古代エジプトに触れる秋――下関市立美術館特別展「古代エジプト・ふしぎ発見!」レポート

はじめに――ナイルの秘密に誘われて

2025年9月9日、下関市立美術館で特別展「古代エジプト・ふしぎ発見!―ナイルの贈り物と秘められた物語―」がついに開幕しました。本展は、山口県下関市における秋の大きな文化イベントの一つ。会期は10月19日までです。
エジプト文明といえば、ギザのピラミッド、スフィンクス、ミイラ、そしてナイル川を思い浮かべる方も多いでしょう。今回の展示では、生活や宗教、死生観まで、壮大かつ奥深い古代エジプトの世界を、誰もが身近に体感できる仕掛けが随所に施されています。実際に、体験型展示や音声ガイド、さらには“夜活”としての夜間展示見学など、楽しみ方も多種多様。この記事では、各ニュースや公式資料を元に、特別展の特色をやさしく解説していきます。

展覧会の概要――時空を超えたエジプトの贈り物

  • 名称:古代エジプト・ふしぎ発見!―ナイルの贈り物と秘められた物語―
  • 会場:下関市立美術館(山口県下関市長府黒門東町1-1)
  • 期間:2025年9月9日(火)~10月19日(日)
  • 開館時間:9:30~17:00(最終入館は16:30)
  • 休館日:月曜(9/15、10/13は祝日開館)
  • 観覧料:一般1,400円(平日1,200円)、大学生1,200円(平日1,000円)
  • 共同主催:岡山市立オリエント美術館(7~8月は岡山展として開催)

本展は、約3,000年にわたる古代エジプト文明の歩みを、約280点の遺物や美術品で一望できる貴重な催しです。 明治時代に日本へ伝わったコレクションのほか、著名なエジプト考古学者・吉村作治氏によるアジア初の現地発掘プロジェクトの成果も展示され、研究者、学生、ファミリー層まで幅広い層の関心を集めています。

展示のみどころ――「暮らし」「信仰」「埋葬」から紐解くエジプト文明

  • 暮らし:

    かつてのナイル川流域で、人々がどのように暮らしていたのか。収穫や家族、衣食住にまつわる考古資料が並びます。実用的な日用品から装飾品まで、古代の「普通の生活」に触れられます。

  • 信仰:

    多神教の世界や神殿、美しい祭祀具、宗教的絵画・彫刻が紹介されています。現代日本ではなじみの薄い神々の物語も、初心者にわかりやすく解説されており、「なぜ死後の世界をこれほど重視したのか?」という疑問に答える展示構成です。

  • 埋葬:

    棺や副葬品、ミイラづくりの道具や手法、死者の書に代表される文書など、死後の生活への厳粛な願いと祈りが現代に伝わります。ミイラのレプリカも展示され、子どもたちの人気を集めています。

学びと体験――五感で楽しむ「古代エジプト」

  • 香りやVRの融合展示:

    実際に会場では、ナイル川をイメージした香りが漂い、没入感を高めてくれます。さらには、最先端のVR(バーチャルリアリティ)で当時の神殿や都市を「歩く」体験ができ、子どもから大人まで夢中になれる仕掛けが満載です。

  • ナイトミュージアム(夜活):

    夜間の美術館で行われる「夜の展示作業」参加プログラムも注目です。「夜の美術館はワクワクする」と好評で、スタッフとともに展示作品の管理や清掃を体験しつつ、閉館後のアート空間を独り占めできる人気イベントとなっています。

開幕式――市民と共有する感動

展示初日には、長府幼稚園の年長児によるタイトル看板除幕や歌の披露があり、和やかな雰囲気で幕が開きました。美術館は「地域とアートの架け橋」として、来館者が展示をより深く理解し、親しみをもてる空間づくりに努めています。

関連イベント・ショップ情報

  • 特製図録の販売:

    A4変形判・96ページの豪華なカラー図録(1,900円・税込み)が販売中。作品解説や論考のほか、特別寄稿として吉村作治氏のエジプト考古学史のエッセイも収録。家で展示の余韻に浸りたい方におすすめです。

  • 音声ガイドサービス:

    初めての方にもエジプトの魅力が伝わるよう、やさしい言葉と図を用いたガイド解説でサポートされます。小学生向けのわかりやすいナレーションも。

同時期開催:昭和の「エジプト柄ブーム」再発見

下関展の開催と前後して、古代オリエント博物館では「昭和 エジプト柄ブーム」を振り返る特別展も開催中です。昭和時代、オリエンタルなデザインが日本で大流行した背景や、市民の日常に溶け込んだエジプトモチーフの家具、衣類、陶器が紹介され、暮らしと歴史の“橋渡し”としてのエジプトの芸術性が改めて評価されています。

子どもも大人も楽しめる学びの場

今回の特別展は、単に美しい遺物を眺めるだけでなく、子どもの好奇心を刺激し、家族での「学びの時間」を作りやすい内容です。市内学校との連携による見学会も盛況で、世代を超えた交流の場となっている点も見逃せません。

まとめ――日本に広がるエジプトの魅力

下関市立美術館で開催中の「古代エジプト・ふしぎ発見!」は、エジプト文明への窓を日本中に開いてくれるまたとない機会です。日々の暮らしから来世への思いまで、人類共通のテーマに迫る展示は、多くの来場者にとって新鮮な発見と感動を与えています。
秋の一日、遥か異国に思いを馳せながら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

参考元