第73回全日本実業団対抗選手権が開幕 ― 世界陸上入賞者を山口で称える感動の舞台裏 ―

全日本実業団陸上とは?

全日本実業団対抗陸上競技選手権(通称「全日本実業団陸上」)は、日本全国の実業団チームが集い、トップレベルのアスリートたちが熱戦を繰り広げる日本有数の陸上競技大会です。今年、第73回大会は2025年9月26日から28日まで、山口県・維新みらいふスタジアムで開催されています。この大会は各実業団の誇りをかけ、選手一人ひとりが自己ベストやチームのためのパフォーマンスを追求する場となっています。

東京世界陸上で輝いた選手を特別表彰

今回とくに注目を集めているのは、東京世界陸上2025において見事入賞を果たした村竹ラシッド選手(男子110mハードル・JAL所属)、中島佑気ジョセフ選手(男子400m・富士通所属)ら、日本代表選手に対する表彰です。世界陸上で5位と6位に入賞した彼らが、この全日本実業団陸上の会場で多くのファンに見守られながら正式に表彰されるというのは、日本陸上界にとって非常に意義深いセレモニーとなります。

  • 表彰式は大会最終日である9月28日に、2回に分けて実施。
  • 1回目は11:40から、2回目は15:50から、それぞれホームストレート側スタンド前で開催。
  • 村竹選手、中島選手はそのいずれかの回に出席予定。
  • 表彰式が含まれる大会観戦は有料となっています。

世界陸上の興奮を山口へ 〜 豪華な代表陣の顔ぶれ

東京で熱狂を巻き起こした世界陸上のスター選手たちが、山口の地に集結し、ファンの目の前でハイレベルな競技や表彰シーンを披露することも、大会の大きな魅力です。話題の選手を紹介します。

  • 村竹ラシッド(JAL・男子110mハードル):世界陸上で5位入賞。今大会で表彰され、コメント「これを機に日本の陸上シーンを盛り上げていきたい」と意欲を示しました。
  • 中島佑気ジョセフ(富士通・男子400m):世界陸上6位入賞。今大会にはエントリーしていたものの、体調などを理由に棄権となりましたが、表彰式には出席予定です。
  • 栁田大輝(東洋大学・男子100m):世界選手権4×100mリレーで2走を務め、6位入賞。全日本実業団の男子100m予備予選に出場します。
  • 井上直紀(早稲田大学・男子100m):リレー日本代表として選出されながら、世界選手権での出走機会はなかったものの、今大会では男子100mで力走を見せます。
  • 小池祐貴、中島ひとみ、髙橋渚、小池泉谷駿介(走幅跳)など、東京世界陸上代表の名だたる選手たちが山口の舞台に揃います。

村竹ラシッド&中島ひとみ ハードル勢の決意

世界陸上日本代表の壮行会では、村竹ラシッド選手と中島ひとみ選手のハードル競技者2人が「世界と戦い、日本陸上界を牽引していく」という力強い決意を語りました。数々の困難のなかで国際舞台で入賞を果たした経験は、日本の後進アスリートたちに大きな刺激となっています。また、現地のファンとの交流は、今後さらなる陸上人気の裾野を広げるきっかけとなりそうです。

表彰式を通じて広がる陸上の輪

東京世界陸上のメダルセレモニーはスタジアムの外でも行われ、国立競技場南側に設けられた「Fゲート」に特設メダルプラザが登場。これは世界のスタンダードとして注目される新しい表彰スタイルです。ファンフォトゾーンが設けられ、メダリストたちと直接交流できる仕掛けもあり、会場全体が盛り上がりました。その雰囲気を山口の維新みらいふスタジアムにも持ち込み、地元の学生やファンが選手たちと心を通わせられました。

  • メダリストの表彰体験として、地元中学生がエスコート役を務める「バックステージナビゲーター」が実施。
  • 選手のスパイクやユニフォームなど、世界陸上・デフリンピックの特別展示も実施。
  • 陸上競技に興味を持つ若年層へのアピールにも力を入れ、次世代育成の場としても機能しています。

大会に込められた選手たちの想い

世界陸上という大舞台で得た経験や思いは、一線を走り続けてきた選手たちの言葉や姿勢に強くにじみ出ています。

  • 村竹選手:「世界と本気で戦ってきた経験を、多くの若手やファンと共有したい」と語り、「これからも日本陸上界を盛り上げていく役割を担っていく」と意気込みを示しています。
  • 中島選手も「入賞という結果がみんなの励みになれば嬉しい。自分も更なる高みを目指す」と、陸上競技への熱い想いを会場で伝えてくれました。

また、こうした社会人アスリートの活躍は、競技だけでなく、働きながら努力を重ねる姿勢が企業や社会に与える影響も大きいです。全日本実業団陸上は、単なる記録や順位を争う場というだけでなく、競技を通じて人々に勇気や感動を届ける舞台であることが、今年も再確認される大会となっています。

未来へのバトン ― 若手・学生アスリートの台頭

東京世界陸上や実業団の第一線で活躍する選手がスポットライトを浴びる一方で、大学生や若手アスリートの挑戦にも注目が集まっています。

  • 男子100mには、栁田大輝(東洋大学)、井上直紀(早稲田大学)がオープン参加し、実力ある社会人選手との直接対決に挑みます。
  • この機会に若い世代への競技継承が図られ、日本陸上界の層の厚みがまざまざと見せつけられました。

また、今大会には他にも世界陸上代表経験のある選手が複数来場し、ファンは豪華な顔ぶれに直接エールを送ることができました。今後も、全日本実業団陸上が、日本陸上界の発展と次世代育成の場としてますます重要な役割を果たすことは間違いありません。

ファンと共に歩む新たな陸上大会像

大会を通じて見えてきたのは、選手とファン、地域社会が一体となり、日本陸上界を盛り上げていく新しい大会像です。表彰式や展示イベント、学生の大会運営体験など、多様な取り組みが進行し、これまで以上に「陸上を支える輪」が広がっています。

  • ファンとの交流イベントが増え、多くの声援が選手にとって大きな力となっています。
  • 地域との連携により、スポーツ振興や健康づくり、青少年育成など、広がる社会的意義も注目を集めています。
  • 大会後も継続的に情報発信がなされ、陸上を通じて次世代・未来への希望をつなぐムーブメントが生まれています。

まとめ

第73回全日本実業団対抗陸上競技選手権は、世界陸上で入賞した選手たちを称え、国内外の代表アスリートたちが一堂に会したきわめて特別な大会となりました。選手たちの情熱や挑戦を間近で感じられる場として、多くのファンや関係者の心を動かしました。これからも、全日本実業団陸上が「日本陸上界の誇り」として、新たな歴史を紡いでいくことでしょう。

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