東京農業大学で開催された映画「大地に詩を書くように」特別試写会と監督トークセッション、そして現場からの農村学教室について

はじめに

東京農業大学は、未来の農業を担う人材育成や、地域社会への貢献、芸術とのつながりに力を入れています。2025年9月27日には、国際センターにて、映画「大地に詩を書くように」の特別試写会と、チョン・ダウン監督によるトークセッションが行われ、多くの学生や関係者が参加しました。この記事では、当日の様子や、農業経営と社会貢献についての学び、とりわけ東京農業大学国際食料情報学部アグリビジネス学科での教育について、詳しくお伝えします。

映画「大地に詩を書くように」特別試写会の詳細

  • 開催日:2025年9月27日
  • 場所:東京農業大学 世田谷区桜丘 国際センター
  • 主催:造園科学科百周年記念事業
  • 作品概要:韓国の造景家チョン・ヨンソンさんを描くドキュメンタリー

映画「大地に詩を書くように」は、国際造園会連盟(IFLA)の「ジェフリー・ジェリコ賞」を韓国人として初めて受賞したチョン・ヨンソンさんの活動や思想を描いています。この賞は造景界で最も権威あるものであり、彼が追求してきた韓国的風景の未来への挑戦が物語の中で表現されています。

特別試写会後には、チョン・ダウン監督自身が登壇。東京農業大学の学生たちから寄せられる多くの質問に、丁寧に一つひとつ答えました。とりわけ、長期間に渡る撮影へのこだわりや工夫について、「それぞれの季節、時間帯による風景の美しさを捉えるために6年かけて撮影した」など、具体的な制作裏話も披露され、会場は大いに盛り上がりました。監督は「日中の強い日差しは美しく撮れないため、撮影時間帯を工夫した」とも語りました。

造園科学科百周年記念事業の意義

  • 造園科学科創設から100年の節目にあわせ企画
  • 空間・自然・人との関係性に注目した映像制作
  • 学びと社会・芸術の連動を強調

この試写会・トークセッションは、造園科学科100周年記念事業の一環として実施されたものです。造景分野の第一人者を通じて、土地や空間、人間の営みと芸術、そして未来への責任を考える機会となりました。現代農学部学生にとっては、芸術と科学を融合させる新たな学問の姿勢に触れ、自分自身を見つめ直すひとときになりました。

上映作品の魅力と今後の展開

  • 本作は「4K映像」とドローンショットによる美しい風景表現が特徴
  • 全国公開は2025年10月25日より ポレポレ東中野他、順次開始

配給会社「スモモ」の担当者からは、「4K撮影の美しい映像やドローンによる空撮が映画館でより迫力ある体験となるため、多くの方に劇場に足を運んでほしい」と呼びかけがありました。公開は今後、全国の映画館で順次行われ、地元だけでなく多くの人々に本作品が届けられる予定です。

農業経営・社会貢献とマーケティング:現場からの農村学教室の取り組み

同時期、東京農業大学国際食料情報学部アグリビジネス学科では、農業経営における社会貢献とマーケティングの重要性をテーマにした実践的教育が展開されています。半杭真一教授による「現場からの農村学教室」では、農業という産業が地域コミュニティを支え、持続可能な発展に寄与するためには何が必要かを、具体例と現場の課題を交えて解説しています。

  • 農業経営の社会的役割を実感できるフィールドワーク
  • マーケティング理論と現場の実践知の組合せ
  • 地域経済と農業の持続性を考えるカリキュラム

農業は食料生産や環境保全のみならず、雇用・伝統文化・地域活性化など多面的な役割を担っています。アグリビジネス学科では、「生産から消費までの流れ」「ブランド化」「地産地消」「地域資源の活用」などマーケティングの視点も重視し、自立した経営者・地域指導者を育成する教育を行っています。

SDGsと東京農業大学:地域社会への貢献

  • 2025年度「未来への挑戦 東京農大 SDGsコンテスト」開催
  • 高校生も参加可能な地域貢献企画

東京農業大学では、持続可能な開発目標(SDGs)をテーマとしたコンテストも毎年行われています。農業・食料・環境の分野で、身近な取り組みやアイデアを自主的に発表できる場を提供し、高校生を含む若者たちを積極的に募っています。

SDGsの理念と大学の教育が一体となり、地域社会の課題解決、農業のイノベーション、人材育成に向けて多彩な活動が展開されています。これにより、キャンパスと社会のつなぎ役となる人材が育まれています。

学生たちの声と今後の展望

  • 映画監督への質問から、農学への熱意や未来へ向けた思いが伝わる
  • 農業経営・マーケティング・地域貢献への関心が高まる
  • 造園科学と芸術文化の融合や多様な学びの機会が広がる

試写会当日、上映後のトークセッションでは、学生たちから「映像美と季節感」「現場で感じた自然の力」「撮影期間中の苦労」など専門的な質問が絶えず続き、会場の熱気は冷めることがありませんでした。農学の学びから広がる芸術や社会学的視点の重要性が、多くの参加者に改めて認識されました。

今後も東京農業大学は、農業教育の枠を越え、地域社会への責任、そして芸術・文化の発信地としてさまざまな活動と交流を続けていくことでしょう。若い世代の熱意や新しい発想が、未来の農村・地域づくりにつながっていくことが期待されます。

まとめ

  • 東京農業大学における映画「大地に詩を書くように」試写会と監督トークセッションは、科学と芸術の融合を象徴するイベントとなった
  • 農業経営と社会貢献の現場教育を通じて、学生たちの実践力や地域への責任感が育まれている
  • SDGsへの幅広い取り組みと若い世代への期待が大学全体で高まっている

これからの東京農業大学には、地域社会を支えるリーダー、多面的な視点を持つ農学者、自然と芸術を融合させる新しい表現者が生まれていくでしょう。大学の最新ニュースやイベントを通じて、ますます多くの人々が農業の可能性とその発展に注目しています。

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