エスコンフィールドHOKKAIDO 新時代のボールパークが生んだ「人が集まる場所」の魅力と経済効果
はじめに
エスコンフィールドHOKKAIDOは2023年に開業し、2025年シーズンで3年目を迎えた北海道日本ハムファイターズの新本拠地です。球場としてのみならず、地域のランドマークとしても大きな注目を集めています。ここでは、一過性のブームを超えた新しいボールパークの在り方、集客力、そして経済効果について解説します。
「試合がなくても来客でいっぱい」――なぜエスコンフィールドは人を惹きつけるのか
従来の野球場は「試合がある日だけ人が集まる」という認識が強く、地元経済への波及効果も限られていました。しかし、エスコンフィールドは「ボールパーク」というコンセプトを前面に押し出し、野球の有無に関わらず楽しめる多彩な施設体験を可能にしています。実際に「試合がなくても来客でいっぱい」「札幌ドーム時代と大違い」といった声が利用者から多く聞かれ、ファン・ファミリー・観光客が平日休日問わず訪れています。
- バラエティ豊かな飲食店が数多く揃い、北海道ならではの海鮮や焼肉、ラーメン、クラフトビールなど、グルメ目当ての来場者も多数います。
- 球場の外周や周辺は公園や散策コースとして開放されており、ピクニックやペット連れの家族でも気軽に訪れることができます。
- 温泉やサウナ、ホテルを備えた複合型施設となっていて、観戦以外の目的でも宿泊客や日帰り客が増えています。
- TOWER11をはじめとするユニークな体験施設もあり、特別感と非日常感も魅力のひとつです。
入場無料エリアが多く設定されており、チケットがなくても球場の雰囲気や施設、その一部コンテンツを楽しむことができるのもポイントです。これにより「試合がなくても人が集まる」ボールパークが実現しています。
札幌ドーム時代からの大きな進化
札幌ドーム時代は、多くの試合日にしか集客が見込めず、「野球×イベント」以外の展開に限界がありました。エスコンフィールドへの移転によって、人の流れ自体が変化しました。
- アクセス面の工夫：北広島駅からシャトルバスや徒歩でアクセスできるほか、Fビレッジとして周辺開発も進み、地域一体で滞在型・体験型消費を促進しています。
- 混雑対策・安全対策：入場ゲートや場内整理についても細やかな運用がなされ、家族連れや子供も安心して利用できます。
- 経済波及効果：来場者の増加は地元飲食業、宿泊業、交通機関にも好影響。土産販売や地産食品の取り扱いも拡大し、地域経済の活性化に寄与しています。
「ガッポリ儲けが生まれる」理由〜新しい稼ぎ方を生み出したボールパーク経営とは
エスコンフィールドは、球場の「稼働率」だけではなく、場所自体の稼ぎ方を多角化した点が注目されています。入場料無料エリアを拡大したことで、近隣住民や観光客も身近に球場に親しみ、消費額は物販・飲食・体験型サービスに分散されています。
- グルメ・物販の充実：限定コラボグッズ、高級飲食店からファストフードまで幅広い選択肢。
- 宿泊・温浴・アクティビティ：スタジアム内ホテルや温泉施設の稼働も高く、特に観戦目的以外の層も取り込んでいます。
- 体験型イベント・ワークショップ：野球体験教室やアスレチック、キッズ向けのイベントなどを年間通して展開しています。
- オフィス・ワーケーション対応：施設内にはワーキングスペースも整備され、ビジネス目的の利用者も増加しています。
こうした多様な消費機会の創出により、野球の観戦収入に依存しない堅実な収益モデルを確立。経営面でも安定性を高めています。
鎌ケ谷からの挑戦精神が切り拓いた北海道のボールパーク文化
エスコンフィールドHOKKAIDOは「ボールパーク」という言葉の新たな解釈を日本に定着させた先駆的な存在ですが、その原点は育成拠点である鎌ケ谷スタジアムの実験的運用にあります。「ファンを増やすにはどうしたらよいか」「野球以外の価値を追求できないか」という挑戦が行われ、アクティビティ、ワークショップ、小規模イベントの積み重ねによって「行きたくなる場所」を追求してきた歴史が今、北海道に継承されているのです。
- 鎌ケ谷ではフェスやマルシェ型イベント、キッズ向け体験会など、多様な企画が実施され、「野球ファン以外の来場者」をとらえることに成功。
- この経験が、エスコンフィールドが提供する「滞在型エンターテイメント」の原点となっています。
スタッフは今なおチャレンジ精神を持ち続けており、Fビレッジ全体で「次の”楽しい”をつくる」取り組みが日々行われています。
「敵地」でも歓迎される交流と景色の新しさ
エスコンフィールドには、ビジター球団の遠征ファンも数多く訪れます。「すがすがしい敵地最終戦」と話題になるほど、アウェイファンへのおもてなしや交流も盛んで、都会とは異なる雄大な北海道のロケーションも大きな魅力です。
- 球場外周の開放的な雰囲気、山並みや森林公園と隣接した景観。
- 各球団ファン同士のイベントや限定コラボメニューなど、交流型の催しも積極展開。
- 道外からも「一度は訪ねてみたい」野球聖地として認知が高まっています。
2025年のシーズン日程と今後の動向
2025年もエスコンフィールドでは、多くの公式戦・オープン戦が開催されています。シーズンを通じて混雑が想定される一方、Fビレッジや北広島駅周辺では交通規制や混雑対策も強化。より多くの人々が安全に、気軽に楽しめる環境づくりが進みます。
- 試合日は特に多くの来場が見込まれ、地域の賑わいもピークに。
- 春夏秋冬それぞれのイベントや催しが日々企画され、年間を通じて常に新しい体験が待っています。
「野球の聖地」という枠を超えた、出会いと体験、そして経済と地域の活性化をもたらす場所として、エスコンフィールドHOKKAIDOは進化を続けています。
おわりに
エスコンフィールドHOKKAIDOは、野球観戦という一度きりの消費体験から、「また来たい」「家族で過ごしたい」「新しい発見がある」という継続的な来場動機を生み出し、地域の経済とコミュニティを力強く支えています。地方都市でのスポーツスタジアム運営モデルとして、大きな注目を浴びている理由はここにあります。今後も、利用者・地域・運営の三者がともに幸せになるボールパークの進化に期待が集まります。
