神戸市とオーストラリア・ブリスベン市の中学生交流、5年ぶりに再開
神戸市とオーストラリア・ブリスベン市の中学生が参加する教育交流事業が、2025年9月16日に5年ぶりに再開され、再び両市の絆が強化されました。この交流は、1988年から続く長い歴史を持つ取り組みであり、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年から一時中断されていましたが、姉妹都市提携40周年の節目となる今年、待望の再開となりました。
5年ぶりの再開、その背景と意義
神戸市とブリスベン市は、1985年に姉妹都市提携を結び、その後教育・文化・経済の幅広い分野で交流を深めてきました。特に中学生の相互派遣プログラムは両市の関係を象徴する事業であり、参加する生徒たちは国境を越えて理解を深める貴重な機会となっています。
今回の再開は、新型コロナウイルスという未曾有の事態を経て、両市が再び国際交流の灯をともすものであり、地元でも大きな関心と期待が寄せられています。「この交流があったからこそ、神戸市とブリスベン市のつながりは途絶えることなく、さらに強まってきた」と両市の関係者は語ります。
ブリスベンの中学生達が来神、地元中学生と対面
今回、ブリスベンから来日したのは8人の中学生たち。9月16日、神戸市立太山寺中学校で歓迎セレモニーが行われ、神戸の生徒たちが温かく迎えました。初対面ながらも、両校の生徒たちはすぐに打ち解け、互いの言葉や文化について興味津々で交流し合いました。
歓迎式後は、日本文化体験として書道に挑戦。オーストラリアの生徒たちは日本語のひらがなで思い思いの言葉を書き、太山寺中学校の生徒が丁寧にアドバイス。日本とオーストラリア、それぞれの文化や習慣、学校生活について率直な質問が飛び交い、日本語と英語を織り交ぜながら会話が弾みました。
教育交流プログラムの具体的内容
- 学校生活の体験: オーストラリアの生徒たちは、約1週間にわたり神戸の学校でさまざまな授業やクラブ活動に参加。
- ホームステイ: 神戸市内の生徒宅でホームステイを行い、日本の家庭文化も体験。
- 合同授業・ディスカッション: 英語と日本語を使ったディスカッションを通じ、テーマに沿った意見交換や共同学習。
- 震災復興を学ぶプログラム: 阪神淡路大震災を経験した神戸ならではの取り組みとして、震災からの復興過程や防災教育について現地を見学しながら学習。
- 文化交流イベント: 書道、折り紙、和食などの日本伝統文化の体験。
この交流では、両国の生徒たちが一緒に活動し理解を深めることによって、将来の国際社会で活躍する人材として大きく成長していくことが期待されています。
参加した生徒たちの声
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オーストラリア・ブリスベンから来神した生徒:
「この街のいろいろなことが知りたいです。特に、阪神淡路大震災からどのように復興してきたのかを学び、自分たちの国での防災にも生かしたいです」
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太山寺中学校の生徒:
「お互いの文化の違いを見つめ合いながら、楽しく過ごしていけたらと思います。自分たちの学校に海外の友だちが来るのはとても貴重な体験です。」
姉妹都市提携40周年—これまでとこれから
姉妹都市提携から40年。神戸市とブリスベン市は教育分野のみならず、市民・文化・経済・スポーツなど様々な分野で交流を積み重ねてきました。特に1995年の阪神淡路大震災発生時、ブリスベン市民から多額の義援金が届けられるなど、市民レベルでの強い結びつきが今も続いています。
今後について、神戸市教育委員会担当者は、「このプログラムをきっかけに、両市の若い世代が互いの文化や価値観を認め合い、将来国際的視野を持つ人材に成長してほしい」と語りました。オーストラリア大使館も、「両国の未来を担う若者たちが交流を深める意義は大きい」とし、今後も積極的に支援を行う方針です。
神戸市の国際教育推進の取り組み
神戸市では、グローバル社会に対応できる人材育成を目標とし、英語教育の強化や海外との交流事業の推進に取り組んでいます。2024年8月時点で、神戸市内すべての小・中・高等学校に13カ国から約200名のALT(外国語指導助手)が配置され、実践的な英語力やコミュニケーション能力の向上が図られています。
このような国際教育の積極的な推進が、今回のブリスベン市との交流再開にもつながっています。子どもたちが日常的に外国語や異文化に触れ、広い視野を持つことの重要性がますます高まっています。
中学生教育交流プログラムがもたらすもの
- 異文化理解の深化:海を越えた友情や信頼関係の構築。
- 語学力の向上:コミュニケーションを通して自然と英語・日本語が上達。
- 防災意識の啓発:神戸の震災復興を自国の防災に生かそうとする姿勢。
- 国際協調性の醸成:将来的な国際社会での協力を担う人材の育成。
このような国際交流は、参加する生徒のみならず、受け入れ校や地域社会にも多くの学びと気づきをもたらしています。5年ぶりの再会を果たした神戸市とブリスベン市の中学生たちが、今後それぞれの国でも多くの経験を積み、その絆をさらに深めていくことが期待されています。
これからの神戸とブリスベン—市民レベルで強まる絆
今回の交流再開をきっかけに、今後はさらに多様な分野での事業展開が盛んになることが見込まれています。学校間の連携や、留学・ホームステイのさらなる活性化、経済分野での協力体制の強化など、両市が共に世界に開かれた都市であり続けるための新たな一歩が始まりました。
神戸市とブリスベン市のこのような教育交流は、コロナ禍を経てますますその価値が高まり、日豪両国の市民同士が深くつながる「国際都市・神戸」の未来像を支える大きな柱となることでしょう。