関西空港、2025年 新たな国際線時代へ:パラタ航空の進出とアジア路線拡充の動き
2025年、関西空港の国際線運航が過去最多に
2025年の夏ダイヤにおいて、関西国際空港(KIX)の国際線運航は過去最多となる週1,701便(旅客便1,517便・貨物便184便)に達する見通しです。2019年夏期と比較して、旅客便数は106%、貨物便数は134%まで回復しています。関空の国際航空ネットワークは「回復」から「拡張」へのフェーズへと進化し、アジアの国際ハブ空港としてさらなる存在感を高めています。
中国・韓国路線の著しい回復と拡大
- 中国本土:週570便(全体の約38%を占め、前年夏期比で182便増、2019年比で115%の回復)
- 韓国:週377便(同108%の過去最多)
- 香港・マカオ:週146便(同118%の過去最多)
- 台湾(130便・96%)、東南アジア(189便・96%)も安定した回復
特に、韓国、中国、香港・マカオ間の国際線旅客需要が大きく伸びており、関西地域の物流・観光、ビジネスの活性化の原動力となっています。
LCC比率の増加とアジア近距離路線の利便性向上
- LCC(格安航空会社)の割合:43%(国際旅客便1,517便中、651便)
- Peachや春秋航空、チェジュ航空など東アジア近距離の高頻度運航
近年はLCCの台頭により、アジア主要都市へのアクセスがますます容易となりました。旅行者やビジネスパーソンにとって低コスト・高頻度のフライトが利用できる環境が整いつつあります。
パラタ航空、日本路線へ本格進出の動き
韓国のハイブリッドエアライン・パラタ航空は、2025年内に東京/成田・大阪/関西〜ソウル/仁川線への就航を計画していることが明らかにされました。同社は既に韓国航空当局から航空運送事業許可(AOC)を取得し、商用運航も可能となりました。年内には、日本路線の開設が予定されています。
パラタ航空とは?
パラタ航空は、電子メーカー「ウィニックス」が新オーナーとなり韓国・江原道のフライ江原(カンウォン)航空が経営再建し、晴れた空を意味する「パラタ」のブランド名で2025年に新たなスタートを切りました。2025年6月にはA320型機の初号機を受領し、年内に4機体制を構築予定です。
- 襄陽〜済州線の新設(2025年8月以降予定)
- 国内線(ソウル/金浦〜済州線)および国際線(ソウル/仁川〜東京/成田・大阪/関西、ベトナム線)の新規開設を目指す
機材の受領も着々と進み、日本の主要都市へ新たな国際便が増えることで、関西空港のネットワーク拡大に大きく貢献することが予想されています。
アジア路線拡大と関西空港の成長戦略
関西エアポートは「One関西」構想を掲げ、関空・伊丹・神戸の3空港が地域と一体となった成長戦略を描いています。アジアの枠組みだけでなく、欧米やインド・インドネシア路線の復活を期待する声も多く、今後の拡大には多様なニーズに応える航空ネットワークの構築が不可欠です。
また、国際民間航空機関(ICAO)は、2044年までに世界の航空旅客数が195億人に達するとの予測を示しています。アジア太平洋地域はその中心となり、関西空港もこの拡大の波に乗るべく、インフラ投資や地域連携を強化する必要があります。
近年の課題と今後への期待
東アジア便は充実している一方、大阪から欧米へ行くには伊丹空港から羽田・成田を経由するケースが多く、関空と欧米を直接結ぶ便は依然として不足しています。万博など国際イベントで短期的な路線復活も期待されましたが、まだ十分な成果が見られていません。
インド・インドネシア便の復活やANA・JALの関空重視路線への転換も利用者から求められている課題です。今後は関西空港の国際競争力を高めるため、より多様な路線の拡充が求められるでしょう。
空港・航空会社・地域が連携した未来づくり
新型コロナウイルス感染症による打撃から急速に回復し、「拡張」のフェーズへと進む関西空港。地域と空港・航空会社の連携、インフラ・サービスの向上により、関西圏は日本だけでなくアジア太平洋地域を支える国際交通の結節点として重要な役割を果たしていくことでしょう。
2025年以降は空港機能のさらなる拡充と、旅客・貨物両面での路線多角化、そして高品質なサービス提供がますます重要になります。パラタ航空の新規参入はその象徴とも言え、関西空港が「成長」のステージへ本格的に移行する大きな転換点です。
パラタ航空の関西国際空港進出、そして広がる東アジアネットワーク
- 2025年、関西国際空港の国際線運航が過去最多水準へ
- パラタ航空が韓国路線や日本路線への本格参入
- LCCの台頭でアジア主要都市へのアクセス利便性が向上
- 欧米など未復活路線の回復や多様な新規需要にも期待
- 地域連携・インフラ強化で”未来の国際ハブ”へ発展
今後の関西空港が国際的な競争力を高め、さらなるネットワーク拡大を図るためには、航空会社および地域社会が一体となって新しい発展のモデルを創出することが必要です。新たな一歩となるパラタ航空の就航、そして拡大し続けるアジア・太平洋路線に、世界中の注目が集まっています。