日本が誇るサウナ文化、新たな一手――カシオ「サ時計」の魅力

2025年10月17日、カシオ計算機が「サウナー専用腕時計」の一般販売を開始しました。「サ時計」SON-100Hというその名は、サウナ愛好家の心に刺さる響きを放っています。この発表は、サウナや水風呂、外気浴を楽しむ現代のライフスタイルに、新たな彩りを加えようとするものです。

「サ時計」誕生の背景――サウナブームと課題

サウナ人気は近年ますます高まり、国内の利用者は年間約1,779万人とも言われるまでに成長しました。しかし、熱心なサウナーほど直面するのが「時間管理」の悩み。ととのう(サウナ後の心地よいリラックス状態)を大切にするあまり、「何分経ったかな?」と気になり、集中を妨げてしまうことが多かったのです。また、一般的な腕時計では、高温多湿のサウナ環境に対応できず、持ち込み自体が難しいという課題がありました。

こうしたサウナファンの声に応える形で生まれたのが、カシオ社員による新規事業提案プログラムからの発案。開発の原点は、「サウナに集中できる環境を創りたい」というスタッフの想いです。

サ時計「SAN-100H」の特徴

「SAN-100H」は、設定温度100℃までのサウナで使用できる耐熱設計が最大の特徴です。通常の時計が持ち込めなかった環境下でも、安心して装着してサウナタイムを楽しめます。

  • 12分計(サウナモード): サウナの経過時間をアナログ針で計測できる12分計機能を搭載。ボタンひとつで通常時計表示とサウナモードを簡単に切り替えられます。これにより、タイマーを意識せず、サウナに集中できるのが大きな魅力です。
  • 耐熱・防水・防曇設計: 耐熱電池の採用や内部部品の構造を工夫し、高温環境でも安定稼働。防水ケースに湿気の入りにくい樹脂を使い、時計内部が曇りにくい点も特徴です。また、裏蓋のネジが肌に触れにくい構造で、長時間の着用でも不快感がありません。
  • デザインとパッケージ: カラーバリエーションは、オレンジのバンドに白文字板の「SAN-100H-7B」と、バンド・文字板ともにブラックの「SAN-100H-1B」の2色展開。専用パッケージにはサウナ・水風呂・外気浴を楽しむ様子がイラストで描かれ、プレゼントにも最適です。
  • 価格と入手方法: 価格は1万6,500円(税込)。カシオ公式サイトや量販店、家電量販店での販売が予定されています。

注目のクラウドファンディングと市場の反応

「サ時計」は2024年、クラウドファンディングサイト「Makuake」で事前調査を兼ねて商品化決定後すぐにプロジェクトを立ち上げ。開始わずか9分ほどで約2,200台が完売する反響を見せました。この数字は、サウナ愛好家が「サウナ専用時計」を強く望んでいた証とも言えるでしょう。

この成功を受けて、カシオが正式に一般販売開始を決定。自社ウェブサイトや量販店で入手できるようになり、より多くのユーザーが「自分のサウナ時間」を楽しむことができるようになりました。

サ時計がもたらす、サウナ体験の新たな価値

「サウナに打ち込める安心感」――これがサ時計の最大の価値です。これまで、サウナルームの中で時計を見るために腕を上げたり、スマホのタイマーに意識を奪われる必要がなくなりました。手首の「サ時計」を見るだけで、サウナに没頭し、ととのうための時間を意識することに集中できます。

また、サウナはもはや単なる健康法ではなく、サードプレイス(第三の居場所)として人々の生活に溶け込んでいます。そんな現代のライフスタイルにおいて、「サ時計」は道具以上の意味を持つ存在。お互いの時計を見て「まだ入っているの?」「そろそろ上がる?」とサウナ仲間とのコミュニケーションツールにもなっています。

カシオのチャレンジ精神と今後の展開

カシオは、デジタル時計や耐衝撃時計「G-SHOCK」など、生活者の必要とする時計の開発を得意としてきました。今回の「サ時計」も、その新たな一歩。「ととのう」を追求する人々の声と、技術力が結びついた結果と言えるでしょう。

また、サウナ検索サイト「サウナイキタイ」とのコラボモデルや、今後のバリエーション展開についても、サウナ市場のニーズを探りながら積極的に展開していく構えです。

まとめ――「サ時計」でサウナ体験はもっと豊かに

カシオ「サ時計」は、単なる腕時計ではなく、サウナ文化を支えるアイテムとしての役割を担っています。これまで解決できなかった「サウナと時間管理」という課題に一石を投じ、サウナ愛好家の日常に新たな安心感と楽しみをもたらしました。

年々広がりを見せるサウナ人口にとって、「自分のサウナ時間」を大切に過ごせる新たな選択肢。サ時計が、日本のサウナ文化をさらに進化させる一歩になることは間違いありません。

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