ゲオホールディングス、社名変更とリユース事業への転換——セカンドストリートと連携イベントでみる成長戦略

はじめに

ゲオホールディングスは、かつて「レンタルビデオのゲオ」として広く知られ、多くの人々が一度はお世話になった企業です。2025年9月、同社が今後の成長をリユース事業にシフトし、グループを代表する業態「セカンドストリート(セカスト)」を軸とした新たな舵取りに移行していることが注目されています。この記事では、ゲオの社名変更に至るまでの背景や意義、「セカンドストリート」による買取イベントの取り組み、そして持続可能な社会へのチャレンジについて、わかりやすく解説します。

ゲオホールディングスの社名変更と背景

  • 2026年10月1日、「株式会社セカンドリテイリング」に商号変更(予定)
    この社名変更は2026年6月26日に開催される株主総会で正式に承認されることが条件となっています。
  • 新社名「セカンドリテイリング」の意味
    「second-hand(中古品)」に由来し、世の中の価値あるものが循環し再分配されることで生活を豊かにする、というビジョンを表しています。
  • 創業からの歩みと変化
    ゲオは1986年、愛知県豊田市でビデオレンタル店としてスタートしました。当時はレンタルビデオ1本1日1,000円という高額が常識でしたが、ゲオはこれを誰もが手軽に楽しめる価格や仕組みへ改革し、全国展開を果たしました。

なぜ社名を変えるのか

現在、「ゲオ」といえば、ビデオやDVDのレンタル事業でその名を馳せ、一時は業界トップを誇る存在でした。しかし、
配信サービスの拡大によりレンタル市場が縮小しつつある現状を受け、企業としての軸足をリユース事業へ本格的にシフトしています。

現在、ゲオグループの中心となっているのはリユースショップ「セカンドストリート(セカスト)」や、中古スマートフォンの「GEO mobile」などのリユース関連事業です。これらが
売上全体の6割以上を占め、「稼ぎ頭」となっています。
レンタルのイメージが強い社名が、事業実態に合わなくなったこと、
「セカンドストリート」ブランドの認知度が高まったことが、社名変更へとつながりました。

  • 過去との決別ではなく、「実態に即した表現へ」
    実際、社名は変わってもレンタル事業自体は継続されます。経営の柱はリユースですが、従来のユーザーにも安心感をアピールしています。
  • 分かりやすさとブランド戦略の強化
    セカンドストリートのグループ名への反映は、グローバル展開や人材採用、説明のしやすさ、イメージの統一という観点からも重要です。

リユース事業の現状と拡大戦略

  • 2035年度までの目標
    グループ連結売上高1兆円、5000店舗(うち海外1000店舗)体制を視野に入れています。
  • 多角化と高付加価値化
    ブランド品を扱う「OKURA」や中古スマホ「GEO mobile」を展開し、多様なニーズへ対応。近年は海外進出と高付加価値アイテムの取扱強化にも注力しています。
  • リユース産業の主役へ
    セカンドストリートは全国約800店舗(グループ全体では約2,000店舗規模)を展開し、業界トップのネットワークを築いています。

セカンドストリート・カインズ・朝霞市共同の買取イベント

2025年秋、セカンドストリートはホームセンター大手のカインズ、そして埼玉県朝霞市と共同で、リユース推進を目的とした
買取イベントを開催しました。

  • 地域コミュニティとの連携
    不要品を持ち寄り、プロが査定したうえで買取が行われるこのイベントは、地域住民の断捨離促進とリユース文化のさらなる定着にも繋がっています。
  • サステナビリティ推進
    廃棄物削減や循環経済推進への貢献として、自治体・企業連携型リユースイベントの先進事例といえます。
  • セカンドストリートの現場感
    実際にイベントをきっかけにリユースデビューした方も多く、「想像以上に気軽」「自分にとって不要でも、誰かの役に立つ」という体験が広がっています。

“モヤモヤ経済!クリアファイル”で描く現場の声

経済系番組「モヤモヤ経済!クリアファイル」でも取り上げられた今回の社名変更とリユース事業シフト。現場レポートでは、現状への「危機感」と「新ビジョン」両方を持ち合わせるゲオホールディングスの転換点が語られました。

  • 現場従業員・ユーザーの意識変化
    かつて「ゲオ=レンタル」と考えていた世代でも、セカスト利用者になったり、リユースそのものが生活に身近になっていると伝えられています。
  • 「レンタルやめません」宣言の真意
    社名は変われど、長年支えてきたサービスを無くさず新しいチャレンジにも注力することで、多様な顧客の声に応える方針です。

リユース拡大と社会的意義

昨今のサステナブル志向に沿って、「モノを循環させる暮らし」が急速に広がっています。セカンドストリートを含むゲオグループのリユース事業は、以下のような社会的意義を持ちます。

  • 循環型社会への貢献
    廃棄物削減や温室効果ガス排出抑制につながり、環境負荷の軽減に寄与します。
  • 家計への優しさ
    必要に応じて安く買える、不要なものは現金化できるという、持続可能で合理的な消費行動の推進。
  • 地域経済の活性化
    買い取りや販売を通じて地域経済の循環と雇用創出にもつながります。

今後の展望と課題

ゲオホールディングス改め「セカンドリテイリング」は、
国内外5000店舗・売上高1兆円」という大きな目標を据えています。特に
海外市場(米国・アジアなど)への「セカンドストリート」ブランド展開が成長の鍵とされます。
一方で、リユース市場自体の競争激化・人材確保・品質管理・新たな消費者層の開拓といった課題もあります。

しかし、これまでにない企業ブランドづくりと透明性ある社会貢献を打ち出すことで、新しいステージへの一歩を印象付けています。

まとめ

「レンタルのゲオ」から「リユースのセカスト」へ——約40年の歴史を経て、ゲオホールディングスは時代の変化に適応する新しいブランド戦略を選びました。
セカンドストリートをはじめ地域・企業・自治体と一体となったイベント展開、そして環境・地域貢献の両面でリユースの可能性を切り拓くその挑戦が、今後の日本社会や消費スタイルにどんなインパクトをもたらすのか。
これからの「セカンドリテイリング」に、業界・生活者双方から大きな期待と注目が寄せられています。

参考元