J.T.ミラーがニューヨーク・レンジャーズ新キャプテンに就任──変革期のチームを託されたリーダーの素顔

2025年9月、北米NHLの名門チーム、ニューヨーク・レンジャーズはJ.T.ミラーを新キャプテンに正式指名したと発表しました。ミラー選手は、レンジャーズが2011年のドラフトで指名し、かつて主要選手として活躍した後、トレードを経て再びチームに戻ってきた経歴を持つフォワード。今季から正式な「C」を背負ってリンクへ立つことになりました。レンジャーズがキャプテンポストを空位とした期間を経て、満を持しての就任となります

レンジャーズとJ.T.ミラー──キャリアの歩みと帰還

J.T.ミラー(32歳)は、2011年にニューヨーク・レンジャーズから全体15位でドラフト指名を受け、同チームでプロキャリアをスタート。約5シーズンにわたり主軸として活躍しましたが、2017-18シーズン途中にタンパベイ・ライトニングへとトレード。その後、バンクーバー・カナックスに籍を移し、リーダーシップとスタッツ面で大きな飛躍を遂げます。2025年1月、レンジャーズはバンクーバーからミラー選手を電撃的に再獲得。帰還後わずか数ヶ月でチームの得点源となり、存在感を増していました

  • 通算出場試合数:871試合
  • ゴール数:260
  • アシスト数:449
  • 総ポイント:709ポイント
  • 2023-24シーズンNHLオールスター選出、ハート記念トロフィー投票で自己最高の11位

なぜ今、J.T.ミラーがキャプテンなのか

今回の人事の背景には、昨季終盤のチーム状態への大きな危機感があります。かつてキャプテンだったディフェンスのジャコブ・トゥルーバが昨年12月にトレードで退団して以降、リーダー不在・チームの一体感の欠如が続いていました。2024年にはカンファレンスファイナルまで進出したものの昨季はプレーオフ進出を逃し、フロントは抜本的な改革に動いたのです。コーチも名将マイク・サリバンを新たに迎え、組織として生まれ変わる意思を明確にしました

ゼネラルマネージャーのクリス・ドゥルーリー氏は「J.T.は復帰後すぐにロッカールームのリーダーとして振る舞い、私たちが理想とする姿勢を示してくれた」と高く評価。選手としての気迫や競技力だけでなく、オン・アイス/オフ・アイスにおける人間性が、チームを引っ張る存在として採用理由に挙げられました

ライバル候補との比較──”完璧なキャプテン”と評される理由

今回のキャプテン人事は必ずしもミラー選手一択ではありませんでした。チーム内外からはベテランのヴィンセント・トロチェックやディフェンスのアダム・フォックスなどの名前も挙がっていました。しかしながら、
「最も自然なリーダー」
であり、氷上での存在感や発言力の強さ、一時はトラブルも経験しつつも正面から向き合う姿勢が、若い選手への影響力でも評価されました

  • プレータイムの多さ(実質的な主力)
  • 外様としての客観性と帰還者としてのチーム愛
  • 過去のバンクーバー時代も含め「壊れたロッカールームの修復」に携わった経験

特にオフアイスの役割やロッカールームの立て直しも求められる今、厳しい意見も率直に言えるリーダーシップが重視される傾向にあります。レンジャーズで育ち、さまざまな苦楽を知るミラー選手は、新時代の象徴とも言えるでしょう

新生レンジャーズ、2025-26シーズンへの展望

新たなキャプテンを迎えたレンジャーズは、9月下旬からのトレーニングキャンプで始動。10月7日には本拠地マディソン・スクエア・ガーデンで、ペンギンズを相手に開幕戦を迎えます。昨季悔しい思いをしたプレーオフ復帰は必須ミッション。数年ぶりの監督交代やディフェンス強化のための選手補強など、大規模な刷新が行われただけに、ミラー選手のリーダーシップへの期待は非常に高まっています

  • キャンプ開始初日の練習は9月下旬、日程とロスターも公開済み
  • 新加入:名将マイク・サリバン監督、ディフェンスのウラジスラフ・ガブリコフなど
  • GMクリス・ドゥルーリーは契約延長済み
  • チーム100周年も間近に控え、ファンと組織の一体化もテーマ

ファンとチームが一丸”変革”の年に

レンジャーズは近年、幾度となく優勝に手が届きそうで届かなかった歴史を持ちます。2012年から18年頃の全盛期を知る唯一の現役選手となったミラーキャプテンを中心に、「名門復活」への期待が膨らみます。過去の栄光や苦い思い出すべてを力に変える、新しいシーズンが幕を開けようとしています。「この決断が正しかった」と語れるような結果を、チーム・スタッフ・ファン全員で追いかけていく年となるはずです。

J.T.ミラーからのメッセージ

就任に際し、ミラー選手は「このユニフォーム、このバッジは非常に重みがある。チームメイト、ファン、そしてレンジャーズの歴史に恥じぬキャプテンとしての責務に全力で応えていきたい」と意気込みを語っています。新天地での挑戦に加え、かつてのチームメイトやファンへの深い感謝、そして今のチームへの誇りを胸に、リーダーとして歩み始めています。

まとめ

2025-26シーズンのレンジャーズは、「生まれ変わり」を合言葉に、J.T.ミラー新キャプテンの下で再出発します。勝利への執念、組織風土の再構築──100年目の名門が、今後どんな物語を紡ぐのか、その一挙手一投足が世界中のホッケーファンによって注目されることになるでしょう。

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