田中貴金属の金価格が史上初の「1万9000円」突破!今なぜ高騰?背景と今後の展望をやさしく解説
2025年9月、田中貴金属の金価格が1グラム「1万9000円」を初突破
2025年9月9日、田中貴金属の店頭金小売価格は史上初めて1グラムあたり19,027円に達し、前日比112円高という記録的な高騰を記録しました。買取価格も18,836円と、いずれも前人未踏の数字です。これは金を金融資産として保有していた個人・企業のみならず、一般家庭にも大きなインパクトを与えています。
この値動きは50年前の1973年の最高価格1,160円と比較しておよそ16倍、2000年頃の1,000円前後からみれば実に約19倍にもなります。近年の上昇ペースも著しく、2023年の最高値9,935円からわずか2年足らずで倍増したことになります。
いま金価格がここまで上昇する「背景」
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世界経済の不透明感と地政学リスク
米中の貿易摩擦激化や各地の地政学リスク、直近では米国の利下げ観測などが金への資金流入を後押ししています。ドルの価値がやや下落傾向にあり、現物資産である金は「有事の安全資産」としていっそう注目が集まっています。 -
米国利下げ観測とグローバルなマネーフローの変動
2025年夏以降、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに向かうとの予測が優勢になっています。米ドル金利が下がればドル建て資産の魅力が減少するため、グローバル資金が金に集まる傾向になります。実際、NYやロンドン市場の先物・現物価格も連日過去最高値を更新し、ロンドン現物価格は初の3,600ドル台を記録しました(年初来で1,000ドル超上昇)という大きな動きが背景にあります。 -
円安傾向とインフレ懸念
日本円は対ドルで円安傾向にあり、加えて日本国内でも物価上昇=インフレ基調が続いています。このため、金価格は諸外国の動向だけでなく為替の影響も受け、より上昇しやすくなっています。 -
工業用途としての需要の増大
スマートフォンやパソコン、電気自動車といった先端機器の普及により、金メッキや高精度電子部品としての金需要が安定的に増加しています。
もし1年前(2024年9月)に100グラムの金を購入していたら…
2024年9月の田中貴金属の店頭金価格は約9,900円前後だったと推測されます。
仮にこの時期に100グラム購入していた場合、その取得金額は99万円となります。2025年9月9日現在の1グラム19,027円で売却できれば売却額は1,902,700円に達します。
- 1年前:100g × 9,900円=990,000円
- 現在:100g × 19,027円=1,902,700円
- 差額:1,902,700円 − 990,000円=912,700円(約92%増)
この1年だけで資産がほぼ倍増した計算となり、金が資産防衛のために有効であることが改めて注目されています。
長期推移からみる金の資産価値と安全性
年 | 最高値(1g) | 最低値(1g) | 平均値(1g) |
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2025年 | 19,027円(9月) | 17,809円(9月) | 18,430円(9月平均) |
2023年 | 9,935円 | 7,909円 | 8,834円 |
2020年 | 7,063円 | 5,214円 | 6,122円 |
2015年 | 4,985円 | 4,184円 | 4,564円 |
2000年 | 1,140円 | 961円 | 1,014円 |
このように、金価格は長期的には右肩上がりで推移している事実が明らかです。世界的な経済危機や通貨価値の下落、インフレ、不安定な金融状況が続く限り、金への信認は揺らぎません。極端な乱高下はあるものの、長い目で見れば資産保全・分散に有効であったことは数字が証明しています。
田中貴金属とは?老舗の信頼と日本における役割
田中貴金属工業は、日本を代表する貴金属メーカーであり、金売買の指標価格を発信する存在として広く知られています。国内外の金地金・プラチナ・銀などの相場商品売買で基準となる価格を毎営業日公表し、地金取引の信頼性を支え続けています。
日本国内でもっとも大きな金投資家層を抱えており、店舗現地での小売・買取サービスやオンラインでの取引も人気。地金やコイン投資、ジュエリーなど形態も幅広く、生活者から投資家まで多岐にわたる場面で利用されています。
金価格の今後の見通しと注意点
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今後さらに上昇する可能性も
金価格は今後も米金融政策や地政学リスク、為替動向に大きく左右されることになります。現時点で目先の「2万円突破」も現実味を持って語られていますが、急な価格変動や政府の金融政策次第で短期的な調整もありえます。 -
「現物」資産としてのリスク分散
金地金は株や不動産、預金と違い、「現物」資産ゆえの世界中どこでも価値を有しやすいという特性も。グローバルな経済危機にも強い反面、価格変動によるリスク、手数料や税制など留意点も多いためバランス良い資産運用が大切です。 -
購入・売却時は「スプレッド(手数料差)」に注意
田中貴金属など正規販売店では、店頭小売価格と買取価格に一定幅(差=スプレッド)があり、売買のタイミング・市場動向によって実際の利益が左右されます。また購入・売却の際には各社の取り扱いルールや手数料体系も確認しましょう。
まとめ:「金」資産はいま新たな注目の的に
2025年9月9日、田中貴金属の金価格が1gで史上最高の19,027円を達成し、日本だけでなく世界の関心を集めています。不安定な経済情勢を背景に、安全資産としての金の人気はいっそう高まり、今後しばらくはその動きから目が離せません。
金は「インフレ」「円安」「有事」など複数のリスクから資産を守るための重要な役割を担い続けています。これから金投資を検討する方も、長期的な視点で無理のない運用を心がけてください。