日本の中小企業、独自技術で世界の課題解決に挑む―JICA Bizが2025年度募集開始
JICA Bizとは?中小企業の海外展開を支援
独立行政法人国際協力機構(JICA)は、開発途上国の課題解決に貢献する日本の中小企業・中堅企業のビジネスづくりを支援する「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」の2025年度募集を開始しました。JICA Bizは、日本の企業が持つ製品・技術・サービス・ノウハウを途上国の発展課題と結びつけ、ビジネスチャンスに変えるための事業です。
少子高齢化で国内需要が縮小する中、日本の中小企業は成長著しい途上国や新興国への進出を模索しており、JICA Bizはその海外展開を後押ししています。従来の政府開発援助(ODA)といえば、道路や空港などの大規模インフラ整備が主でしたが、今は企業の技術移転やビジネスモデルによる現地社会課題の解決も重視されるようになりました。
支援対象・内容~ビジネス化の段階に応じて
- 対象企業:中小企業・中堅企業・大企業・非営利法人(学校法人等)・中小企業団体(一部事業を除く)が対象。
- ニーズ確認調査:途上国での現地ニーズやビジネスモデルの検証を最大12カ月、調査経費は最大1,500万円まで支援。
- ビジネス化実証:現地でのビジネスプラン策定と実証を最大2年6カ月、経費は最大4,000万円まで支援。
いずれも「自社技術が途上国の課題解決に役立ち、かつ自社のビジネス成長にもつながる」ことが前提です。
なぜ注目?独自技術を持つ中小企業が相次ぐ参加
JICA Bizには、日本各地から「独自技術をアピールできる」と意欲的な中小企業が多数参加しています。たとえば、水処理技術や農業用ICT、医療機器など、地域や業種ごとに特徴ある技術を持つ企業が現地の衛生・食糧・健康課題の解決を目指しています。
参加企業の声によると、「JICA Bizを活用することで、現地での知名度向上や金融機関からの信用力アップ、海外志向の人材の獲得につながった」という事例もあります。また、実際に現地でニーズ調査や実証事業を実施することで、自社の強みを再認識し、新たな市場開拓や技術ブランディングの機会にもなっています。
2025年度の募集スケジュール
- 募集期間:2025年9月1日(月)~9月30日(火)正午
- 審査結果通知:2025年12月下旬
- 応募方法:JICA公式サイトの公示ページから募集要項と関連資料を確認し、必要事項を記入のうえ応募
事前コンサルテーションも実施されており、疑問点や相談も対応可能です。
JICA Bizへの問い合わせ・支援体制
応募に関する詳しい説明や資料は、JICAの民間連携事業ウェブサイトに随時掲載されています。また、制度説明会やセミナーの動画、企画書の書き方・評価ポイントなども公開されており、初心者でもわかりやすい内容となっています。
また、全国の商工会議所でもJICA Bizに関する相談を受け付けているので、最寄りの窓口を訪れるのも一つの方法です。
実際の参加事例からわかること
過去の事例では、東北の製造業がアジアの途上国向けに省エネ機器を提案し、現地工場のエネルギー効率改善に貢献した例や、関西のベンチャーがアフリカの医療現場向けに遠隔診断システムを展開し、現地の医療アクセス向上に寄与した例などがあります。こうした取り組みは、現地社会の発展のみならず、日本の中小企業の成長や国際競争力強化にもつながっています。
中小企業が海外で活躍するために
海外進出にはリスクや不安がつきものですが、JICA Bizのような公的支援を活用することで、現地の信頼あるパートナーと協働し、着実にビジネスを進めやすくなります。自社の強み(独自技術・ノウハウ)をしっかり整理し、現地の課題とどう結びつけるかが成功のカギです。
さらに、現地でのニーズ調査や実証事業を通じて得られた知見は、今後のグローバル展開や国内事業の改善にも役立ちます。JICA Bizへの参加は、単なる海外進出ではなく、自社の持続的成長と社会課題解決を両立する「これからの企業経営」のあり方を体現する機会とも言えます。
JICA Bizの最新動向・今後の展望
JICA Bizは年々制度が柔軟になり、応募企業の利便性向上やビジネス化の促進、開発インパクトへの貢献をより重視した内容へと進化しています。特に、ESG経営やSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中、社会課題の解決とビジネス成長を両立させる取り組みは、今後ますます重要になると考えられます。
また、JICAはIDB(米州開発銀行)とも連携し、中南米など新興国での中小企業支援にも力を入れています。今後はアジア・アフリカに加え、中南米など多様な地域での展開も期待されます。
まとめ~日本企業の新たな挑戦を応援
JICA Bizは、日本の中小企業が持つ「ものづくり力」「技術力」「課題解決力」を世界に広げる大切な仕組みです。2025年度の募集はすでに終了していますが、今後も継続的に開催される見込みです。
自社の技術やサービスが「世界のどこかの課題解決に役立つかもしれない」と考えている企業は、ぜひ今後のJICA Biz関連情報をチェックし、グローバルな社会貢献とビジネス成長の両立を目指してみてはいかがでしょうか。JICAや各地の商工会議所、専門コンサルタントなど、頼れる相談窓口もたくさんありますので、まずは一歩踏み出してみることをおすすめします。
お問い合わせ先・参考情報
- JICA民間連携事業部:03-5226-3491(平日9:30~17:45)
- メール:sdg_sme@jica.go.jp
- 公式サイト:JICA民間連携事業ウェブサイト(https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/index.html)
- 各地商工会議所:全国515地域で相談受付中