2025年 国慶節:中華人民共和国最大の連休とインバウンド動向、各地の取り組み
はじめに―国慶節とは何か
国慶節(こっけいせつ)は、中華人民共和国の建国記念日にあたり、毎年10月1日に祝われます。1949年10月1日に毛沢東主席が天安門広場で中華人民共和国の成立を宣言したことから始まりました。毎年この日は、中国国内外で非常に重要な記念日として大規模に祝福され、多くの国民が家族や友人と共に過ごすために旅行や帰省をする、いわゆる「ゴールデンウィーク」が設けられています。2025年の国慶節連休は、10月1日(水)から10月8日(水)までの8連休となり、例年以上に長い休みとなる点が特徴です。
さらに、今年は「中秋節」(旧暦8月15日、2025年は10月6日)が重なることで、国慶節と合わせて8日間の大型連休が実現しています。これは、中国の祝日制度特有の「振替出勤日」制度によるもので、2025年の場合、9月28日(日)と10月11日(土)が出勤日と設定されています。
国慶節の社会的意義と祝賀行事
国慶節には、中国各地の都市や観光地で様々な記念行事やセレモニーが実施されます。北京の天安門広場では、毎年盛大な国旗掲揚式が執り行われ、10年ごとの節目では大規模な軍事パレードや祝賀式典も行われます。
また、国内メディアや学校も含め、テレビ・ラジオでは国慶節にちなんだ番組が数多く放映され、国民の愛国心を高める機会となっています。
2025年・今年の特徴―中秋節との連続で8連休に
2025年の特徴的な点は、国慶節に「中秋節」が重なる「8連休」となったことです。中国語圏の多くの人々にとって、家族との団らんや国内外への旅行の絶好の機会であり、例年以上に活発な消費と大規模な人の移動が予想されています。
また、香港や台湾などでも「国慶日」の祝日は存在しますが、中国本土と日付が異なる場合があるため、日中間・中華圏内での連休の調整・配慮が必要です。
中国インバウンドの最新動向
- 日本観光への関心高まる:インタセクト・コミュニケーションズ社が2025年国慶節前に実施した調査によれば、国慶節期間に日本を訪れる中国人観光客の意欲が大きく高まっていることが明らかになりました。
- 旅行形態の多様化:以前は団体旅行が主流でしたが、近年は個人や少人数グループでの旅行志向が伸長しています。食・自然・文化体験への関心も高く、地方都市や新たな観光資源への需要も増大しています。
- 消費傾向:ショッピングや食事のみならず、日本ならではの伝統・文化体験やアート、風景、オリジナリティの高いアクティビティなど、幅広い体験への消費拡大が進んでいます。
- 旅行予約のタイミング:国慶節連休は中国国内でも移動需要が非常に高いため、旅行予約は3か月以上前から進味される傾向が強く見られます。
観光地の取り組み―甘粛省・嘉峪関関城の事例
西の要衝・シルクロードの代表的文化遺産である甘粛省・嘉峪関(かよくかん)関城では、連休期間中の観光需要増加に応じて、さまざまな文化イベントや集客キャンペーンを展開しています。
2025年は、「中国・嘉峪関国際短編映画ウィークが文化観光消費のゴールデンシーズンにエンパワーメント」をテーマに文化観光イベントを実施しています。
人民網などによると、嘉峪関では「事前予約優待価格」や「エアチケット+景勝地」セット、「ショー鑑賞+観光」セットなど、観光客がよりお得に体験を楽しめる多彩なプランを打ち出しています。
- 優待策の実施:事前予約で割引、航空券付き宿泊・観光セットなどを提供。
- 文化体験の強化:「短編映画ウィーク」や伝統芸能イベント、夜のライトアップなど、文化的魅力を前面に押し出したプログラム。
- 体験型施設の充実:嘉峪関関城博物館では実物資料や模型によるの長城・関所の歴史解説、武器や用具のリアルな復元展示で、歴史や文化への理解を深めています。
国内外移動のピーク―出入境者数の傾向
2025年の国慶節、香港だけでも約876万人が出入境すると見込まれ、昨年を上回る混雑が予測されています。大陸・香港間の越境、航空・高速鉄道・自動車による移動がピークに達し、空港や港湾、陸路の税関でも厳しい混雑対策と安全対策が講じられています。
日本へのインバウンド―旅行・ビジネス・交流活性化
国慶節の大型連休期間は、一般観光のみならず、家族訪問やビジネス交流・留学、研修など多面的な訪問が急増します。日本各地の観光地、飲食・小売業、交通機関では中国語対応やキャッシュレス決済など受入体制の強化が急務です。訪日旅行者が求める傾向や消費トレンドを的確にとらえることで、滞在満足度の向上およびリピーター獲得が期待されます。
社会的・経済的インパクトとこれから
国慶節は年間でも最大規模の大移動・消費を生み出す国家的イベントです。中国国内観光・国外への旅行需要の双方が強く、各国がこの時期をターゲットにプロモーションや受け入れ体制の強化に取り組みます。特にコロナ後、海外旅行が解禁・回復局面に入りつつある現状では、日中を含めた各国のインバウンド復活への重要なカギともなります。
歴史・文化・食・自然などの多様な価値観に応える内容の充実がさらに求められる時代です。
まとめ
- 2025年の国慶節は10月1日から8日まで8連休。中秋節と重なり、例年以上の移動・旅行需要増大が予想されます。
- 甘粛省・嘉峪関関城では、文化イベントや特典プランで集客強化を図り、歴史・文化体験の価値を高めています。
- 香港では出入境876万人超が見込まれるなど、国慶節は社会・経済インパクトが非常に大きいです。
- 日本へのインバウンドも活発化し、観光・ビジネス双方で多様なニーズへの対応が重要となっています。