クレイトン・カーショウ、終わりなき進化――偉大な左腕の「今」とドジャース最強ローテの行方

はじめに

クレイトン・カーショウ――ロサンゼルス・ドジャースを象徴するレジェンド左腕は、そのキャリアもいよいよ終盤に差し掛かっています。2025年9月、MLB界のみならず日本の野球ファンやメディアの間でも、彼の「これから」に大きな注目が集まっています。発端は、「ド軍の先発ローテに残すべきは大谷翔平か、カーショウか?」という議論、さらにはポストシーズンでのブルペン起用案、そして本人が口にした“引退”というワード――。最新の情報と米識者の所見を交え、優しく、わかりやすく“カーショウの今”を紐解いていきます。

偉大な成績と現在の状況

  • 1988年生まれ、37歳。所属はロサンゼルス・ドジャース。身長193cm、体重102kg、左投左打。
  • 主な実績は最多勝利3回、最優秀防御率5回、最多奪三振3回、サイ・ヤング賞3回、MVP1回、ゴールドグラブ賞1回。計10度のオールスター選出歴を持つ、MLBを代表する大投手です。
  • 通算で212勝、防御率2.50、3,000奪三振目前(残り32)。ERA+歴代1位(156)と、歴史に名を刻む記録を次々と塗り替えてきました。
  • 2024年の成績は30イニングで2勝2敗、防御率4.50と、往年の圧倒的な成績からはやや後退を感じさせました。

2025年、復活への道――故障からの復帰

カーショウは、左膝と左足親指の手術を経て長期離脱を余儀なくされていましたが、三Aオクラホマシティでのリハビリ登板を経て、来週にもドジャース復帰が見込まれています。本拠地ドジャー・スタジアムでのエンゼルス戦(9月次の日曜日)が復帰初登板となる可能性が高まっています。

  • この登板が実現すれば、球団史上最多タイとなる「メジャー18年目」を迎えます。
  • 手術箇所の影響でシーズン最初の7試合しか投げられず、8月末でシーズンを終えました。それでもチームへの貢献と復活への執念は衰えていません。
  • 「これが最後のリハビリであってほしい。怪我やリハビリを理由に引退したくはない。『終わり』のタイミングは自分で決めたい」と本人も強い前向きな意思を示しています。

ローテーション編成の「最適解」を巡る論争

2025年のドジャースは、エース級のブレイク・スネル、タイラー・グラスノーまでもが故障者リスト入り。こうした状況下、「カーショウか大谷か」という問いが米国内外で大きな関心を集めています。

  • 識者の見解:「カーショウは球界随一の知性と経験を持つ投手だが、身体的な衰えや怪我の影響で“万能選手”というわけにはいかない。5回前後をベストの状態でまとめる、新しい役割が必要になっている」。
  • 監督ドク・ロバーツ:「カーショウとは、お互いにいつ“押し”、いつ“引く”かを理解しながら、良い関係を築いている」と発言。
  • 8月は5先発全勝、防御率1.88と、十分すぎる数字を残していますが、球数制限によるマネジメントが奏功しており、チームもカーショウの負担を徹底的に減らす形で起用しています。
  • 球数制限での進化:8月の5先発での投球は計395球。これは1カ月で400球未満+5連勝という史上唯一の記録です(OptaSTATS調べ)。

ポストシーズンでの「新たな役割」――ブルペン起用案

  • 現在、米メディアや番記者の間では、ポストシーズンでカーショウを「ブルペン(中継ぎ)」として起用する案が有力視されています。
  • 理由は、先発登板の負担減(特に長イニング登板時のリスク軽減)と、要所での勝負強さに対する期待です。ブルペンであれば、最短で“1回限定”の勝負を託すことも可能となり、チーム全体の厚みを損なわずに済みます。
  • 一方で、「本人のプライド」「将来の殿堂入りを控える選手への敬意のあり方」といった、心理面や球団文化への影響も議論されています。

「終わり」と向き合う――レジェンド左腕の覚悟

「いつか終わりは来る」――カーショウ自身、オフに向けて難しい決断を迫られることをメディアで語っています。長年「フランチャイズ・アイコン」としてチームをけん引してきた左腕が、どのタイミングで、どのように「ピリオド」を打つかは、MLB全体の野球ファンからも注目を集めます。

  • 「やれることをやりきってから決めたい」――引退の時期を明確には示していませんが、自身の体、特に足の状態が深く関係しているのは間違いありません。
  • 「チームが強い状態でいることで、逆に自分の役割が小さくなることもあり得る。それも含めて、最後まで納得できるようにやりきりたい」という旨のコメント。

ドジャース最強先発陣のジレンマ

現在のドジャース先発陣は、カーショウ、大谷翔平、スネル、グラスノーなど、他球団を圧倒する戦力を誇ります。しかし同時に、全員がベストコンディションで出場できるわけではなく、各投手の健康状態や調整度合いの見極めが、ポストシーズンでの“最適解”を難しくしています。

  • 複数のスター投手をどう活かすか、先発・ブルペン・オープナーのバランスをどう取るか――。これは“贅沢な悩み”とも言えますが、時代の流れを象徴する状況でもあります。
  • 経験、実績だけでは決まらない。コンディションや相手打線との相性、短期決戦を勝ち抜くための智恵と決断――。カーショウの登板パターンとともに、今後のドジャース采配にも注目が集まります。

「カーショウらしさ」とは?

日本人にも親しみのある穏やかな風貌、日々の努力と謙虚な姿勢、そして試合に臨む真摯な眼差し――。カーショウは、その全てで多くの野球ファンを魅了してきました。少年時代から“ドジャース一筋”、家族や仲間との絆を大切にしながら、自らの限界と向き合い続ける姿は、MLBという舞台を超えて人々の心に響いています。

  • 怪我や加齢で全盛期のようなパフォーマンスが見られなくなっても、一投一投に魂を込める姿勢は不変です。
  • 最後の登板がいつになるのか――それは誰にも分かりません。しかし、球場に響く「Kershaw!」コールは、彼が続ける限り、これからも止むことはないでしょう。

おわりに――野球への感謝、次世代へのメッセージ

ポストシーズン、そしてオフシーズン。「偉大な選手を疑う気分になるね」と米識者も語るように、人々は今なおカーショウに「奇跡」を期待しています。本人も「できれば自分で“終わり”を決めたい」と語っていますが、その決断がいつか下されるその日まで、私たちは彼の一挙手一投足を見守り、心から応援し続けることでしょう。

そしてカーショウが残すであろう“教訓”――「逆境や加齢に直面しても、今できる最善を尽くす」「自分の役割を見極め、チームとともに成長し続ける」――は、未来の野球少年少女たちにもきっと受け継がれるはずです。

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