はじめに
2025年の秋、日本は政治の大きな分岐点を迎えています。石破茂首相の突然の辞任表明を受けて、自民党は10月4日に新総裁選挙を実施し、勝者が新首相に就任する見通しとなっています。その中で、高市早苗氏(64)が党総裁に選出されれば、日本で初めての女性総理大臣が誕生することになり、社会の注目は一気に「女性総理大臣が現実になるのか」という点に集まっています。
「女性首相、今回じゃない」5割 高市氏への評価は分かれる
主要メディアの読者を対象にした調査によると、「女性首相、今回じゃない」という回答が全体の約5割を占めたことが明らかになっています。高市早苗氏は歴代政権中枢を担ってきた実力者であり、強硬な右派色、故・安倍晋三元首相の後継者としての立場などを背景に、党内外で存在感を放っています。しかし、読者の評価はまさに真っ二つ。高市氏を推す声がある一方、「まだ時期尚早」あるいは「高市氏個人の問題ではなく、女性トップへの抵抗感がある」という声も根強い現実が浮かび上がっています。
こうした評価の分かれ目には、「日本の伝統的リーダー像」と「多様性への受け入れ」の葛藤が色濃く映し出されています。自民党内でも「いまこそ高市氏のような新しいリーダーが必要だ」という期待があるものの、高齢世代や保守本流の一部には「伝統を重んじるべき」という慎重論も残っています。ただし、欧米主要メディアは「日本の政治構造が転換点にある」と指摘し、高市氏擁立の成否が「ジェンダー平等」と「世代交代」のバロメーターになると報じています。
令和世代のリアルな声 “女性総理はアリ?ナシ?”
若い世代、とくに令和世代や現役高校生の声には、従来とは異なる価値観が鮮明に表れています。LASISAの調査によると、社会に出る直前の現役高校生の95%が「女性初の総理大臣はアリ」と回答。性別によるリーダーの区別にこだわらない、グローバルな価値観が広がっていることがわかります。
「政治は能力や政策が大事であり、性別で判断すべきではない」「女性だからといって感情的になると決めつけるのは偏見だ」といった声が多く、ジェンダーバッシングや無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)への強い反発も見られます。一方、「男女には向き不向きがある」「伝統的に男性が担ってきた役割もある」という意見も少数ながら存在し、世代間の意識の違いは大きいようです。
下のリストは、現役高校生の一部から寄せられた意見の抜粋です。
- 「総理大臣の仕事と性別は関係ない。国民を幸せにするために全力を尽くす人がなればいい」
- 「もし女性総理大臣が誕生したら、社会全体がより公平になるきっかけになると思う」
- 「『女だから感情的』『男だからリーダー向き』という決めつけはやめてほしい」
こうした若い世代の価値観は、将来的に日本の政治や社会のあり方に大きな影響を与えることが予想されます。一方で、古い慣習や固定観念にとらわれている層も少なくなく、今後は「世代間のギャップ」を埋めるための対話や意識改革が不可欠となるでしょう。
女性総理大臣が誕生したら…社会へのインパクトは?
もし高市早苗氏が総裁選で勝利し、総理大臣に就任した場合、日本社会にはどのような変化が起こるのでしょうか。現時点で考えられるインパクトをまとめました。
社会のジェンダー意識の変化
初の女性総理大臣は、企業や学校、地方自治体など「リーダー=男性」という無意識のバイアスを根底から揺るがす存在となります。女性が政治の頂点に立つことで、女性の社会進出やキャリア形成に対する期待が高まり、より多くの女性がリーダーシップの場に進出するきっかけとなる可能性があります。
また、若い世代の意識調査からもわかるように、「性別による壁」がなくなれば、個人の能力や意欲がより正当に評価される社会に近づくと期待されています。
国際社会での評価と日本国内の課題
世界から見れば、日本で初めて女性首相が誕生することは「ジェンダーギャップ指数の改善」への大きな前進と受け止められ、国際的な評価も高まると予想されます。しかし、その一方で国内では「伝統へのこだわり」「抵抗感」なども根強く残っているため、リーダーシップ発揮のためのハードルは依然として高いと言わざるを得ません。
実際、主要メディアの調査でも「女性が総理大臣になることには賛成だが、今回は時期尚早」と回答する人が半数近くに上っています。これは「女性が首相になることそのものへの反対」ではなく、「誰がなのか」「どんな政策を行うのか」という点への期待と懸念が複雑に絡み合っていることを示しています。
まとめと今後の展望
2025年秋の日本政界の焦点は、まさに「女性総理大臣誕生」の成否に集まっています。高市早苗氏の擁立は、世代交代とジェンダーの壁を打ち破る象徴的な出来事となり得る一方、社会の意識改革や多様性への受け入れにはまだ時間がかかりそうです。
令和世代の若い人たちは、性別や世代にとらわれず「能力」や「政策」を重視するグローバルな視点を持っています。一方で、中高年層や保守層には「伝統や慣習」を重んじたいという意見もあり、現時点で国民の意識は真っ二つに分かれているのが現実です。今回の総裁選の結果がどうなろうとも、「多様なリーダーが活躍する社会」を目指すための議論や意識改革が今後一層求められることは間違いありません。
みなさんは、女性総理大臣についてどう考えますか? ご自身の意見を改めて考えてみると、この国の未来の行方が少し見えてくるかもしれません。
参考・補足データ
今回の総裁選の有力候補者として、高市早苗氏のほかに小泉進次郎農林水産大臣(44)の名前も挙がっています。小泉氏が勝利すれば戦後最年少首相の誕生となり、世代交代の象徴にもなります。いずれにせよ、2025年の政界は「ジェンダーと世代の転換点」として歴史に刻まれる可能性が高まっています。