2025年凱旋門賞を巡る激動—日本馬登録取消とパリの舞台裏

はじめに

毎年秋になると、フランス・パリのロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞は、世界最高峰の競馬レースとして多くの注目を集めます。特に日本においては、長年「凱旋門賞制覇」は大きな夢とされ、多くのファンや関係者が熱意を傾けてきました。
2025年9月29日、この伝統あるビッグレースを巡り、日本馬にとっても大きな転機となるニュースが相次いで報じられています。本記事では、今年の登録取消や日本馬の現状、そしてファンが楽しめる催しなど、多方面から最新動向を詳しく解説します。

凱旋門賞の概要と日本馬の挑戦

凱旋門賞(Prix de l’Arc de Triomphe)は毎年10月初旬、フランス・パリロンシャン競馬場の芝2,400メートルで行われます。世界最高峰と称されるこのレースは、多様な国からの精鋭馬が集結し、頂点を争う伝統と格式を誇ります。
パリロンシャン競馬場のコースは独特で、途中に10メートルもの勾配があり、東京競馬場の坂すら凌駕する難しさが特徴です。コース前半では体力を温存し、終盤の長い直線勝負で決着がつくことが多く、世界中のトップホースと騎手がその腕と知恵を競い合います

第1回登録取消で日本馬に激震—80頭から17頭へ

2025年の凱旋門賞は、当初80頭が登録されていました。しかし、9月29日、主催者が発表した「第1回登録取消」により、登録馬がわずか17頭に大幅激減しました。なかでも注目されたのが、登録していた日本馬3頭(ヘデントール、シンエンペラー、レガレイラ)の取消です。

  • ヘデントール: 長距離での安定した成績により日本でも注目された馬
  • シンエンペラー: 若いながら成長著しい存在で期待を集めていた
  • レガレイラ: 牝馬として日本の一線級。欧州適性も注目されていた

彼らの登録取消は、日本競馬界に衝撃と落胆をもたらしました。なお、今回の第1回登録取消に続き、9月30日には第2回登録取消が控えており、この時点でも取消を希望する場合は“取消料”として6000ユーロ(約104万円)が必要となります

日本馬が登録取消となった背景

詳細な理由は明らかになっていませんが、長距離輸送や現地適性、調整過程での不安、または馬主サイドの熟慮などが影響した可能性があります。特に凱旋門賞は“特有の重い馬場”(芝コンディション)や“坂の連続”といった過酷な条件が多いため、日本の芝や環境に慣れた馬が戦うには様々な配慮が必要です。

このように登録取消は珍しいことではなく、過去にも有力馬が直前で回避する例が多数あります。馬主や調教師にとっては、万全の状態でなければリスクが多く、慎重な判断が求められます。

出走予定の有力馬・各国の状況

残る17頭には、ヨーロッパの王者、フランスやアイルランド、イギリスなどを代表する強豪たちが集結しています。なお、9月29日時点では他の日本馬の追加登録もなく、日本勢は今年は一旦見送りとなる様相です

主な対抗馬や注目ポイントは次の通りです。

  • 欧州の実力馬ジアヴェロット号や、フランスの有力古馬陣
  • アイルランドやイギリスの中長距離路線のスターたち
  • 地元ロンシャン競馬場に精通する騎手・厩舎の強さ

今年は出走頭数が大きく絞られたため、例年より少数精鋭での激闘となる見通しです。

パブリックビューイング開催—東京競馬場からのエール

日本馬の出走こそ叶わなかったものの、日本各地で凱旋門賞の熱狂は続いています。東京競馬場では「凱旋門賞パブリックビューイング」の実施が決定し、多くの競馬ファンがリアルタイムでレース観戦できる環境が整えられました。

  • 大型映像装置によるダイナミックな観戦体験
  • 海外並・現地気分を味わえるグルメやイベント
  • 来場者による応援フラッグ掲示やライブ解説

過去にも日本馬が凱旋門賞で惜敗した際、こうしたパブリックビューイングが多くのエールを集め、選手・関係者にとっても大きな力となってきました。今年も現地に負けない熱量で、大舞台を盛り上げることでしょう。

現地調整続く—順調な日本馬も

先述のとおり、多くの日本馬がエントリーを見合わせた今年ですが、一部馬は引き続き現地での調整を続けています。とくに「クロワデュノール」は現地入り後も順調に調教を積み、鞍上の北村友一騎手は「ダービー以上になるかもしれません」とその手応えと意気込みを語っています

こうした現地調整馬には、”

  • 欧州の馬場や気候に順応するため早期遠征を選択
  • 現地トップホースたちとの共同追い切りで実戦的な鍛錬

”など、よりリアルなグローバル競馬の現場が息づいています。

また、登録取消後も一縷の望みを繋いで調整を続けるスタッフ、関係者の姿は、多くのファンの共感と応援を集めています。

凱旋門賞特有の登録取り消し制度について

凱旋門賞では独自の登録取消制度が存在します。通常、1回目と2回目の取り消しタイミングが設定されており、2回目取消には取消料も発生します。
この仕組みにより、出走調整はギリギリまで続き、各厩舎・馬主陣営は直前まで慎重な判断を繰り返します。特に日本から長距離遠征を伴う場合、馬の健康状態やコンディション確認が最重視されます。

  • 1回目の取消:取消料不要。多くはここで取捨を決定
  • 2回目の取消:6000ユーロ(約104万円)の取消料が発生(2025年)

これにより、出走頭数が一気に絞られ、例年さながら“真の頂上決戦”の舞台が整います。

日本競馬界と凱旋門賞のこれから

長年、日本からの凱旋門賞制覇は「夢の扉」とされてきました。ここ10年ほどで日本馬がたびたび好走し、惜しくも涙をのむ場面が続いてきましたが、2025年は出走馬が登録取消となり、また新たな課題と挑戦が残されました。

一方で、パブリックビューイングをはじめ、さまざまな形で“世界への挑戦”にエールを送り続ける日本のファン、そして現地で努力を絶やさぬ調教師・騎手たちの熱意は途切れることがありません。
今後も日本馬・関係者が再び凱旋の舞台に立ち、その夢を叶える日が訪れることを、誰もが心待ちにしています。

さいごに

2025年の凱旋門賞は、日本馬の登録取消という異例の展開となりましたが、この世界最高峰のレースを巡る情熱とドラマは絶えません。
現地でも日本でも、多くの人々が感動し、共に歓喜と涙を分かち合う秋の大一番。ファンの熱い思いと、現場で奮闘する関係者の力が、未来への希望へとつながっています。来年以降、新たな挑戦者の登場と、“日本悲願”のその瞬間をまた期待しましょう。

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