ファーストリテイリングが6期連続最高益を達成
ユニクロを展開するファーストリテイリングが、2025年10月9日の大引け後に2025年8月期の決算を発表しました。同社の連結最終利益は前期比16.4%増の4330億円となり、6期連続で過去最高益を更新する快挙を成し遂げました。さらに2026年8月期についても前期比0.5%増の4350億円を見込んでおり、引き続き最高益更新の見通しとなっています。
2025年8月期の業績ハイライト
ファーストリテイリングの2025年8月期決算は、国際会計基準(IFRS)に基づいて発表されました。連結最終利益は4330億円と前期から16.4%も増加し、売上高も順調に拡大しました。これにより同社は6期連続の増収増益を達成することとなりました。
特に注目すべきは、直近3ヵ月にあたる2025年6月から8月期(第4四半期)の業績です。この期間の連結最終利益は前年同期比58.7%増の939億円と大幅に拡大しました。売上営業利益率も前年同期の13.4%から14.5%へと1.1ポイント上昇し、収益性の向上が顕著に表れています。
国内外での事業展開が功を奏す
ファーストリテイリングの好調な業績の背景には、ユニクロブランドの国内外での堅調な販売が挙げられます。国内市場では定番商品の安定した需要に加え、季節商品の販売も好調に推移しました。一方、海外市場においても、特にアジア地域を中心に売上が拡大し、グローバル展開の成果が着実に現れています。
2026年8月期の業績予想
ファーストリテイリングは2026年8月期の業績予想として、連結最終利益を前期比0.5%増の4350億円と見込んでいます。増益率は前期の16.4%から大幅に鈍化するものの、過去最高益を更新し続ける計画です。この予想は市場予想を上回る内容となっており、投資家からも注目を集めています。
2026年8月期で6期連続の増収増益となる見通しで、同社の持続的な成長力が改めて確認される形となりました。増益率が緩やかになる背景には、為替の影響や原材料コストの上昇などの要因が考えられますが、それでも最高益を更新できる見込みである点は、同社の強固なビジネスモデルを示しています。
株主還元の強化
ファーストリテイリングは業績好調を受けて、株主還元策の強化も発表しました。2025年8月期の年間配当金について、当初予定の480円から500円へと20円増額することを決定しました。これは前期の400円から100円の増配となります。
さらに2026年8月期についても、前期比20円増の520円への増配を計画しています。これは同社が継続的な利益成長と株主還元の両立を重視している姿勢の表れと言えるでしょう。安定的な配当の増加は、長期投資家にとって魅力的な要素となります。
第4四半期の好調な業績
2025年6月から8月の第4四半期業績は、特筆すべき成長を示しました。連結最終利益は前年同期比58.7%増の939億円と、大幅な増益を実現しています。この伸び率は通期の16.4%増を大きく上回るものです。
また売上営業利益率も前年同期の13.4%から14.5%へと改善しており、売上高の拡大だけでなく、収益性の向上も同時に達成しています。これは効率的な経営と適切なコスト管理が機能していることを示しており、同社の経営手腕の高さがうかがえます。
アパレル業界における位置づけ
ファーストリテイリングは日本を代表するアパレル企業として、業界内でも独自の地位を確立しています。市場では、しまむら、良品計画、ユナイテッドアローズといった企業と比較されることが多くありますが、グローバル展開の規模や収益力において一線を画しています。
また小売業全体で見ても、セブン&アイ・ホールディングスやイオンといった総合小売大手と並び、日本を代表する企業として注目を集めています。10月9日の決算発表日には、セブン&アイやスギホールディングスなど37社が決算を発表する予定となっており、ファーストリテイリングの決算は特に注目度の高いものとなりました。
持続的成長への展望
ファーストリテイリングが6期連続で最高益を更新できている背景には、いくつかの要因があります。まず、ユニクロブランドの強固な顧客基盤と高い商品力が挙げられます。機能性とデザイン性を両立させた商品開発により、幅広い年齢層から支持を得ています。
次に、グローバル展開の成功です。アジアを中心とした海外市場での売上拡大が、全体の成長を牽引しています。特に中国やアジア諸国での存在感は年々高まっており、今後も重要な成長エンジンとなることが期待されます。
さらに、デジタル戦略の強化も見逃せません。オンライン販売チャネルの拡充やデジタルマーケティングの活用により、顧客接点の拡大と販売効率の向上を実現しています。これらの取り組みが相互に作用し、持続的な成長を支えているのです。
今後の課題と注目点
好調な業績を続けるファーストリテイリングですが、今後の課題も存在します。2026年8月期の増益率が0.5%と緩やかになる見通しである点は、成長の踊り場に差し掛かっている可能性も示唆しています。
為替変動の影響は海外売上比率の高い同社にとって重要な要素です。円安が進めば海外での収益が円換算で増加する一方、円高になれば逆の影響を受けます。また原材料価格の上昇や人件費の増加といったコスト圧力への対応も継続的な課題となります。
それでも市場予想を上回る業績予想を発表できたことは、同社の経営力の高さを示しています。今後も国内外での店舗展開の最適化、商品開発力の強化、デジタル戦略のさらなる進化などを通じて、持続的な成長を目指していくものと見られます。
まとめ
ファーストリテイリングの2025年8月期決算は、連結最終利益4330億円(前期比16.4%増)という優れた結果となりました。6期連続での最高益更新は、同社の強固なビジネスモデルと経営力の高さを証明するものです。2026年8月期も4350億円(前期比0.5%増)と最高益更新を見込んでおり、安定成長の継続が期待されます。
配当についても前期は500円、今期は520円と連続増配を計画しており、株主還元にも積極的な姿勢を示しています。第4四半期の売上営業利益率が14.5%に上昇したことは、収益性の改善も進んでいることを示しており、質の高い成長を実現していると言えるでしょう。
今後も国内外での事業展開、商品力の向上、デジタル戦略の推進などを通じて、さらなる成長が期待されます。日本を代表するグローバルアパレル企業として、ファーストリテイリングの動向は引き続き注目を集めることでしょう。