NTTの固定電話「銅回線」廃止へ──30年ぶり基本料値上げと光回線への転換
はじめに
2025年9月29日、NTT東日本とNTT西日本は、固定電話サービスで長年利用されてきた銅回線(メタル回線)について、段階的な廃止と光回線・モバイル回線への移行を発表しました。これは約30年ぶりとなる基本料金の値上げと並ぶ、大きな通信インフラ変革の一環です。この記事では、このニュースの背景や影響、切り替えの流れについて、わかりやすくご説明します。
固定電話の銅回線廃止の背景
- 設備の老朽化──長年使われてきた銅回線は部品や設備の劣化が進み、安定運用や維持管理が難しくなっています。
- 利用者の減少──携帯電話やスマートフォン、光回線の普及により、固定電話契約数は1997年のピーク時6322万件から2025年には約1130万件まで激減しています。
- 社会環境の変化──人口減少や高齢者の詐欺被害予防のための解約も後押ししています。
- NTTのインフラ限界──NTTは2035年までに銅回線を完全廃止する方針を正式表明しました。
今後の移行スケジュールと政府・NTTの計画
銅回線の段階的廃止は、2026年より一部地域で先行実施され、特に設備の老朽化が深刻なエリアから開始されます。その後、徐々に全国へ移行が広がり、2035年までに完全廃止の目標です。今後も固定電話が必要とされる環境へのサポートも検討されています。
銅回線廃止による具体的な変更点
-
「加入電話」「ライトプラン」等の回線使用料改定
NTTは基本料金の30年ぶりとなる値上げを発表しました。これにより、利用者負担が上昇します。 -
回線種類の変更
従来の銅線を利用したサービスから、光ファイバー(光回線)、モバイル回線への切替が図られます。 -
利用可能なサービス
移行後は固定電話だけでなく、インターネットやテレビも含め、より高速・安定した通信サービスが利用可能になります。
光回線・モバイル回線への移行方法と注意点
従来の銅回線から光回線やモバイル回線へ切り替える際は、以下の手順を踏む必要があります。
- 契約中のサービス事業者サイトや販売店で申し込み
- 回線事業者から設置可能エリアの連絡・手続き案内
- 必要書類の送付・受付
- 開通工事の日程調整・決定
- 工事(屋外引込・屋内設置)実施、回線終端装置(ONU)の設置
- 開通後にネットワーク設定を自身で行う
- 元の回線契約の解約(工事と利用開始の間に空白が生じないよう注意)
特に光回線は工事が必要なため、申込みが集中する時期は日程調整が難しくなり、インターネット等が使えない期間が発生する場合があります。余裕を持った早めの申請が推奨されています。
移行のメリットと注意点
-
通信速度と安定性の向上
光回線は従来の銅回線に比べて通信速度が格段に速く、安定した利用が可能です。 -
多様な利用方法
インターネットだけでなく、ケーブルテレビやモバイルWi-Fiなど、多様な選択肢があります。電話回線を使ったサービス終了後も、通信手段が多数残されます。 -
利用者負担の増加
工事費用や新しい通信機器の導入、基本料値上げなど、金銭的負担が増える場合があります。 -
高齢者・特殊事情世帯の配慮
固定電話が不可欠な環境では、光回線対応機器や移行サポートが必要です。
今後の生活・ビジネスへの影響
-
家庭の固定電話の役割低下
モバイル端末普及で家庭での「家の電話」はますます減少傾向となります。今では営業・セールス・詐欺など、不必要な着信の割合が増えています。 -
法人も携帯・メール中心へ
会社でも代表番号だけ残し、社員は個人携帯やメールで連絡というスタイルが増えています。 -
高齢者への注意喚起
廃止告知を悪用した「電話が使えなくなる」という詐欺的営業にも警戒が必要です。
なお、固定電話が完全に使えなくなるわけではありません。NTTの正式発表や移行手続きに則り、段階的な切り替え・代替手段が用意されますので焦る必要はありません。
まとめ
今回のNTTによるー固定電話「銅回線」の廃止と基本料金値上げは、通信インフラの大きな変革です。背景には社会構造・技術革新・利用実態の変化があり、利用者は今後光回線やモバイル回線の導入を余裕を持って進める必要があります。今後の発表や案内を見逃さず、安心して切り替えを行っていきましょう。