小宮山雄飛が伝える、鰹節香る立ち食い蕎麦の魅力 〜江戸の老舗『そばよし』を訪ねて〜

グルメ番長として知られる小宮山雄飛さんが、今回訪れたのは東京・日本橋の立ち食い蕎麦の名店『そばよし 日本橋本店』。180年以上続く鰹節問屋『中弥商店』が営むこの店には、味はもちろん、その存在自体が長年多くの人々を引き付けてきた理由があります。本記事では、小宮山さんの体験や『そばよし』の魅力、お蕎麦とお酒の美味しい関係について、やさしく、そして丁寧にご紹介します。

鰹節の芳醇な香りが導く、歴史ある立ち食いそば店

今やスマートフォン1台あれば、知らない街のお店にも迷わず到着できる時代。しかし小宮山さんが『そばよし』を訪れる時は「地図アプリではなく〝自分の嗅覚に身を任せて向かってほしい」と語ります。三越前駅から東に歩を進めると、まずは鰹節の良い香り。その香りをたどれば、やがて濃厚な蕎麦つゆの匂いが加わり、気付けば名店にたどり着くのです。

香りの秘密は、店舗3階にある自家鰹節工場にあります。ここで毎日、たっぷりの鰹節が削られ、その香りが通り一帯に広がっているのです。『そばよし』の歴史は立ち食いそばとしても24年を数えますが、鰹節問屋『中弥商店』としては江戸の昔から続く老舗。180年を超える歴史の重みと、磨き抜かれた技が今の一杯にも宿っています。

立ち食いそばとお酒――気軽さの中の本物

立ち食いそばというと「さっと食べてすぐ帰る」「お酒を扱っていない」というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし『そばよし』ではそんな常識が変わります。

  • ビールやお酒も用意されているので、蕎麦前に一杯楽しむことができます。
  • 蕎麦にぴったりの肴として人気なのが、名物の「粉かつお」。容器の底をポンポンと軽く叩き、お好みで醤油を数滴。酒の肴に最適です。
  • また、最後に残ったつゆをかけて「スープご飯」にして締めるのも、小宮山さんおすすめの楽しみ方です。

「鰹節問屋としての誇り」「老舗としての伝統」「立ち食い蕎麦屋だからこその気軽さ」。全てを味わうには、お酒片手にゆっくりと蕎麦を楽しむのが一番です。

『そばよし』の真髄――出汁のうま味と人の温もり

数ある立ち食いそば店の中で、『そばよし』が特に支持され続けてきた理由――その一つは、やはり出汁(だし)の圧倒的な美味しさにあります。

  • その場で削る鰹節から生まれる瑞々しい香りと濃い旨み。
  • 歴史に裏打ちされた中弥商店の技、それを支える職人の情熱。
  • 朝10時でも満席となるほどの人気店ですが、「大盛況の裏にある店主とお客さんとの会話、アットホームな雰囲気」も特筆すべきポイントです。

店主の山崎能孝さんと小宮山さんが語らう姿からも、ここが単なる食事の場ではなく、地域や文化をつなぐ場所であることが強く伝わります。

最後は丼の出汁一滴まで味わい尽くして、ごちそうさま。そんな体験こそ「そばよし」を訪れる醍醐味でしょう。

そばよし 日本橋本店——伝統が紡ぐ新しい蕎麦体験

  • 店舗住所:東京都中央区日本橋本町1-1-7 本町山崎ビル 1F
  • 電話:03-3241-0884
  • 営業時間:7:00~20:00
  • 定休日:土日祝

立ち食いという気軽さと、老舗の確かな味わい。そのどちらも楽しめるのが『そばよし』の最大の魅力です。小宮山さんの言葉を借りれば、ここに来た時は「五感を研ぎ澄ませて、香りを味わい尽くしてほしい」。きっと、「また来たい」と思わせる店であることは間違いありません。

小宮山雄飛さんについて

  • 音楽グループホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンとグルメ番長として、食のシーンでも活躍。
  • 連載・レシピ開発・著書多数。『旨い!家カレー』や『レモンライス レシピ』、『小宮山雄飛 今日もひとり酒場』など様々な食の著作を手がける。
  • テレビやラジオ番組にも数多く出演し、食の魅力を幅広く発信し続けている。

小宮山さんの「おいしいものを愛する気持ち」「文化としての蕎麦やお酒へのまなざし」は、多くのファンや食通たちを魅了しています。

江戸からつづく味と人情。蕎麦と呑みの新しい愉しみを

コロナ禍を経て、改めて注目を集める立ち食いそば文化。それは忙しい現代人への「小さな贅沢」であり、舌と心に残る温かいひとときです。

『そばよし』で出会えるのは、鰹節の香りに包まれる至福の瞬間。立ち食いでも、本物の味人の温もりは変わりません。おいしいお蕎麦とお酒で、あなたの一日がより豊かになりますように。

参考元