天皇皇后両陛下、32年ぶりの思い出の地・滋賀へ—2025年国民スポーツ大会と地域との温かな交流

はじめに

2025年9月28日から29日にかけて、天皇皇后両陛下が滋賀県を公式訪問されました。今回のご訪問は「第79回国民スポーツ大会(国スポ)」の総合開会式へのご出席をはじめ、様々な滋賀県内行事へのご参加のためであり、ニュースやSNSでも多くの注目を集めました。
この地は、両陛下お二人にとっても特別な思い出がある場所。「お二人のご結婚後わずか2カ月」で初めて地方公務として訪れ、湖国・滋賀に心温まる和歌を残したことでも有名です。
本記事では、両陛下の今回のご訪問の様子や、かつての滋賀とのご縁、国スポの模様、県民や関係者との交流、今訪問がもたらした地域への新たな光について、詳しくやさしい言葉で読み解きます。

両陛下と滋賀 —32年前の“近江路の旅”と琵琶湖の思い出—

今から32年前、両陛下がまだ新婚の「皇太子ご夫妻」であった1993年8月、滋賀を地方公務で訪問されました。このとき、両陛下は琵琶湖を眺め、その景色をテーマにそれぞれ和歌を詠んでいます。
両陛下は当時の旅行を振り返りつつ、今回のご訪問がいかに特別なものであるかを語られました。
平成5年(1993年)9月の放送「皇室ご一家」では、その旅の模様が伝えられています。
両陛下が見た琵琶湖の穏やかな波や月の光、旅館の窓からの景色は、翌年の歌会始にて発表され、大きな話題となりました。
このように、両陛下にとって滋賀は「思い出の地」であり、今回のご訪問は当時と今とを重ね合わせる感慨深いものとなりました。

2025年国民スポーツ大会(国スポ)と皇室のご関心

  • 第79回国民スポーツ大会は、2025年に滋賀県で開催され、日本各地の代表選手が熱戦を繰り広げる全国規模のイベントです。
  • 両陛下は総合開会式にご出席されただけでなく、各競技の現場を実際にご覧になり、選手や関係者に温かい励ましの言葉をかけられました。
  • また、天皇陛下は「男子のスマッシュが速い」とバドミントン競技の迫力に驚かれるなど、競技を真剣に観戦されていた様子が報道されました。

この国民スポーツ大会はスポーツ振興や地域活性化に大きな役割を果たし、多くの県民や関係者が大きな誇りと期待を抱いて準備や運営に取り組んでいます。
両陛下のご訪問は大会の重要性を広く知らしめ、選手はもちろん応援する市民やスタッフにとっても大きな励みとなりました。

バドミントン競技へのご訪問の様子

両陛下は「大津市」の大会会場に直接足を運ばれ、バドミントンの試合を観戦されました。
会場では関係者と笑顔であいさつを交わし、競技の説明に熱心に耳を傾けておられました。「ときおり体を乗り出して観戦される」など、真摯な視線で選手のプレーに集中されていたのが印象的です。

  • 試合終了後には、選手やスタッフと温かい言葉を交わし、競技への関心の高さが伝わりました。
  • 両陛下の観戦は全国のバレーボールやバドミントンなどの競技関係者にとっても大きな名誉となり、「スポーツを愛する心」が一層広がりました。

県立盲学校の特別なご訪問—優しいまなざしと交流

両陛下は、国スポとあわせて、「県立盲学校」を訪問されました。
中高生たちが「点字毎日」を用いながら封筒を作成する授業を見学されました
(「点字毎日」とは点字で印刷された新聞です)。同校の生徒たちが一生懸命に封筒作りに取り組む様子に、陛下は「作業はどうですか」と声をかけられ、生徒は「楽しいです」と元気に答えていました。
皇后さまは生徒に「難しいところはありますか」と穏やかに尋ね、生徒は封筒作りの細かなところ—たとえば「下のテープを剥がして丁寧に折るところが難しい」と答えていました。
このような対話を通じて、学校現場の努力や障害者支援の大切さに対する皇室のご理解・ご配慮がよく伝わりました。

  • 生徒たちが作る封筒は「全国障害者スポーツ大会」のバザーで販売される予定です。
  • 両陛下は盲導犬と暮らす方々とも交流し、実際に盲導犬の賢さについて会話を交わされました。

障害者スポーツ・福祉活動に関するご高配

ご訪問なさった「長寿福祉センター」では、ボランティア活動に励む大学生たちと懇談し、障害者スポーツ大会の意義や、誰もが参加できる社会の実現についてもお言葉を交わされました。

  • 「障害者と健常者が共にスポーツを楽しみ、支え合う社会」は、国民の多様な在り方を肯定し、未来への大きな光となっています。
  • 両陛下のこうしたお心遣いは、地元関係者だけでなく多くの視聴者にも深い感動を与えています。

県民・参加者との温かい交流のひととき

今回の訪問にあたり、滋賀県内では多くの市民が両陛下を待ちわび、沿道にはたくさんの人々が集まりました。
どこに行っても大きな人だかりができ、お二人が登場するたび歓声や温かな拍手が沸き起こっていました。
ご訪問中、両陛下は「7年ぶりに2人揃って滋賀を訪れることができ、嬉しく思います」と感想を述べ、地元の人々への感謝を言葉にされました。

和歌に込めた両陛下の想い—琵琶湖の静かな波とともに

両陛下が1993年に詠んだ和歌が、今回の訪問にも彩りを与えました。
お二人で旅館から眺めた琵琶湖の美しい景色は、「君と見る波静かなる美の海さやけ月は二のも押してるお」「我が妻と旅の宿より眺めれば並み渡つの海にやはり琵琶湖揃いの歌になりました」と歌に綴られています。
この和歌は今も広く親しまれ、両陛下の滋賀県への想いや夫婦の絆の深さに、多くの人々が共感しています。

国スポ・バレーボール競技をめぐる地域と皇室のつながり

今回の国民スポーツ大会では、さまざまな競技が県内各地で開催されています。
とりわけバレーボールやバドミントン競技は、若者からシニアまで幅広い世代の関心を集めており、両陛下のご観戦はこれら競技への注目度を一層高めています。
競技に参加した選手、指導者、ボランティア、応援に駆けつけた家族全員が「スポーツがつなぐ絆」を強く感じた2日間となりました。

  • 国スポは単なるスポーツの祭典だけでなく、地域振興や健康増進、共生社会の実現に向けて多くの影響を与える「地域の宝石」です。
  • 両陛下が直接ご観戦されたことが、今後の大会やスポーツ振興、障害者福祉の推進にとって大きな象徴となります。

おわりに

天皇皇后両陛下の滋賀ご訪問は、32年前の「近江路の旅」と今とが温かく重なり、国民スポーツ大会という大舞台を通じて、スポーツ・福祉・地域・人々の心がひとつになった貴重な機会となりました。
両陛下は、ひとつひとつの出会い、対話、和歌、観戦の瞬間を大切にされ、次の時代への希望と優しさを届けてくださいました。
この滋賀での2日間が多くの人々の記憶に深く刻まれ、今後の日本のスポーツと地域社会に明るい未来をもたらすことを願わずにはいられません。

参考元