ソニーグループ、株価最高値を更新――エンタメ集中戦略と証券会社の高評価が牽引
はじめに
ソニーグループ(以下、ソニーG)が2025年9月11日、株価の上場来最高値を更新しました。国内外のアナリストや大手証券会社がソニーGの今後の成長戦略を高く評価し、目標株価を相次いで引き上げています。特に大和証券による目標株価の引き上げ、ならびに同社の主力事業となるエンターテインメント分野への集中が市場から非常に大きな期待を集めていることが背景にあります。さらには、ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)の新規上場承認という大きな材料も重なり、注目度は一層高まっています。
株価上昇の現状と背景
- 2025年9月11日、ソニーGの株価は4,269円(終値ベース)を記録し、上場以来の最高値を更新しました。出来高は1,000万株を超え、その取引の活況がうかがえます。
- 証券アナリストの大半が強気(買い)と評価し、最新のアナリスト目標株価は4,684円、さらに最大で5,000円まで見込む声も出ています。
- 業績面では2025年度第1四半期、売上高が前年同期比2.2%増の2兆6,216億円、営業利益は36.5%増の3,399億円と好調を維持しています。
- 大きな注目材料として、ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)が東証上場を果たす点も市場から評価されています。
大和証券の評価と目標株価引き上げ
9月9日、大和証券はソニーG株の投資判断を「2(アウトパフォーム)」から「1(買い)」に引き上げ、目標株価も4,200円から5,000円へ大幅修正しました。この背景には「パーシャル・スピンオフ」としてソニーフィナンシャルグループが新規上場することや、エンターテインメント分野の強化姿勢への再評価があります。
大和証券は、2026年3月期の連結営業利益を1兆4,500億円(会社計画1兆3,300億円)と見込んでおり、主要タイトルの映画事業やゲームのプラットフォーム事業が利益牽引役となると判断しています。
エンターテインメント分野にかける成長戦略
- ゲーム・ネットワークサービス分野が安定した拡大を続けており、特に「プレイステーション(PS)プラス」などのサブスクリプション型ビジネスが順調に成長しています。
- 映画分野では『鬼滅の刃』などヒット作が相次ぎ、グループ全体の収益性向上に貢献しています。
- また、イメージング&センシング・ソリューション分野も増益となり、複数事業が収益の柱となっている点がソニーGの強みです。
一方、エンターテインメント・テクノロジー&サービス分野については減収減益となりましたが、グループ全体の業績としては堅調を維持している点もポイントです。
ソニーフィナンシャルグループの新規上場と株主還元
2025年9月29日にはソニーフィナンシャルグループ(SFGI)の新規上場が予定されています。今回の「パーシャル・スピンオフ」は、資本効率向上とさらなる成長投資を可能にする重要な施策として評価されています。株主へのメリットとしては、ソニー本体株の調整や平均取得単価の見直しも行われ、投資家は今後の資産運用の選択肢が広がります。
これに伴い、「権利処理価格」や新株の平均取得単価などが個人投資家の間でも関心を集めており、証券会社の対応に注目が集まっています。
財務データとソニーGの競争力
比較対象となる大手他社とくらべ、ソニーGは10.7%という営業利益率の高さや、12.8%のROE(自己資本利益率)など、収益性・効率性ともに非常に優れた財務指標を示しています。他社である日立製作所、三菱電機、パナソニックなどと比較しても、圧倒的な収益力を誇ります。
- 売上高:約11兆2,650億円
- 当期純利益:約9,705億円
- PER(株価収益率):17.9倍
- PBR(株価純資産倍率):2.26倍
- EPS(1株当たり純利益):794.6円
個人投資家・市場の見方
多くの個人投資家もソニーGの戦略転換や株主還元策、そして高いアナリスト評価に期待を寄せています。SNSや株式掲示板では、今回の株価上昇に対する喜びの声や今後への期待感が多数見受けられる一方で、「権利処理価格」や「NISA口座での平均取得単価調整」など、実務的な関心も高まっています。
まとめ――今後への展望
ソニーグループは、エンターテインメント分野への集中戦略と、グローバルに展開する多岐にわたる好調事業が株価を力強く押し上げています。証券会社やアナリストが目標株価を相次いで引き上げるなど、市場からの高評価が株価の追い風となっています。ソニーフィナンシャルグループの新規上場も、企業価値向上と株主還元への大きな布石といえるでしょう。
今後もゲーム、音楽、映画といったエンターテインメント事業の更なる成長が期待できる一方、AIやイメージセンサーなどテクノロジー分野でもグローバルリーダーとしての地位を堅持しています。ソニーグループのこれからの動向から、ますます目が離せません。