金価格が史上最高値を更新:背景と今後の展望
現在、金価格に関する動きが世界中の金融市場で大きな注目を集めています。2025年9月23日には、米ドル建て金価格(XAU/USD)は終値で史上最高値の3,760ドル台を記録しました。これは、近年の金相場の上昇トレンドが続き、様々な国際情勢や経済政策が金価格に影響を与えていることを示しています。
金価格のこれまでの推移
2000年以降の金価格の推移を見ると、以下のような段階的な値上がりが確認できます。
- 2000年代初頭は300ドル前後で推移
- 2008年の金融危機を経て1000ドルを突破
- 2011年の欧州債務危機期には1900ドル付近まで上昇
- 近年は2000ドル~3200ドルという高値圏で推移し、2025年4月には3200ドルを突破
- 2025年9月、3760ドル台と過去最高値を更新
このように、世界経済の不安定化や政策金利の操作に連動して、金は「安全資産」として強い存在感を示し続けています。
金価格急騰の要因
- アメリカの金融政策(利下げ観測):米連邦準備制度理事会(FRB)は、利下げの可能性を示唆。利下げが実施されると債券などの金利資産の魅力が減少し、非利息資産である金の価値が相対的に高まります。
- 地政学リスクの高まり:国際紛争や不安定な政情が続くことで、安全資産としての金への需要が増加します。
- インフレ懸念:各国政府の積極的な金融緩和政策や商品価格の高騰などにより、
物価上昇が続いていることが、金の価値を押し上げる一因となっています。 - 為替相場の変動(ドル安):米ドルが下落傾向にあるとき、通貨分散や資産防衛の観点から金購入が活発化します。
- 資産運用の多様化:機関投資家、個人投資家ともにリスク分散のため金をポートフォリオに組み込む傾向が加速しています。
今週の金相場:短期的な動きと注目点
専門家の董镇元氏は、「今週は米国の非農業部門雇用者数(非農業雇用統計)の発表を控え、金と銀は短期的な調整を経て、再び上昇基調になる」と分析しています。つまり、短期的には売り圧力がかかった後、強い買い需要が持ち直すことが期待されています(ニュース内容1)。
また、9月29日の「財経早餐」では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測の強まりが金価格を支えている点や、ロシアが対話を通じて地政学リスクの緩和に努めていることが、原油価格の高騰を抑制する一方で、金価格の高止まりを下支えしていると伝えられています(ニュース内容2)。
今後の金価格の見通し
- テクニカル分析:週足チャートで200週移動平均線より上での推移が続いています。今後もこの水準を明確に割り込まない限り、上昇トレンドは継続する見方が優勢です。
- 価格帯の予想:専門家や各種AIによる2025年の金価格予想は、年内に最大で4,300ドル付近まで上昇するケースも指摘されています。
- 下落リスク:これまでレジスタンスとなってきた2,000ドル水準がサポートとして意識されており、大きく下落した場合はこの水準や200週移動平均線が目安となりそうです。
銀と原油の動向、金市場への影響
- 銀価格も金と並行して動く傾向が強く、リスク選好やインフレ懸念が高まる局面では金銀比の変動とともに注目されます。
- 原油価格は、ロシア・ウクライナ情勢や産油国の生産方針によって上下し、インフレ動向や金価格にも間接的な影響を与えます。
個人投資家・実需層の動き
近年は、個人投資家の間でも金投資への関心が高まっています。また、伝統的に金を保有する文化のある地域では、資産防衛や結婚需要など実需面でも価格上昇が続いています。
今後の注目ポイント
- FRBの金融政策(利下げ実施の有無)
- 米国雇用統計や消費者物価指数(CPI)など景気指標の動向
- 国際情勢の緊張・緩和(特にウクライナ・中東問題)
- 各国通貨政策の変化(ドル・円・ユーロの動き)
- 世界的なインフレ率の持続・鎮静化
まとめ:金投資は「長期目線」が基本
金は、世界経済の変動やインフレ、不安定な国際情勢など多様なリスクに備える「安全資産」として今後も注目され続けるでしょう。テクニカル・ファンダメンタル双方の視点を持ちながら、長期的な目線で資産分散やリスクヘッジの一環として活用を考えることが重要です。