地域ブランド調査2025 都道府県魅力度ランキング徹底解説 ~北海道17年連続首位、埼玉県は苦難の最下位~
2025年10月4日、「地域ブランド調査2025」の結果が発表され、全国47都道府県を対象とした最新の「都道府県魅力度ランキング」が公表されました。この調査はブランド総合研究所が主催し、今年で20回目、都道府県ランキングについては17回目を迎え、その動向は毎年社会的な注目を集めています。この記事では、ランキングの詳細な分析と各地の反応、そして「都道府県の魅力とは何か?」という本質的な問いまで、やさしく解説します。
都道府県魅力度ランキング2025 ~1位から最下位までの全体像~
- 1位 北海道(70.7点):17年連続で首位をキープ
- 2位 京都府(52.6点):17年間変わらぬ2位ながら点数は低下
- 3位 沖縄県(48.6点):前年からやや点数を落とすも上位維持
- 4位 神奈川県(43.1点):初の4位に浮上し、関東の序列に変化なし
- 5位 東京都(42.1点):昨年4位から5位に後退
- (以下略、全47都道府県の詳細な順位も公開済み)
- 47位(最下位) 埼玉県:2025年、初の最下位に
このランキングは、全国の消費者3万3449人を対象にインターネット調査を通じて実施され、認知度・魅力度・イメージなど計90項目に基づき点数化されています。調査期間は2025年6月24日~7月9日でした。
北海道が不動の17連覇!人気の理由は?
北海道は2009年から魅力度ランキング1位を堅持し続けており、今年も70.7点で堂々首位です。
回答者の実に86.2%が「北海道は魅力的」と答えており、大きな支持を集めました。ただし、点数そのものは前年(70.8点)より微減しています。「ブランドとしての“北海道”」は全国的に定着しており、今や富良野やニセコ、函館といった地域ごとの人気に分散しています。
都市部だけでなく広大な自然やグルメ、観光資源の豊富さは、老若男女を問わず高評価の要因です。しかし、2021年をピークに点数は徐々に低下しており、若い世代では評価が高まる一方、中高年層でやや停滞が見られるなど、世代ごとに感じ方の差も目立ってきています。
京都・沖縄も根強い人気、順位に変動も
- 2位の京都府は52.6点。2021年に点数が急上昇したものの、その後は下降傾向にあり、今年も減点となりました。
- 3位の沖縄県も49.8点から48.6点に低下しつつも安定の強さです。
- 神奈川県が調査史上初めて4位へ上昇し、東京都は5位に下落するなど、関東圏での順位変動も今年の特徴のひとつです。
埼玉県が悲願の“脱最下位”ならず、その理由とは?
2025年の魅力度ランキングで話題をさらったのは埼玉県の初の最下位です。2024年までワースト常連だった佐賀県(2025年は45位)、茨城県(同46位)を抜き、埼玉県が47位に沈みました。
調査主体のブランド総合研究所によれば、「埼玉独自の魅力が分かりにくく、県民や他県の人々にうまく伝わっていない」ことが大きな要因とされています。観光地・川越では「街並みの良さ」「ほどよく自然と買い物が楽しめる利便性」という声も聞かれましたが、インパクトや個性という点で、“埼玉らしさ”が浸透しきれていない現状が伺えます。
埼玉県は近年、映画や漫画で取り上げられるなど“イジられキャラ”として注目を集めることも増えていました。しかし、そのイメージが「無個性」と受け取られやすく、県外からの認知度が今一歩伸びなかったのかもしれません。
下位常連県の“最下位争い”と脱却への模索
- 2023年:茨城県が最下位
- 2024年:佐賀県が最下位
- 2025年:埼玉県が最下位
近年は茨城・佐賀・埼玉の3県を中心に“最下位争い”が続いています。いずれの県も特徴や個性の「発信の弱さ」や「他県との差別化の難しさ」が指摘されていますが、各県とも地元資源や観光の磨き直し、新たなブランディングに取り組んでおり、今後の巻き返しに注目です。
地域ブランド調査とその意義 ― 魅力度ランキングは何を測る?
この魅力度ランキング、「ただの人気投票」と捉える人も少なくありませんが、その本質はもっと深いものです。90項目もの設問で消費者が抱く印象を数値化し、実際の認知度・観光地の魅力・イメージ戦略・地元愛など、さまざまな視点から「地域ブランド力」を測定しています。
調査が企業のマーケティングだけでなく、自治体の観光プロモーションや定住促進・移住支援策の資料として活用されている点も見逃せません。2025年で20周年を迎え、過去との比較で地域づくりの変化・努力が可視化されてきています。
地域ブランドはどう育つ?魅力アップのための取組
近年ではランキング上位常連の自治体のみならず、中堅・下位県でも新しい観光資源の開発、地元食材のブランド化、SNSを使った情報発信など、地域ブランド力向上のための取組みが急速に進んでいます。
例えば、自治体同士の連携による広域観光ルートの提案、海外インバウンド対応の強化、子育て・移住支援の拡充など、ひとつの「強み」にとどまらない多角的な施策が求められています。
埼玉県の例でいえば、川越の観光拠点化や、さいたまスーパーアリーナなど首都圏のイベント拠点としての活用、工業や農業などの一次産業にも磨きをかけることで、独自の魅力発信のヒントが隠されています。
九州・沖縄のランキング動向、自治体ごとの注目度
九州・沖縄地方では沖縄県が全国3位とトップランナーの安定感を見せる一方、「いい部屋ネット」などの自治体ブランドランキングでも個性ある取り組みが脚光を浴びました。
鹿児島・宮崎・熊本など穴場的な自治体が、観光地や特産品だけでなく、安心安全な暮らしや定住しやすさの面で価値を高めています。「大都市だけが強い」時代から、「多様な魅力を持つ地域が評価される」流れになりつつあることが、今回のランキングからも見て取れます。
まとめ:ランキングは変化のきっかけ、「地域のブランド力」はこれからどうなる?
2025年の地域ブランド調査・都道府県魅力度ランキングは、北海道の圧倒的な人気と、激化する下位県の差別化努力、そして社会全体が「地域の魅力」を考え直すきっかけを提供しています。
この流れを受け、各都道府県や自治体が「その土地ならではの魅力」とは何か、「どう発信するか」をますます模索していくことは間違いありません。地域ブランド調査の次回結果にも、全国の関心が高まっています。