メッシ新契約のインパクト—スアレスら「友達軍団」とMLSの今後

インター・マイアミCFでのリオネル・メッシの契約更新は、単なるクラブの一選手に関する話題に留まらず、チームの今後の構図、さらにはMLS(メジャーリーグサッカー)全体の給与体系にまで影響を及ぼす重大なニュースとなっています。現地時間2025年10月8日、この話題はSNSや現地メディアで大きく取り上げられました。ここでは、3つの主要なトピック――「メッシ一人のチームなのか」「友達に依存するクラブの構造」「MLSの給与ルールの限界」――を軸に、分かりやすく解説します。

メッシ、バルサ時代の仲間たち抜きで――スアレスの将来は?

メッシは2023年夏、バルセロナ時代の盟友セルヒオ・ブスケツ、ジョルディ・アルバと共にインター・マイアミへ移籍しました。この“バルサトリオ”に加え、2024年にはさらに親友ルイス・スアレスも合流、かつての「MSN」の一員であるネイマールも含め、インター・マイアミはまさに“メッシステ”という異名を欲しいままにしてきました。

しかし、2025年に入り、ブスケツとアルバがチームを離れたことで、メッシはかつての仲間たちとピッチを走る場面が激減。残されたのはスアレスのみとなっています。こうした状況に対し「スアレスもいつかメッシなしのインター・マイアミでプレーする日が来るのか?」という疑問が浮上しています。現状でスアレスは、9月30日に行われたMLS第30節シカゴ・ファイアー戦で2ゴールを挙げるなど、まだまだ攻撃陣の核として活躍中ですが、チームの中心がメッシからスアレスへと本当にシフトできるのか、ファンの注目が集まっています。

「メッシの友達軍団」インター・マイアミの本質とは?

インター・マイアミは、昨季から「メッシとその友達が集まるクラブ」と揶揄されることも増えました。事実、昨年のスアレスの加入は、メッシやブスケツ、アルバらとの個人的な親交が大きく影響したといわれています。こうした人事は、クラブ全体を“友情”で支えていると皮肉られがちですが、それだけにメッシの新契約がチームの今後を大きく左右することは想像に難くありません。

現ウルグアイ代表(元)の著名スターは、現地メディアで「メッシの契約更新が、“メッシの友達軍団”の将来を決める」とコメントしています。つまり、メッシが続投することで、スアレスらの今後も決まりやすくなり、逆にメッシが退団すれば、スアレスらも去る可能性が高まるのです。

このようなクラブ構造は、選手同士の親密度が高い分、一体感や結束力につながる一方、長期的なチーム強化という面では不安要素も抱えています。若手育成や異なるタイプの選手獲得が疎かになると、メッシ世代が最後の主力となった場合、チーム全体の“青黄不接”が生じかねないからです。

MLSの給与構造の問題点と実例

メッシやスアレスのような有名選手がMLSに流れ込む一因には、給与水準の柔軟性があります。ただし、現在のMLSの給与上限(サラリーキャップ)では、このクラブ戦略には限界も見えています。

事実、メッシの超大金契約は、「特別な加盟選手扱い(DP:デザイネイティッド・プレイヤー枠)」を活用しています。DP枠の対象選手は給与上限の制限を受けませんが、この枠は1クラブあたり3名まで。メッシ、ブスケツ、アルバ、スアレスと並ぶと、すでに枠オーバーです。実際、ブスケツとアルバらは「DP枠外」で活躍していた時期もありましたが、長期的にはこの制度を“抜け道”的に捉えられている側面も否めません。

メッシの新契約によって、今後も「大物選手を金で連れてくる」戦略を続けるのか、それともより健全な給与体系やチームビルディングを模索するのか、インター・マイアミの戦略が問われます。スアレスのような名選手を“友情”だけで抱え続けられるのか、それともMLSの制度全体の見直しが必要か――。米国サッカー界の本気度が試される事態です。

今後の展望とファンへの影響

スアレスは、インター・マイアミにとって攻撃の軸であり続けていますが、メッシの存在感がなければ、彼の価値や役割も大きく変わる可能性があります。現地ファンからは「スアレス単体でもMLSで通用するのか?」「メッシが抜けた後、スアレスは続けて一緒にいられるのか?」といった期待と不安の声が交錯しています。

また、インフルエンサーのような世界的選手を集めることで、MLSの注目度や集客力は大きく高まりました。しかしながら、その一方で「クラブの成り立ち」や「長期的な育成方針」が曖昧になってしまうリスクも指摘されています。「メッシとその仲間たち」の一時期の“賑わい”で終わるのか、それとも米国サッカーの新たな潮流を切り開くきっかけになるのか――。今後はクラブ内部の戦略、そしてリーグ全体の制度設計が問われます。

クラブワールドカップ2025への出場も決定しているインター・マイアミは、スアレスやメッシらを擁した「今のうち」に、チームとしての真価を試される機会も増えています。ファンはもちろん、サッカー関係者も、彼らのパフォーマンスとチームの進路に注目し続けることでしょう。

まとめ

  • メッシの新契約は、自身だけでなくスアレスら仲間たちの将来も大きく左右します。
  • 「メッシとその友達」依存のクラブ構造は、チームの結束力や注目度のメリットと、長期的な強靭化という課題を併せ持ちます。
  • 現状のMLSの給与構造では、こうした“スター集団”の維持に限界があることが浮き彫りになっており、リーグ全体の制度見直しの必要性も議論されています。
  • スアレスは今もなお高い得点力を誇りますが、メッシを中心とするチーム構図が変化すれば、彼自身の役割も大きく変わり得ます。
  • インター・マイアミの現状は、米国サッカー界全体の未来像を映し出す鏡ともいえるでしょう。

今後もメッシ、スアレスらの個々の活躍とともに、チームの成長とMLS全体の制度改革の両面から、目が離せない展開が続きます。

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