良品計画、2025年度決算発表と配当予想の修正を実施

2025年10月10日、無印良品を展開する良品計画(証券コード:7453)が本決算を発表し、配当予想の修正に関する適時開示を行いました。同社は堅調な業績を背景に、株主還元の姿勢を明確にしています。

2025年8月期の業績概要

良品計画の2025年8月期第3四半期決算では、営業収益5,910億9,300万円(前年同期比19.2%増)、営業利益594億600万円(同39.9%増)という大幅な増収増益を達成しました。営業利益率は10.1%に向上し、国内外での新規出店や既存店舗の好調な売上が業績を牽引しています。

通期予想として、会社側は営業収益7,760億円、純利益470億円を見込んでいます。これは2024年8月期の実績である営業収益6,616億7,700万円、純利益415億6,600万円から大きく成長する計画となっています。特に純利益は前期比約13%増の水準を目指しており、収益性の改善が顕著に表れています。

配当政策の詳細

良品計画は株主還元にも積極的な姿勢を示しています。2025年8月期の予想配当金は1株当たり22.0円となっており、前期の20.0円から2.0円の増配となる見込みです。この配当予想に基づく配当利回りは約0.81%と算出されています。

同社の配当実績を振り返ると、2020年8月期には2.5円まで減配していましたが、2021年8月期から2024年8月期まで20.0円を維持してきました。今回の増配により、安定配当の方針を維持しつつも、業績向上に応じた株主還元の強化を図る姿勢が明確になっています。

配当性向については、2024年8月期実績で25.5%となっており、利益の4分の1程度を配当に回すバランスの取れた還元政策を採用しています。これは企業の成長投資と株主還元のバランスを考慮した適切な水準といえるでしょう。

株式市場での評価

2025年10月9日時点での良品計画の株価は2,727.0円(終値)で推移しており、前日比24.5円高(+0.91%)となっています。売買単位は100株となっているため、最低投資金額は約27万円程度となります。

証券アナリストによる評価も高く、2025年10月10日時点でのアナリストコンセンサスは「買い」判定となっています。内訳は強気買い9人、買い1人、中立4人という構成で、強気の見方が優勢です。アナリストの平均目標株価は3,367円とされており、現在の株価から約20%の上昇余地があると予想されています。

業績好調の背景

良品計画の業績好調にはいくつかの要因が考えられます。まず、国内市場では無印良品ブランドの浸透が進み、既存店舗の売上が堅調に推移していることが挙げられます。シンプルで機能的な商品ラインナップが幅広い層に支持され、リピーターの獲得に成功しています。

また、海外展開も順調に進んでおり、特にアジア地域での新規出店が収益拡大に寄与しています。無印良品のミニマリスティックなデザイン哲学は、国際的にも高く評価されており、グローバルブランドとしての地位を確立しつつあります。

営業利益率が10.1%まで向上したことは、コスト管理の徹底と収益性の高い商品構成へのシフトが功を奏していることを示しています。効率的な店舗運営と在庫管理により、収益性を高めることに成功しているといえるでしょう。

新商品「アンデスウール」シリーズの展開

商品面では、新たに「アンデスウール」シリーズを発売するなど、商品開発にも力を入れています。無印良品は素材にこだわった商品づくりで知られており、新シリーズの投入により、秋冬シーズンの売上拡大が期待されています。

今後の展望と課題

良品計画は通期予想を上方修正するなど、事業環境は良好といえます。しかし、ロイターの報道によれば、2026年8月期の純利益予想は前期比4.2%増と、市場予想をやや下回る水準とされています。これは同社が堅実な見通しを立てていることを示している一方で、さらなる成長のためには新たな施策が求められる可能性もあります。

今後の注目点としては、国内市場での既存店舗の活性化、海外市場でのさらなる店舗網拡大、EC事業の強化などが挙げられます。デジタル化が進む中、オムニチャネル戦略の強化も重要な課題となるでしょう。

投資家への示唆

良品計画は、配当利回りこそ0.81%と決して高くはありませんが、安定した増配実績と堅調な業績成長により、中長期的な投資先として魅力的な銘柄といえます。アナリストの目標株価が現在の株価から20%程度高い水準に設定されていることも、株価上昇の余地を示唆しています。

権利付き最終日は2025年2月26日(水)となっており、配当を受け取りたい投資家はこの日までに株式を保有する必要があります。また、株主優待制度も設けられており、総合利回りで見た場合の魅力も考慮に値するでしょう。

まとめ

良品計画は、国内外での事業展開が順調に進み、2025年8月期は大幅な増収増益を達成しました。配当も前期から増配となる見込みで、株主還元にも積極的な姿勢を示しています。証券アナリストからの評価も高く、今後の成長が期待される企業といえるでしょう。

無印良品ブランドの強みを活かしながら、グローバル展開を加速させ、デジタル化にも対応していく同社の今後の動向に注目が集まります。安定した配当政策と着実な業績成長により、投資先として魅力的な選択肢の一つとなっているといえるでしょう。

参考元