イングランド代表・トゥヘル監督「W杯で優勝候補ではない」<その裏にある本音と現実>

2025年10月9日、サッカーイングランド代表のトーマス・トゥヘル監督は会見を行い、2026年W杯(ワールドカップ)に向けて「我々は優勝の筆頭候補ではない」との見解を明らかにしました。この発言は英メディアなどで大きな話題となっており、ファンの反応も賛否両論となっています。

トゥヘル監督が語った“本音”とは

トゥヘル監督は「我々はアンダードッグ(下馬評の低いチーム)として今大会に臨む」と発言しました。彼によれば、イングランド代表は2018年W杯4位、2022年W杯ベスト8と着実に進化してきたものの、2026年の舞台では「優勝候補の一角」からは外れる、との心境を明かしています。また、その理由として「常に大きな期待が寄せられすぎているが、実際には多くの課題を抱えている」と指摘しました。

一見すると、過度な期待への牽制や「お約束の謙遜コメント」にも聞こえますが、その発言の背後には、現実的なチーム状況とトゥヘル監督の危機感があるようです。

期待と現実のギャップ――ワールドカップ予選で見えた課題

トゥヘル監督が指揮を執るイングランド代表は、2026年W杯欧州予選でグループ首位を維持。しかし、その内容に満足するサポーターは多くありません。例えば、最新戦となったアンドラ戦(2-0勝利)では、83%という圧倒的なボール支配率と11本のシュートを放ちながら、得点はわずか2点にとどまりました。相手のオウンゴールによる1点も含まれており、前線の決定力不足が浮き彫りとなりました。

メディアやサポーターからは「華麗な攻撃で相手に5~6得点を挙げるべきだった」「戦術・技術・想像力・スピードすべてに物足りなさを感じる」などの批判が噴出しています。一部の声は「サウスゲート監督時代よりひどい」「トゥヘル解任を求める」とまでエスカレート。実際、試合内容の乏しさと成果の小ささに、英国サッカーファンは大きな不満を抱えています。

2026年W杯で見たい成長と課題――ポジションごとの現状分析

イングランド代表は「新・黄金世代」と称される才能豊かな選手たちを擁しています。しかし、トゥヘル監督は「あらゆるポジションで世界トップクラスの層が揃っているわけではない」と語っています。特に「左サイドバック」や「守備の安定性」「得点力」に課題が残るとされています。

左サイドバックのジレンマ

昨シーズンのブレイク組・マイルズ・ルイス・スケリー(アーセナル)は、左SBとして成長が期待されていましたが、今季は出番が激減。リッカルド・カラフィオーリがレギュラーを奪取したことで、クラブでの立ち位置が危うくなっています。トゥヘル監督は「クラブでの活躍がなければ代表入りは難しい」と警告を発しています。トッテナムのジェド・スペンスなど新星も台頭する中、ポジション争いは混沌としています。

攻撃陣の決定力不足

ハリー・ケインやブカヨ・サカ、ジャド・ベリンガムら、個の力を持ったアタッカーを擁するものの、厳しい守備を崩す術が不足している現状もあります。予選の弱い相手に大勝できないのは、この点に起因しています。

守備の不安定さ

強い相手からゴールを奪われる失点もあり、安定した守備組織が確立していません。セネガル戦での敗戦(1-3)も大きな傷になっています。

トゥヘル監督の“焦り”とファンの“不満”

イングランドのサポーターは、過去の栄光と現在の実力にギャップを感じています。例えば、2010年W杯グループリーグ敗退の“失敗”を引き合いに出し、「トゥヘル時代も期待を裏切るのではないか」と不安視する声が根強いのです。

一方、トゥヘル監督自身も自らの立ち位置に疑問を感じている様子が伝えられます。会見で「監督就任時から自分の実力を疑っていた」と告白しており、期待されるだけの結果を出せない現状に焦燥感を抱いているのかもしれません。

2026年W杯本番へ向けた課題と展望

トゥヘル監督は「イングランド代表は優勝候補ではない」と繰り返しコメントすることで、ファンやメディア、周囲の過剰な期待を和らげようとしているようです。しかし、同時に「現状ではまだ本物ではない」という危機感も隠せていません。

来る10月10日、セルビアとの予選最終戦で“本物”の証を求められるイングランド代表。試合結果次第では、トゥヘル監督の去就にも影響が及びそうです。クラブで活躍する選手の代表入り、守備の安定化、攻撃の決定力向上――これらが実現できれば、「アンダードッグ」というレッテルを返上できる日が来るかもしれません。

イングランドサッカー界にとって、2026年W杯は「期待」と「覚悟」を問われる大会になりそうです。

まとめ

  • トーマス・トゥヘル監督は「イングランドは2026年W杯で優勝候補ではない」と明言し、期待の抑制と現実的な課題意識を強調。
  • 予選でのパフォーマンス不足にファンやメディアの不満が高まっている。
  • ピッチ内外で様々な課題が浮き彫りとなっており、W杯本番までに解決できるかが鍵。

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