宇垣美里、連続ドラマ単独初主演作で不妊症をテーマにした異色作に挑戦
2025年10月9日より、テレビ東京系「木ドラ24」枠で放送が始まったドラマ「できても、できなくても」が、大きな注目を集めています。このドラマで連続テレビドラマ単独初主演を務めるのは、フリーアナウンサーでタレントの宇垣美里さんです。不妊症という非常にセンシティブなテーマを扱った本作は、朝日奈ミカさんの同名漫画を原作とした大人のラブストーリーとなっています。
物語の核心:ブライダルチェックで発覚した不妊症
ドラマの主人公・桃生翠(ももう みどり)は、建設会社で働く32歳の女性です。7年間交際してきた彼氏・日向井聡との結婚を控え、彼の両親に婚約を認めてもらうためにブライダルチェックを受けることになります。しかし、そこで思いもよらない「不妊症」という診断を受けてしまうのです。
この診断をきっかけに、翠の人生は一変します。交際相手である日向井は会社の次期社長という立場もあり、翠との婚約を破棄。さらに悪いことに、不妊症という極めてプライベートな情報が社内で噂として広まってしまい、翠は同僚や後輩からの心ない言葉に深く傷つけられます。結果として、翠は職場にいられなくなり、退職に追い込まれてしまうのです。
どん底からの再スタート
婚約破棄と失業という二重の苦しみを抱え、心身ともにボロボロになった翠。そんな彼女が送別会の帰り道、ナンパ男に絡まれているところを助けてくれたのが、26歳の年下イケメン男子・月留真央(つきどめ まお)でした。自暴自棄になった翠は、真央にある提案をするのですが、それが二人の関係の始まりとなります。
物語はその後、親友エリカの父が経営する建築事務所で働き始めた翠が、偶然にもそこで真央と再会するという展開を迎えます。真央は1級建築士という優秀な青年で、以前のことをなかったことにしようとしてくれる配慮を見せます。こうして翠は新たな生活をスタートさせていくのです。
宇垣美里が語る作品への想い
主演を務める宇垣美里さんは、インタビューの中で主人公・翠への強い共感を語っています。翠と同世代であり、自身も未婚で出産を経験していないという宇垣さん。「ただそれだけで、時折、責められているような気持ちになってしまうことがあります」と率直な心情を明かしました。
宇垣さんは「本来そんなことを感じる必要もないのですが、『植え付けられた幸せの形』があり、そこからはみ出してしまった自分は普通じゃないかも…と思ってしまう翠の気持ちは、痛いほど理解できます」と語り、多くの女性が感じているであろう社会からの無言のプレッシャーについて言及しています。
「生きたいように生きていい」というメッセージ
宇垣さんは、このドラマを通じて伝えたいメッセージについても語っています。「本当はそんなことにとらわれず、生きたいように生きていいし、『できても、できなくても』どっちでもいいと私は思います」と強調し、翠がそう思えるように一緒に走っていきたいと意気込みを示しました。
「彼女が『自分らしく生きることが幸せなんだ』と思えるようになることで、私も見ている方もすごく勇気づけられるのではないか」という宇垣さんの言葉からは、この作品が単なるエンターテインメントではなく、現代社会における価値観や生き方について問いかける作品であることがうかがえます。
豪華キャストと制作陣
本作では、宇垣美里さんと共演する山中柔太朗さんが年下男子・月留真央役を演じています。そのほか、樋口日奈さん、大原梓さん、鶴嶋乃愛さん、上原佑太さん、渋谷謙人さん、古屋呂敏さん、水崎綾女さんといった実力派キャストが脇を固めています。
監督は高橋名月氏と富田未来氏、脚本は加藤綾子氏、松下沙彩氏、中西秋氏が担当。原作は朝日奈ミカさんによるシーモアコミックスで連載中の同名漫画です。
原作漫画に込められた作者の想い
原作者の朝日奈ミカさんは、この作品に切実な想いを込めています。不妊というテーマは非常にデリケートで、当事者でなければ理解しづらい苦しみや葛藤があります。女性漫画家である朝日奈さんが、あえてこの難しいテーマを選んだ背景には、多くの女性たちが抱える悩みや社会の価値観に対する問題提起がありました。
32歳という年齢設定も意味深いものです。多くの女性が結婚や出産について周囲からプレッシャーを感じ始める年代であり、自分の人生の選択について悩む時期でもあります。翠というキャラクターは、そうした現代女性の象徴とも言えるでしょう。
放送情報と視聴方法
「できても、できなくても」は、毎週木曜日深夜24時30分から25時00分まで、テレビ東京系列で放送されています。第1話は2025年10月9日に放送され、早くも大きな反響を呼んでいます。
見逃した方も、テレビ東京の動画配信サービス「ネットもテレ東」で視聴することが可能です。第1話「婚約破棄どん底からリスタート」は期間限定で無料配信されており、12月11日まで視聴できます。各エピソードは約24分の構成となっています。
物語の今後の展開
原作漫画では、翠と真央の関係がさらに深まっていく様子が描かれています。翠は新しい職場で同僚のナナが真央に気があることを知り、複雑な気持ちを抱くようになります。また、関西出張で知り合った広瀬という男性との交流を通じて、翠は自分の価値観や幸せの形について考えを深めていきます。
広瀬は「子供を作りたくない」という理由で妻と離婚していたという過去を持っており、翠は彼との会話を通じて、結婚や出産といった「植え付けられた幸せの形」以外にも、様々な生き方や価値観があることを知っていくのです。
社会的な意義と反響
このドラマが注目を集めている理由の一つは、不妊症という非常にセンシティブなテーマを正面から扱っている点です。日本社会では、結婚したら子供を持つことが当然という風潮がまだまだ根強く、不妊に悩む女性たちは孤独や疎外感を感じることも少なくありません。
ドラマでは、翠が職場で不妊症の噂が広まったことで退職に追い込まれるという、現実にも起こりうる深刻な問題が描かれています。これは、プライバシーの侵害やハラスメントの問題としても考えさせられる内容です。
多様な幸せの形を提示
「できても、できなくても」というタイトルには、子供ができてもできなくても、どちらでも価値があり、幸せになれるというメッセージが込められています。これは、固定観念にとらわれない生き方を肯定し、個人の選択を尊重することの大切さを訴えかけています。
宇垣美里さんが演じる翠が、様々な出会いや経験を通じて自分らしい幸せの形を見つけていく過程は、視聴者にとっても勇気づけられる内容となるでしょう。特に同じような悩みや葛藤を抱える女性たちにとって、このドラマは共感できる作品となることが期待されています。
まとめ
テレビ東京系「木ドラ24」で放送中の「できても、できなくても」は、宇垣美里さんの連続ドラマ単独初主演作として、不妊症という難しいテーマに真摯に向き合った作品です。ブライダルチェックで不妊症が発覚したことで婚約破棄され、職場も失った32歳の女性が、年下男性との出会いを通じて自分らしい幸せを見つけていく物語は、現代社会における価値観や生き方について考えさせられる内容となっています。
宇垣美里さん自身が主人公・翠に強く共感し、「生きたいように生きていい」というメッセージを視聴者に届けたいと語るこのドラマは、多くの人々に勇気と希望を与える作品となることでしょう。毎週木曜日深夜の放送を、ぜひチェックしてみてください。