自民党総裁選、世論調査で見えた支持の行方──高市早苗氏と小泉進次郎氏、そして揺れる公明党の立場

自民党総裁選を巡る世論調査の最新動向

2025年秋、日本の政治の中心となる大きな出来事── 自民党総裁選 が間近に迫る中、各種世論調査の結果が発表され、全国にさまざまな波紋を広げています。今回の総裁選では、表舞台に立つ候補として高市早苗前経済安保担当相小泉進次郎農水相が注目されています。
世論や党内の支持を背景としながら、次期リーダーを目指す2人の動きと、それに伴う公明党の立場、党内の再生を目指した動きなど、現状を詳しく見ていきます。

世論調査が示す「2強」の構図──高市早苗氏と小泉進次郎氏

9月13日から14日にかけて実施されたNNNと読売新聞の世論調査によれば、次の自民党総裁として誰がふさわしいかという問いに対し、高市早苗氏が29%でトップ、僅差で小泉進次郎氏が25%となり、この2人による激しい争いが浮かび上がっています。
世論調査の回答者は、昨年の総裁選で立候補した候補のうち、石破茂首相を除く8人から選ぶ形式でした。3位には茂木前幹事長(7%)、4位には河野前デジタル相(7%)、5位林官房長官(6%)、6位小林元経済安保担当相(3%)と続きました。

自民党支持層では小泉進次郎氏が優位

興味深いことに、自民党支持層に限定して分析した場合、33%で小泉氏が1位となり、高市氏が28%と続いています。この数字は、今後の党員票争奪戦に大きな影響を及ぼすことが予想されます。また、河野氏が9%、林氏8%、茂木氏6%、小林氏5%と続いています。

高市氏の「3つの強み」─勢いと今後の伸びしろ

  • 自民党支持層での勢い:先月12%だった高市氏への支持が今月28%へと急上昇。これが今回の「2強」構図を生み出しています。
  • 露出の伸びしろ:高市氏はこれまで多くのメディア露出を控えてきましたが、「忘れられていない」と本人も語る通り、露出が増えればさらなる支持の増加が期待できます。
  • 野党支持層からの支持:今後、少数与党体制となりうる自民党にとって、野党との連携も重要。高市氏は、野党の支持層からも一定の評価を集めている点が強みです。

小泉氏の強み─「石破票」を取り込めるか

今回の総裁選で最大の注目は、「石破票」の行き先です。前回最も多く票を集めた石破茂首相が立候補しないため、石破内閣を評価する層で小泉氏支持が33%、高市氏は18%でした。「大いに評価する」層では、小泉氏42%、高市氏5%とさらに差が広がります。
このように、石破氏に近しい党員票がどれほど小泉氏に流れるかが、総裁選の帰趨に大きな影響をもたらします。

注目すべき政策テーマと国民の関心

  • 物価高対策:世論調査で「特に議論してほしい政策や課題」として88%が期待。
  • 景気や雇用の回復:85%が求める声。
  • 外交や安全保障:78%という関心の高さ。
  • 党改革や政治資金問題への対応:65%が課題と回答。

連立政権をめぐる公明党の「微妙」な立場と注目点

自民党と安定多数を狙う上で欠かせないのが公明党との関係です。公明党の立場は、両候補の政治スタンスや政策との距離感によって左右されやすい「微妙」なものになりつつあります。「どの政党と連携するべきか」という世論には、「国民民主党」と答えた人が38%で最も多く、続いて「日本維新の会」21%、「立憲民主党」20%と多様な声が存在します。
このような背景もあり、公明党は自民党とどのように共闘するか、あるいは独自色を出すか重要な判断を迫られています。

「ポスト石破」時代、党員票の争奪戦が激化

石破首相の退陣によって、「ポスト石破」を名乗る候補が複数拮抗し、特に党員票の争奪戦が激化しています。世論調査の結果も踏まえ、高市・小泉両氏が有利とされていますが、第三極を狙う茂木氏や河野氏、林氏、小林氏など他候補の動きも侮れません。党再生を掲げて「まだ早い」と言われながらも挑戦する小林鷹之氏のような存在も、党内での議論と多様性を象徴しています。

世論が求める「党改革」──候補者への期待と課題

総裁選候補への調査では、改革への期待が根強く、「他政党との連携について説明すべき」と答えた人は84%に達しました。これは、単に政策の競争のみならず、これからの自民党のあり方やガバナンスまで問われている証左です。
また、「自民党改革」や「政治資金問題」への対応も有権者から重要な論点として提示されており、候補者たちはこれにどのように応えるかが注目されています。

石破首相退陣による影響と今後の展望

石破首相の退陣が妥当と思うかの調査には、64%が「妥当」と回答し、「妥当でない」は28%でした。この結果は、変革を求める世論の大きさを物語っています。
現在の政治に求められているのは、既存の枠組みを超えた新しいリーダーシップと、現実的な課題解決への明確なビジョンです。高市氏と小泉氏が示す方向性や具体策が、どこまで党員・国民の心を動かせるか──今後の議論と選挙戦が注目されます。

候補者たちの動向と今後のスケジュール

  • 高市氏:メディアへの露出を本格化し、支持拡大を狙う姿勢。
  • 小泉氏:石破氏支持層を取り込みつつ、現役閣僚として実績をアピール。
  • 党内議論:小林鷹之氏のような若手の挑戦もあり、多彩な顔ぶれ。
  • 公明党:総裁選の行方を見極めながら、与党関係の維持や交渉材料を見据えて慎重な立ち回り。

まとめ:分岐点に立つ自民党と影響力を持つ世論

今回の総裁選は「高市・小泉2強」による一騎打ちという構図が強まるとともに、石破政権後の方向性、公明党との連携、国民や党員の多様な期待と課題への応答が重なり合っています。世論調査はその複雑な地図を浮かび上がらせ、今後の自民党の進路を左右する重要な示唆となっています。
今後、選挙戦が進むにつれ、各候補がどのような政策やビジョンで有権者、党員、連立パートナーに向き合うのか、一層の注目が集まることは間違いありません。

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