リコー・東芝・OKIの事務機連合本格始動 ― 合弁会社ETRIAの開発・生産統合が生む新たな価値

2025年10月1日、オフィス機器業界において歴史的な節目となる大きなニュースが発表されました。
リコー、東芝テック、そしてOKI(沖電気工業)の三社が、これまでそれぞれに培ってきた
プリンターや複合機の開発・生産事業を「ETRIA(エトリア)」に統合
この新たな体制により、国内外の事務機市場に大きな影響を及ぼすことが期待されています。
本記事では、この「三社連合」の背景、統合の全貌、今後の展望について、わかりやすく解説します。

業界の3大プレイヤーが一つに――統合の経緯と目的

ETRIA(エトリア)の発足は、2024年7月にリコーと東芝テックが共同で設立したことに端を発します。
互いの開発力や生産力を結集することで、近年激しくなる市場の競争、ならびにユーザーニーズの多様化へ柔軟に対応するためでした。
そこへ2025年2月、長い間プリンター業界で独自の存在感を示してきたOKIも加わり、三社体制による本格的な事業連携が進められることになりました

  • リコーは世界的なオフィス機器メーカーとして、特に複合機やコピー機に高い技術力とシェアを持ちます。
  • 東芝テックは、主にPOSシステムや流通ソリューションに強みを持ちつつ、複合機分野でも独自の開発力を有しています。
  • OKIは高品質なLEDプリントヘッド技術などで長年独自色を発揮し、A3カラープリンターをはじめとするさまざまなプリント商品で知られてきました。

これまでリコーとOKIはA3カラープリンターのOEM供給や共同開発など、部分的な協業を発展させてきました。
しかし今回は開発・設計・生産まですべて統合する「次元の異なる連携」となります。

ETRIAへの統合内容と組織体制の変化

  • 2025年10月1日をもって、OKIはプリンター関連の開発・設計・生産部門をETRIAに完全移管
  • OKIのタイ現地法人であるOki Data ManufacturingもETRIAが引き継ぐ
  • 3社の出資比率はリコー80.74%、東芝テック14.25%、OKI5.01%
  • これに伴い、東芝テックのETRIAに対する影響も「持分法適用会社」から外れることになりました

これにより、社内外のリソース配分や経営判断の迅速化、新製品開発に向けたスピードアップが期待される体制が整いました

統合による具体的な効果とメリット

  • 技術の融合による新製品開発力強化

    OKIのLEDプリントヘッド技術や、各社が持つ基礎技術を集結。より高付加価値な複合機エンジン・プリンター商品の開発が期待されています
  • 生産規模の拡大とコスト削減

    拠点・設備の集約や、サプライチェーンの一本化により、開発から生産までの無駄を徹底的に省く体制が生まれます。
  • マーケットシェアの拡大

    リコー・東芝テック・OKIそれぞれが持つ販売チャネル・顧客基盤を活用し、国内外へ強力に自社ブランド商品を展開できます。
  • 新しい市場領域への進出

    例えばOKIの強みであるカラーラベルプリンターを活かしたAuto-ID市場へのシナジー効果、またワークプレイスのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援にも繋がります

実現される多様なブランド展開

今回の事業統合は「3社の個性が消えるわけではなく、それぞれのブランドは存続します」。
ETRIAが開発・生産した製品は、リコー・東芝テック・OKIそれぞれのブランド名で、各社のお客様に届けられます。
しかも、単にハードウェアを作るだけでなく、豊富なソフトウェアやサービスと組み合わせたソリューションとして業務改善や効率化を強力に支援します

グローバルに展開するETRIAと目指す将来像

  • ETRIAは現在、売上高4000億円。2028年度までに売上高5000億円・営業利益率5%という目標を掲げています
  • 合弁会社でありながら、透明性あるガバナンス・強固な協力体制を構築。
  • 地域や業種ごとに異なるニーズへのきめ細かな対応や、顧客企業のデジタル化、ワークフローの効率改善支援に注力します。

利用者・企業への影響と今後の課題

  • 利用者側のメリット:新製品やサービスの選択肢拡大に加え、効率化・コスト削減・サポート力向上という恩恵が見込まれます。
  • 企業側のテーマ:

    • 迅速な意思決定・開発サイクルの維持
    • 各社ブランドの個性・信頼感の継続的発信
    • グローバル市場での激しい競合環境への適応

今後もETRIAの成長と三社の戦略に注目が集まっています。経済・産業界にも大きなインパクトを与える今回の統合は、日本発のグローバル事務機メーカーとしてさらなる躍進を目指す上で、きわめて大きな一歩です。

まとめ ― 業界変革の主役へ

今回のリコー、東芝テック、OKIによるETRIAへの統合は、単なる協業にとどまらず、真の意味で「開発・生産プロセス統合」を実現した革新的な動きです。
各社の強みを余すことなく掛け合わせ、ユーザーにとってより便利で価値あるソリューションを提供し続ける姿勢に、今後も大きな期待が寄せられています。

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