ニッポンの社長『ダブルインパクト』初代王者とエバース――新たなお笑い賞レースに挑む、若手芸人たちの躍動と葛藤
はじめに:日本のお笑い界に吹き込む新風
2025年、新たなお笑い賞レース『ダブルインパクト~漫才&コント 二刀流No.1決定戦~』が開催され、数多くのお笑い芸人がその頂点を目指して挑戦し、熱いバトルが繰り広げられました。ニッポンの社長が見事“初代王者”となり、周囲から大きな注目と少しの困惑が集まるなか、同時代を生きる若手芸人エバースにも注目が集まっています。ここでは、話題の賞レースとそこに関わる芸人たちの軌跡を紐解きながら、お笑い界のいまを優しく解説します。
『ダブルインパクト』とは何か
『ダブルインパクト』は、日本テレビ&読売テレビ主催、アサヒビール冠スポンサーでスタートした全く新しい賞レースです。その特徴は「漫才」と「コント」両方のネタで実力を競うという点。「漫才か、コントか。いや、どっちもだ!」というキャッチコピーのもと、芸人たちが“二刀流”の実力を問われました。
第1回大会は2025年4月8日から7月21日まで開催され、エントリー数は2875組にも上りました。決勝戦では7組が渾身のネタを舞台上で披露し、視聴者と審査員双方を魅了しました。優勝者にはトロフィー、賞金1000万円、スポンサー商品の1年分という豪華な賞品が贈られます。
初代王者「ニッポンの社長」の快挙と葛藤
決勝でニッポンの社長(辻皓平、ケツ)は、コント・漫才両方で高い評価を得て、合計949点で初代王者に輝きました。周囲が困惑するほど予想外の快挙だった理由は、その“二刀流”の安定した実力と、コンテストの空気に左右されない自分たちのスタイルを貫いたことです。
- 辻は「全組が二本やるので緊張してる暇がなく、吉本で1日10本もステージをこなしてきた経験が役立った」と会見で語りました。
- ケツは「これをやるぞ」と自分たちのネタに集中したと一貫した姿勢を明かしつつ、先輩から“可愛がられない悩み”も告白しています。
他大会とは違い、漫才・コントどちらをどう披露するか全く予測がつかないため、場の空気よりも自分の信念を貫くことが求められました。結果的に、二人の普段の活動が大会でも強みとなり、漫才とコント両ジャンルで高評価を獲得しました。
「ダブルインパクトツアー2025」での展開
初代王者の誕生を記念し、11月からは「ダブルインパクトツアー2025」が東京・大阪・名古屋・札幌で開催されることも決定しました。
ツアーにはニッポンの社長以外にも、コットン・スタミナパン・セルライトスパ・ななまがり・ロングコートダディ・ママタルト・わらふぢなるおなど、予選や決勝で活躍した人気芸人が参加します。会場ごとに出演者が異なり、多様な笑いを楽しめる内容となっています。
- 東京:11月5日 なかのZERO大ホール
- 名古屋:11月22日 ウインクあいち 大ホール
- 他に大阪・札幌公演も開催予定
若手注目コンビ「エバース」の苦悩と成長
エバースは同期に四千頭身やザ・マミィがいる“第7世代”と呼ばれる若手コンビです。今では大注目ですが、同期と比べてブレイクが大幅に遅れたという苦悩も抱えてきました。彼らのコンビ結成のきっかけは、養成所での衝撃的な出会いでした。
- 佐々木は、「町田が一番声が大きくて一番スベってた」と当時を振り返ります。
- エバースは最近までゴミ屋敷で同居生活を送っていたことも明かし、意外性と苦労を笑いに変えるリアルなトークも魅力のひとつです。
同期のなかでも異色の経歴を持つエバースは、若手芸人らしい燃える思いとユニークさで、ファンの心をつかみ始めています。
バラエティ『あちこちオードリー』で明かされた本音
2025年10月8日放送のテレビ東京系バラエティ『あちこちオードリー』では、ニッポンの社長とエバースが共演。その素顔や本音、コンビの苦悩、周囲との関係、賞レースの裏話など、普段は見られない“お笑い芸人たちのリアル”が明かされ、大きく話題となりました。
- ケツが「先輩に可愛がられない…」という悩みを語り、独特の空気感が笑いを誘いました。
- エバースは養成所でのコンビ結成、ゴミ屋敷同居などの体験を告白し、視聴者に強い印象を与えました。
幅広い世代が出演する『あちこちオードリー』は、芸人同士の名トーク、業界裏話、リアルな悩みや葛藤にスポットが当たり、ファンから高い支持を受けています。
賞レース・お笑い界の新たな流れ
『ダブルインパクト』の開催は、漫才とコントどちらか一方にこだわりがちな従来のお笑いコンテストの潮流を大きく変えました。
これまで、「漫才師」「コント師」と別枠で評価されていた芸人たちが、二刀流という新しい価値基準で挑戦できる場が生まれたことは業界にとって大きな進化です。
ニッポンの社長の快挙も、今後“できる方が強い”だけでなく、“両方できる方が新たなスター”として認められることを裏付けました。
- 大会としての斬新さ、審査の視点が新しく、若手芸人にもチャンスが広がった。
- 実力主義だからこそコンビ自身の強み・個性が本領を発揮できる場となった。
- 若手のエバースのような個性派コンビも、競争を勝ち抜くために独自性が評価されやすくなった。
今後は、この「ダブルインパクト」のような“総合力”を問う賞レースが定着し、多様な笑いの在り方がますます認められていくことでしょう。
まとめ:お笑い界を支える芸人たちの情熱と絆
ニッポンの社長の初代王者獲得、そしてエバースの個性的な成長は、若手芸人たちがお笑い界で新たな風を巻き起こしていることを示しています。彼らは賞レースという晴れ舞台で競い合いながらも、苦悩や寂しさ、挑戦や夢を、舞台上でリアルに表現し続けています。その背景には養成所での出会いや日常生活での苦労がたしかに存在し、それらすべてが糧となって今の輝きへとつながっています。
『ダブルインパクト』の成功を通じ、今後も漫才とコントの壁を越えた“総合力”を持つ芸人たちが続々登場することでしょう。
ニッポンの社長とエバース――彼らの物語はこれからも、日本のお笑い界の新章を紡ぎ続けます。