「ヤフコメ民が絶滅する未来」に見舞われるイギリス…
「匿名アカウント禁止」に踏み切った背景
イギリスでは、2023年に成立した**オンライン安全法**が、大きな波紋を呼んでいます。この法律により、インターネットでの匿名利用が事実上不可能となっており、多くの人々がこの決定に反発しています。特に、イギリスのオンライン空間では、匿名アカウントが禁止され、ユーザーが年齢を証明しなければならない状況が続いています。
## オンライン安全法の内容
オンライン安全法は、子どもたちをオンラインで安全に守るために策定されましたが、その内容は非常に厳しいものです。法令により、**オンラインサービス事業者**はユーザーの年齢を厳密に確認することが義務付けられています。これには、パスポートや運転免許証のアップロード、顔認証などが含まれ、ただ単に「18歳以上ですか?」という質問に答えるだけではありません。
この法律は、FacebookやYouTube、TikTokなど有名なSNSだけでなく、掲示板やゲーム配信、同人サイトなど、ユーザー同士がやりとりできるほぼすべてのサービスに適用されます。イギリスの調査によれば、対象となるサービスは10万を超える数に達しています。
## 批判の声
この法律に対する反発は多岐にわたります。**表現の自由の侵害**や**プライバシーの侵害**を挙げる人権団体から、**マンガやアニメ、成人向けコンテンツが閲覧できなくなる**という懸念を持つコンテンツ愛好者、さらには**移民批判がヘイトスピーチとして封じられる恐れがある**と主張する政治活動家まで、異なる動機を持つ層が結集しています。
また、ウィキペディアのようなオンライン百科事典もこの法律の影響を受ける可能性があり、運営元のウィキメディア財団が異議申し立てを行いました。ウィキメディア財団は、ユーザーの身元確認や匿名ユーザーの投稿をブロックしなければならない「カテゴリー1」に分類される見込みがあるため、プライバシーが損なわれると主張しています。しかし、イギリスの高等法院はこの異議申し立てを却下しました。
## 制裁規定
オンライン安全法では、違反企業に対して厳しい制裁規定が設けられています。年間売上高の最大10%または1800万ポンド(約36億円)という巨額の罰金が科される可能性があります。これにより、多くのテック企業は法律に従うか、イギリスでのサービス提供を諦めるかの選択を迫られています。
この法律が施行された背景には、**オンラインにおける子供の安全**を重視する意図がありますが、同時に**自由主義国の自己否定**と捉えられる声もあり、国内外で議論が続いています。
このような状況下で、イギリスのオンライン空間は以前とは異なる方向性を示し続けています。消費者や企業、それぞれの視点から、今後の展開が注目されています。
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