アクセンチュア、1300億円規模のリストラ計画発表と増収増益の2025年決算

アクセンチュア(Accenture)は、2025年9月28日に大規模な組織再編成を発表し、約1300億円規模にのぼるリストラ計画を明らかにしました。一方で、同社は2025年8月期の通期決算において、売上高・営業利益がともに前年比7%増となる好業績を報告しています。また、UBS証券は同社株価について、強力な見通しを受けて目標株価を315ドルに据え置きました。

巨額リストラ計画の背景と内容

アクセンチュアが発表したリストラ計画は、その規模が約1300億円にのぼり、業界内外に大きな衝撃を与えています。同社によると、今回のリストラはグローバルな事業構造の見直しおよび効率化を目的としたものであり、今後数年にわたって段階的に実施される見通しです。

  • 主な対象は管理部門やバックオフィス業務などの間接部門で、クライアント向けのサービス部門への影響は最小限にとどめる意向とされています。
  • アクセンチュアは、今回のリストラによるコスト削減効果を業務効率化やデジタル領域への再投資につなげる方針です。
  • 従業員には配置転換や退職勧奨などが行われるとされており、人材育成や再就職支援も提供される予定です。

こうした大規模リストラは、グローバルなコンサルティングやITサービス業界にとっても決して小さな出来事ではなく、今後同業他社の動向にも注目が集まりそうです。

7%増収増益の好業績、通期決算のポイント

アクセンチュアが同日に発表した2025年8月期の連結業績によると、売上高は前年同期比7%増の696億ドル、営業利益も7%増の102億ドルとなり、いずれも過去最高を記録しました。

  • 売上高:696億ドル(前年比7%増)
  • 営業利益:102億ドル(前年比7%増)
  • 1株当たり配当:5.92ドル(前年より増配)

決算説明会で経営陣は、クラウドやAIなど先端領域の需要拡大、新事業モデルへのシフトが成長を後押ししたとコメントしています。特にヘルスケア、消費財、自動車業界などが堅調に推移し、受注残高も過去最高水準となりました。

配当増配、株主への還元強化

記録的な増収増益を受けて、アクセンチュアは1株あたり配当を前年の5.12ドルから5.92ドルへと約16%増配することも発表しました。これは株主への還元強化の姿勢を示すものです。

  • 増配は通算で7年連続となります。
  • 自社株買いも継続し、財務体質の強化と中長期的な株主価値向上に注力しています。

市場関係者の一部からは「巨額リストラの発表と同時の増収増益・増配は、アクセンチュアの財務基盤の強さと経営手腕を象徴している」との評価も上がっています。

UBS、株価目標315ドルを維持 「強力な見通し」

大手証券会社UBSは今回の決算と経営計画を受け、アクセンチュア株の投資判断を「買い」で維持し、目標株価を315ドルに据え置きました。

  • UBSはレポートの中で「アクセンチュアはデジタル、AI分野への継続投資とグローバルな顧客基盤の拡大が続く限り、今後も安定的な成長が期待できる」とコメント。
  • クラウド、セキュリティ、サプライチェーン最適化といった新規事業の伸長が成長の原動力となっている点も評価されています。

これにより投資家心理は比較的安心感をもって受け止められており、一部市場関係者の間では「株価の長期的な上昇トレンドは崩れにくい」との声も聞かれます。

多様化するグローバル環境とアクセンチュアの挑戦

アクセンチュアはグローバルに約73万人の従業員を抱える巨大コンサルティング企業です。デジタル変革が加速するなか、時代の変化に柔軟に対応し、成長機会を取り込み続けてきました。しかし一方で、景気変動や人件費の上昇、事業再編の必要性といった課題とも常に直面しています。

  • 競争環境は日々激化しており、AI・ロボティクスなど新しい技術への適応力が今後の成長を左右します。
  • リストラと成長投資のバランス、グローバル・ローカル双方の視点での経営戦略策定も重要性を増しています。
  • 社員の多様性・ダイバーシティをいかに生かすかも持続的成長の鍵となります。

今回のリストラ計画と好調な決算は、アクセンチュアの経営陣が「変革」と「安定」の両軸で舵を取っていることの現れと言えるでしょう。

社内外の反応と今後の注目点

リストラ計画の対象となる従業員や労働組合からは、不安や懸念の声が聞かれる一方で、将来に向けた新たな投資や人材育成支援に期待する意見も出ています。また、クライアント企業からは「人的リソース体制の見直しで更なるサービス向上が見込める」といった前向きな捉え方もされています。

  • 今後の注目点は、リストラ計画の具体的な進行状況や再成長施策の成果がどのように現れるかです。
  • また、競合他社の同様の動きや業界全体への波及効果についても見守る必要があるでしょう。
  • アクセンチュアが「人的資本経営」をいかに実現し、新たな成長モデルを描いていけるかが問われます。

世界経済やテクノロジーの急速な変化の中で、アクセンチュアは「攻め」と「守り」の両面から持続的な成長を目指し、今後も注目を集める存在となっています。

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