ひろぎんホールディングス、OpenWorkデータを統合報告書に初活用

2025年9月30日ひろぎんホールディングスが、国内最大級の社員クチコミサイト「OpenWork」のデータを自社の統合報告書に活用したことが明らかになりました。この動きは、日本の金融持株会社の中でも先進的な取り組みとして注目を集めています。本記事では、実際の活用事例や今後の広がり、透明性向上の意義についてわかりやすく解説します。

統合報告書とは何か?

企業の統合報告書とは、財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)や企業価値創造の取り組みを一体的にまとめ、今後の成長戦略なども開示する重要なドキュメントです。従来は経営数値が中心でしたが、近年は「人的資本」の評価なども強く求められるようになっています。この流れの中で、“社員のリアルな声”をデータ化し、報告書に記載する取り組みが注目されています。

OpenWorkとは?

OpenWorkは、国内最大級の社員・元社員によるクチコミ情報サイトです。約1,300万人ものユーザーを持ち、10万社超のクチコミ・評価スコアを掲載するなど、企業の働きがいや職場環境の“実態”を把握できる情報プラットフォームです。利用者は企業の風土や文化、待遇などについての詳細なレビューを閲覧・投稿できます。この特徴から「企業の透明性を高める」ツールとしても存在感を増しています

  • 職場のリアルな雰囲気や人間関係まで可視化
  • 現役社員・OB/OGによる多角的なクチコミ
  • 企業ごとに数値化された「スコア」も用意

なぜOpenWorkが統合報告書に選ばれたのか

これまでの統合報告書は、どちらかというと企業側が“発信したい内容”が中心になりがちでした。しかし、「実際に社内で働く人の声」を反映することは、社外ステークホルダー・投資家・新規就職希望者に対しても信頼感の高い情報を提示することにつながります。

ひろぎんホールディングスでは、従業員のリアルな意見や評価を客観的に示すことで、「どんな会社であるか」「どのような課題や変化があるか」といった重要な側面を、従来以上に正確かつ誠実に伝える狙いがあります。OpenWorkから得られるクチコミデータは、“第三者視点”でもあり、企業の透明性・説明責任を一歩進める材料と言えます

ひろぎんホールディングスの報告書での活用実態

2025年版のひろぎんホールディングス統合報告書では、OpenWorkが提供する「従業員クチコミレポート」から抜粋した各種スコアやコメントが、人的資本・ダイバーシティ・働きがいなどのパートで活用されています。

  • 人事・組織の課題認識と改革方針の根拠にクチコミデータを使用
  • 他社とのベンチマークも含めた分析
  • 社員が感じる“働きがい”や“ワークライフバランス”についても数値で提示

実際の統合報告書では、グラフやスコアによる客観的なデータが複数掲載されており、投資家や就職希望者は、企業文化や現場の雰囲気まで把握しやすくなっています

金融業界でのパイオニア的事例

OpenWorkのデータを統合報告書に記載する事例はまだ少なく、ひろぎんホールディングスのこの決断は、金融業界のみならず広く注目されています。会社としてもこのデータ活用を通じて「市場や投資家との対話をより深める」ことを目指しているとしています

また、クチコミデータの活用により、「経営者から現場への情報伝達」だけでなく、「現場の声を経営層や社会へ発信する」双方向コミュニケーションが促進されるという点も新しい動きです。企業ブランドや社会的信用力の観点でも重要な意味を持ちます。

OpenWorkのデータはどのように活用されるのか

OpenWorkが企業向けに提供している「従業員クチコミレポート」は、単なるクチコミだけでなく、分析されたスコアや項目ごとの傾向をパッケージ化した資料です。これにより、企業は自社の強み・課題を体系的に把握しやすくなっています。

  • 項目ごとに点数化(例:成長環境・企業文化・ワークライフバランスなど)
  • コメント欄では具体的な体験談も参照可能
  • 他社や業界平均との比較データも取得可能

ひろぎんホールディングスでは、これらOpenWorkデータを業績報告の客観的根拠だけでなく、社内の改革や組織開発の材料としても活用しています。現場の温度感や意識変化は、経営上きわめて重要な指標といえるでしょう。

社会に与えるインパクト・今後の広がり

今回のひろぎんホールディングスの事例は、「企業が外部の声を見える形で経営開示する」パラダイムシフトの象徴的なできごとといえるでしょう。今後、ESG投資や人的資本開示の流れがさらに加速していく中で、「社員の声」を経営の“羅針盤”として活用する企業は増えていくと見込まれています。

  • 企業の説明責任・透明性向上へのニーズ増加
  • 就職・転職希望者にとっても“リアルな企業像”の把握が容易に
  • 市場参加者や社会からの信頼向上に寄与

OpenWork社としても「働く一人ひとりの声が、企業経営や社会を変革する原動力になる」と説明しており、今後はさらに多様な業種・企業でのデータ活用が拡大していくものと考えられます

まとめ

ひろぎんホールディングスが、OpenWorkのデータを統合報告書に初採用したことは、「社員の声」や「働きがい」といった定性的情報を、企業経営・持続的成長戦略の核心に据える象徴的な出来事です。従業員や投資家、就職希望者など、すべてのステークホルダーに向け“リアルな情報開示”を磨く動きが、今後の日本企業の新しいスタンダードとなるかもしれません。

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