むしろこれで身軽になった」――こうした声が自民・公明両党の地方支部や後援会で頻出しています。二重の選挙対応や政策協議も煩雑をきわめ、ストレスの種だったともいわれます。
- 公明党員も「本来の平和・福祉・庶民重視政策を前面に掲げ直せる」と手応えを感じる向きが目立ちます。創価学会を含め「党の原点回帰」を求める声が根強く、連立解消はある意味“待望論”すらあったようです。
今後の政局展開、「野党一本化」の可能性は?
離脱後の公明党の動向についても、多方面で分析が進んでいます。テレビ朝日「モーニングショー」では、羽鳥慎一アナウンサーが「実現するために野党一本化の中に入る可能性はありますか?」と、公明党・西田実仁幹事長に質問。
西田氏は明確な言及を避け、「まずは公明党らしさを貫く」と答えましたが、今後与党野党双方と距離をとりつつ、政策実現を主軸とした独自路線を模索する姿勢がうかがえます。
まとめ:政界再編の序章か、政党の再定義か
今回の連立解消は、自民党・公明党双方にとって“仕切り直し”を迫る未曾有の転機と言えます。
・自民党はかつての「与党安定多数」の看板を失い、都市部での劣勢が鮮明化
・公明党は独自色を再強調しつつ新たな進路模索
・両党現場の党員や支持母体は「意外なほど前向き」な空気
――こうした変化は、今後の日本政治の枠組みを根本から揺るがす可能性すら秘めています。
これまで互いに「手を取り合うふり」を続けてきた26年。それぞれの原点に立ち返り、新たな価値観や政党間協力のあり方が問われる時代が始まりました。日本の有権者と政党双方が「本当に必要な政治」と向き合うタイミングとなりそうです。