三谷幸喜脚本最新作『もしがく』、初回視聴率大苦戦と厳しい反響――大物キャスト集結も「話がごちゃごちゃすぎる」と賛否
2025年10月1日、フジテレビ系水曜22時枠でスタートした三谷幸喜脚本の完全オリジナルドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(通称:もしがく)が、予想外の厳しい船出を切りました。主演は菅田将暉さん、共演には二階堂ふみさんや神木隆之介さん、浜辺美波さんなど日本の映像界を彩る多くの豪華キャストが揃い、「三谷幸喜の半自伝的ドラマ」として大きな注目を集めていました。しかし、放送直後からSNSや視聴者の間で厳しい批判や落胆の声が続出し、初回視聴率も期待を大きく下回る結果となっています。
「ごちゃごちゃしすぎ」「豪華なのに面白くない」――初回放送後の反響
- 登場人物が多すぎて話についていけないという声が目立ちました。ドラマ好きの視聴者からも「キャラが多くて誰が誰だかわからない」「ストーリーが複雑でつかみどころがない」と戸惑いのコメントが多く見受けられます。
- 「豪華キャストなのに内容がぼやけている」「出演者は好きでも、物語の焦点が定まらず疲れる」という意見も多く、「昔は面白かったのに、三谷作品が失速している」といった厳しい感想まで出ています。
- 過去の三谷作品、特にコメディ色と群像劇スタイルで高評価を得ていた頃と比べ、「今作は笑える箇所も乏しく、魅力が感じられない」「初回拡大放送が30分も長く、内容も楽しめずに余計長く感じた」との指摘も相次ぎました。
注目された三谷幸喜の“25年ぶり民放GP帯連ドラ”
三谷幸喜さんが民放のゴールデン・プライム帯(19~23時)の連続ドラマを手掛けるのは、実に2000年放送の『合い言葉は勇気』以来25年ぶり。そのため多くのドラマファンが注目。「久々の三谷脚本をリアルタイムで見られる」と期待感が高まっていたものの、肝心の第1話放送後には、平均視聴率5.4%、個人視聴率3.1%と苦しい数字を記録。これは同枠の過去作と比べても芳しくない滑り出しで、「視聴率の失速は内容の分かりにくさも影響しているのでは」との意見も浮上しました。
なぜこれほどまでに「分かりにくい」のか――複雑な群像劇ゆえの難しさ
- 『もしがく』は、1984年の東京・渋谷を舞台にした青春群像劇。三谷幸喜さん自身の若き日の葛藤や経験も盛り込まれたオリジナル脚本という点で、既存のテンプレートに収まらない独自の構成となっています。
- しかし「俳優陣が多すぎてそれぞれの関係が掴めない」「話の軸が見えづらい」と、情報量が多すぎる群像劇特有の“混乱”を苦手とする人が続出しました。ネットでは「クドカン(宮藤官九郎)っぽいごちゃごちゃ感」との声もあり、過去作との比較もあがっています。
- 三谷作品の特徴である会話の妙やコミカルさも、「第1話ではあまり感じられなかった」「笑いが抑えめで、全体のテンションがつかみにくい」と、コメディ要素の弱さが違和感を抱かせる一因となっています。
作品の本質は“群像劇”と“会話劇”――しかし時代に合わない挑戦か?
考察系YouTuberのトケルさんなど専門家の批評では、「コメディーなのに笑いが少ないのが現代ドラマへのアンチテーゼになっているのでは」という分析がありました。三谷幸喜さんの真骨頂といえば、緻密でテンポの良い会話劇。しかし今作では冒頭から主要キャラの回想や絡み合う関係性を一気に描写するため、「一話目だけでもう疲れる」という感想がSNS上で多発。「現代の分かりやすすぎるドラマに挑戦する姿勢は感じるが、視聴者を引き込む導入力が弱い」といった意見もみられます。
豪華キャストに頼った結果、物語の焦点がぼやける?
- 三谷作品らしい名優の組み合わせは抜群ですが、肝心の導入作が「複雑すぎ」「面白味が感じられない」と映ってしまい、「キャストの顔見せ大会」で終わってしまったと指摘する声も。
- 複数人の主役級登場により、「それぞれのキャラクターが十分に深堀されない」「感情移入できるポイントが見つからない」など、視聴者の没入を阻害した可能性があります。
- 三谷作品を期待するファンからは「昔はもっと会話とアイディアで勝負していた気がする」「今回は映画の失速に続く残念な結果」と沈んだ意見も出ています。
一方で「今後に期待」の声も ――怒涛の伏線回収はあるのか
- 辛口評価が多い一方で、「後半で伏線が回収されて面白くなるパターンもあり得る」「群像劇なので徐々に各キャラの物語が絡みあうことに期待したい」と前向きな声もわずかにあります。
- 「フジテレビが力を入れているのは感じる。序盤で離脱者を増やしすぎず、最後まで引きこむ力が問われる」など制作側へのエールも。
主題歌『天国と地獄』と久部(菅田将暉)が辿る道にも注目
物語の重要なシーンでは、オッフェンバック作曲の『天国と地獄』が使用されている点も気になります。本作のテーマと「出会いの曲」としてなぜ同曲が選ばれたのか、ネットでは考察が盛り上がっています。「メタドラマ性(劇中劇的な構造)」や「人生も舞台も混じり合う」という三谷らしい遊び心、そして登場人物たちが成長し変化していく過程を暗示する演出意図が込められているのでは、との声もあります。
今後の展開と三谷幸喜ドラマへの期待
- 『もしがく』は、三谷幸喜“自伝的群像劇”の決定版として、大きな挑戦の意欲が感じられますが、その複雑な人物配置と会話劇中心の構成が、「情報量の多さ」でマイナスに作用した初回となりました。
- 三谷さんの作家性や演劇的な魅力が改めて世間にどのように受け止められるのか、「わかりやすさ」と「深み」の両立が可能なのか、今後の展開次第で高評価に転じるか注目です。
視聴者層の傾向やテレビドラマのスタイルが時代と共に変化するなか、三谷幸喜ドラマの“らしさ”が現代にどう響くのか――第二話以降にも注目していきたいところです。