メタプラネットの株価続落――ビットコイン戦略で揺れる投資家心理
2025年9月9日、ビットコインを積極的に保有する戦略で知られる株式会社メタプラネット(証券コード:3350)の株価が続落し、一時700円を割り込む展開となりました。ここでは、直近の株価動向、ビットコイン追加購入と市場の評価、さらには直近の定款変更が投資家心理や株価に及ぼしている影響について、最新の情報をもとにやさしくわかりやすく解説します。
メタプラネットとは?
メタプラネットは、東京都内を拠点とする上場企業で、近年はビットコインの長期保有(いわゆる「ビットコイントレジャリー戦略」)を軸に、企業価値の向上を狙う独自の経営方針で注目を集めています。この方針は「日本版マイクロストラテジー」とも称されています。
- 証券コード:3350
- 主な事業:ビットコイン等仮想通貨の保有・運用/関連事業
- 近年の特色:ビットコインの大規模保有・追加購入を公表
株価の動向:なぜ下落が続いているのか
2025年に入り、メタプラネットの株価は一時1,930円まで上昇しましたが、その後大きく下落し、9月9日時点では約680円、場合によっては600円割れが視野に入る状況となりました。この動きの要因は以下のとおりです。
- ビットコイン追加購入発表にも関わらず株価下落:直近で同社は約136BTC(約1,520万ドル相当)を追加購入したと公表しましたが、市場の反応は冷ややかで、株価は前日比9.97%安の614円まで下げる場面もありました。
- 急激なビットコイン戦略拡大とリスク懸念:同社のBTC保有目標はわずか数か月で1万BTCから3万BTC、そして2026年には10万BTCへと大幅な上方修正が行われました。積極的な戦略には期待と同時にリスク懸念も高まっています。
- 直近の株主感情と市場の見方:株価掲示板では、「日本の去年までボロボロの会社が3.8億円を引き受けてもらえた事は奇跡」といった声や、「600円台では買いにくい」「業績・ビットコインの成長に期待」といった賛否の投稿が見られます。
ビットコイントレジャリー戦略の現状と評価
メタプラネットは、2025年の目標だった1万BTCの3倍、3万BTCの保有を目指すとしています。追加取得したBTCも含め、67%が進捗し、2026年の10万BTC達成に向けて着実に歩みを進めています。この規模は、世界の上場企業の中でも有数のビットコイン保有水準です。
強気なビットコイン市場シナリオを前提にすると、大きな評価益とともに同社の企業価値が再評価される余地はあるものの、現時点での株価は追加購入発表後も思ったほど反発していません。背景にはドル建て平均購入価格が約11万ドルという高値圏であること、仮想通貨価格の大きな変動リスク、また急速な保有拡大政策に対する市場心理の慎重姿勢があると見られます。
定款変更承認と株価への影響
2025年9月には定款変更が承認されました。これを受けて一時株価が上昇した局面もありましたが、全体的な下落トレンドを転換するまでには至っていません。定款変更の内容は、「ビットコイン関連事業への本格進出を鮮明にするための規定整備」と解説されており、経営の意思を内外に明確に示す好材料ととらえられています。
一方で、「実態経営の変革がなければ単なる書面上の変更にすぎない」「定款変更だけで株価上昇が定着するかは疑問」といった冷静な声も多く見られます。
直近の決算内容と成長指標
2025年8月13日に発表された決算によれば、売上高は前年同期比1,156.0%増となる21.16億円、営業利益は14.09億円と大幅改善を見せています。ビットコイン評価益が100.35億円にのぼり、経常利益も大幅増となりました。総資産も2,382.14億円と大きく拡大しており、企業規模の拡大が確認されています。
この決算は、「ビットコイントレジャリー企業」としてのメタプラネットの成長性を数値で示す好材料となりましたが、株価は決算内容だけでは上昇しきれず、やはり市場心理や仮想通貨市況、さらには今後の財務戦略への慎重な姿勢が株価形成に強く影響していると考えられます。
証券アナリストの予想と期待値
2025年9月9日現在、プロの証券アナリストによる株価目標は2,400円(現在値から+1,786円、約290%上昇予想)となっています。アナリスト評価は「強気買い」で、今後の回復や上昇を見込む声も残っています。ただし、この予想は企業が今の計画通りに成長できた場合や、市場環境が好転した場合など一定の前提条件に依存しています。
投資家の反応と今後のポイント
掲示板をはじめとする投資家の間では、ビットコイン価格が含み益として株価評価に直結する一方、株式の増発による希薄化懸念や、過去の経営体質からくる不信も根強い状況です。今後の注目ポイントは次のとおりです。
- ビットコイン価格の動向(保有BTC相当額の算定や評価益)
- 経営陣による投資家向け説明やIR対応の質
- 新たな資金調達や事業提携、グローバル展開の動き
- 定款変更を受けた実際の事業強化や収益源の多角化
まとめ
メタプラネットは、ビットコイン保有戦略で日本の上場企業の中で異彩を放つ存在となりました。追加購入や定款変更と前向きな材料が続く一方、それに見合った株価の持続的上昇が得られていない現状では、投資家心理は強気と慎重の間で揺れ動いています。今後も、ビットコイン市場と密接に連動するボラティリティの高い銘柄として、市場参加者から注目が集まり続けるでしょう。