「麻生家に嫁入り」発言で波紋 立憲・本庄知史政調会長による高市早苗総裁めぐる発言に反発広がる
10月9日、インターネット上で「（麻生家に）嫁入りした」という言葉がトレンドワードになりました。これは立憲民主党の本庄知史政調会長が、8日の記者会見で自民党の高市早苗総裁をめぐる皮肉まじりの発言をしたことがきっかけです。本庄氏は、自民党の新執行部の顔触れについて「麻生家に嫁入りした高市さん」というような印象を受けたと述べ、大きな話題となりました。この発言は、まるで高市総裁が麻生太郎副総裁の「お嫁さん」になったかのような表現であり、女性リーダーへの蔑視や時代遅れの価値観につながるとSNS上で批判が噴出。
本庄氏の発言内容とその背景
本庄氏は、自民党の臨時総務会後の集合写真について触れ、「あらためて思ったのは、『麻生家に嫁入りした高市さん』というような絵でしたね」と述べました。写真には、麻生太郎副総裁と麻生氏の義弟で新幹事長の鈴木俊一氏に挟まれた高市総裁の姿がありました。ここで本庄氏は「両脇に麻生さんと鈴木さん。ご親戚のおふたりがおられ、かわいがられた小林（鷹之・政調会長）さんがいて、なんとも言えない絵（写真）だなと思いました」と語り、麻生家の地盤・血縁によって形成された自民党新執行部が強調されたものと考えています。
この表現は、麻生氏を自民党の実力者とする見方や、「事実上の麻生政権」と揶揄する野党やジャーナリズムの論調とも重なります。自民党の新執行部人事を見ると、幹事長や総務会長など重要ポストに麻生派や麻生氏と近い人物が並んでいます。ジャーナリズムでは「二人羽織」とも表現され、麻生氏が実質的な影響力を維持しているとの見方もあります。
高市総裁、萩生田氏を「傷もの」と紹介
また、話題になったもう一つの発言は、高市早苗自民党総裁が萩生田光一氏について「傷もの」と表現したことです。この発言を受けて、立憲民主党の野田代表は「驚いた」と語り、自民党内部のいびつな人間関係が表面化した形となりました。高市氏の発言は、萩生田氏が昨年の参議院選挙で落選した後、再び公職についていないことを指したものとみられますが、「傷もの」との表現が差別や人格否定につながるとの指摘も出ています。
自民党新執行部の顔ぶれとその意義
自民党の新執行部は高市総裁のもとで始動しましたが、役職者には麻生派や麻生氏と親交の深い議員が目立ちます。幹事長には鈴木俊一氏、総務会長は有村治子氏が就任。他にも麻生氏と近い議員が要職に就いています。こうした人事は、麻生氏の影響力がいまだに強いことの証とも指摘され、党内の「派閥政治」や「縁故人事」の側面が改めて浮き彫りになりました。
一方で、麻生氏自身は選挙の「公正さ」を強調しており、新執行部は再生のための布陣としています。しかし、野党や世論からは「麻生派の色が濃い政権」との批判が根強く、今後の政権運営が注目されます。
SNSを中心とした反応
本庄氏の「嫁入り」発言は、TwitterやFacebookなどのSNS上で大きな反響を呼びました。多くのユーザーから「時代錯誤」「女性差別」「高市氏への尊敬を感じられない」という批判が寄せられています。一方で、自民党の内部構造を的確に指摘したと評価する声もありましたが、全体としては「女性リーダーへの軽侮」との印象が強く、今後の政治やメディアでの議論に影響を与えそうです。
こうした発言は、社会におけるジェンダー意識や、女性政治家のあり方を問い直すきっかけにもなっています。実際、高市氏自身は派手なポピュリズムを避け、「政策重視」の姿勢を打ち出していますが、男性政治家に囲まれた写真や、「嫁入り」との比喩は、彼女のリーダーシップの主体性を損なう印象を与えかねません。
各党の対応と今後の行方
立憲民主党の本庄氏の記者会見に対する自民党側からの公式な反応は現時点でありませんが、党内では水面下で不快感や再発防止の要望も出ているとみられます。野田代表は「驚いた」と静かにコメントを残しましたが、この一件は今後、両党の論戦や女性政治家支援の政策にも影響する可能性があります。
また、自民党内でも、女性議員の活躍促進や、派閥の影響力をどのようにコントロールしていくかが問われています。今後の国会審議やマスコミ報道では、こうした点がさらにクローズアップされそうです。
まとめ
今回の騒動は、単なる「表現の行き過ぎ」ではなく、日本の政治や社会がまだまだ古いジェンダー意識や縁故主義から抜け出せていないことを浮き彫りにしました。高市早苗総裁の誕生は歴史上初の女性総裁であり、その意義は大きいものの、現実の政治空間では根強い男性中心の体質が残っていることも否定できません。
今後の課題は、女性リーダーの主体性をどう確保し、多様な人材が活躍できる政治風土をどう築くかにあります。また、政治家による不用意な発言が与えたインパクトは大きく、各党のリーダーが今後の発言に慎重になることも求められています。
政治的リーダーシップの在り方、そして言葉の持つ影響力――。今回の一連の出来事は、私たち一人ひとりに政治と社会のあり方を考えるきっかけを与えてくれているのではないでしょうか。
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