ついに「アンパンマン」誕生の瞬間へ――NHK連続テレビ小説「あんぱん」第116回の深掘り特集
2025年9月8日、NHK連続テレビ小説「あんぱん」第116回が放送されました。今田美桜さん主演、そして北村匠海さんも主要キャストとして出演するこの作品は、日本の国民的キャラクター「アンパンマン」の誕生に至るまでの日々を情感豊かに描き続けています。この回では、23週に及ぶストーリーの集大成として、“まだアンパンマンではないヒーロー”がついに動き出す、その節目が描かれました。
「あんぱん」とは――アンパンマン誕生の背景に迫る
「あんぱん」は、マンガ家・絵本作家やなせたかしさん(1919年~2013年)と、彼のパートナーである暢さん(1918年~1993年)夫妻をモデルとした愛と勇気の物語です。作品を通して、「何者でもなかった二人が、あらゆる困難を乗り越え“逆転しない正義”を形にした」過程を描きます。この正義の象徴こそが、国民的ヒーローとなる「アンパンマン」です。アンパンマンが生まれるまでの創作の苦悩や葛藤、喜び、そのすべてが「あんぱん」で丹念に表現されています。
第116回「23週かけてようやくここへ。まだ“アンパンマン”じゃないヒーローが動き出した」
- 嵩(北村匠海)は“おじさんアンパンマン”の絵を再び描き始める
- 物語はほぼ完成段階に
- のぶ(今田美桜)が嵩の話に耳を傾ける重要な場面
- 手嶌治虫(眞栄田郷敦)の映画のキャラクターデザインを依頼される嵩
- のぶがおじさんアンパンマンに語りかける印象的なワンシーン
この回はテーマ全体を貫く「勇気」や「愛」といった要素が特に印象的に表れています。嵩が描く“おじさんアンパンマン”の存在は、まだ完成していないがゆえのもどかしさと、誕生前夜の高揚が交錯します。視聴者としても今後どのようにして「国民的ヒーロー」が生まれるのか、期待感を持って見守る流れです。
視聴者を惹きつけた名場面――注目度が最高値に!
REVISIO社による関東地区速報値によると、第116回で最も視聴者の注目度が高まったのは午前8時4分で69.7%という驚異的な数字を記録しました。朝ドラとしても極めて高い数値で、物語の佳境にふさわしい盛り上がりを見せたことがうかがえます。
「アンパンマン」はなぜ愛され続けるのか――正義の意味を問い直す物語
本作の中心となるテーマのひとつに、正義の本質への問いがあります。「逆転しない正義」「傷ついても必ず立ち上がるヒーロー」たるアンパンマンの描写は、単純な勧善懲悪に収まらない、本当の意味での人間性と立ち直る力を私たちに見せてくれます。
また、嵩が描く“おじさんアンパンマン”は当初、「全身がパンでできている」という設定や、傷ついても決して死なない、不条理にも思える存在として描かれています。しかし、それはやなせたかし自身の「人は完全ではないが、それでも立ち上がり続ける」という人生観、また社会に求められる優しさや勇気を象徴しています。
同時に、第116回で描かれる“撃たれても死なないアンパンマン”の奇妙さや、「なぜ死なないの?」と問わないのぶの態度にも視聴者から疑問が寄せられています。この感情の揺れや葛藤は、「正義とは何か」を私たちに改めて考えさせるものであり、創作の原点ともいえる部分です。
「あんぱん」のこれまでとこれから――アンパンマン誕生までの軌跡
- 戦争と平和、飢餓と満たされることなど、やなせ夫妻の人生経験を丁寧に描写
- 平凡な日常に勇気や希望を見出し、小さな幸せを大切にする暖かい物語
- 嵩の葛藤や世間との戦い、家族や仲間との絆の中で深めていく創作哲学
- 「アンパンマン」という発想自体に至るまでの時代や社会背景の描写
これまでも「あんぱん」では、やなせたかしと暢夫妻が社会の荒波に揉まれ、時として絶望し、時として心温まる人情に支えられる様子が細やかに綴られてきました。戦争や貧困、敗戦直後の混沌と不安、そして小さな幸せへの希求――彼らが生み出す「アンパンマン」は、まさに時代と人の波に揉まれて育ったキャラクターです。
次回への期待――手嶌治虫が持ち込む「ある提案」とは
9月9日放送予定の第117回では、手嶌治虫からいただく「お礼」として、“ある提案”が嵩に持ちかけられることが予告されています。これは映画『千夜一夜物語』の成功を受けての展開であり、ここから「アンパンマン」誕生のラストピースがはまることへの期待が高まります。
物語はまだ“アンパンマン”ではない存在を描きつつも、次回以降でいよいよ「アンパンマン」として世の中に飛び立つ瞬間が描かれることでしょう。
社会現象としての「アンパンマン」――放送の反響とその意義
第116回放送後には、SNSやネット上で大きな反響が広がっています。視聴者は「ヒーローが生まれる前夜の不安と期待」「今だからこそ響く“逆転しない正義”の物語」に多くのコメントを寄せています。
この朝ドラは創作の過程や人生の困難、そして“名もなき人々”の力強さを大切に描写しており、あらためてアンパンマンが単なるキャラクターを超えた存在であることを感じさせてくれます。
まとめ:「アンパンマン」の生まれる瞬間を見届けて
NHK連続テレビ小説「あんぱん」第116回は、やなせたかしの人生と「アンパンマン」という不朽のキャラクターの始まりを、愛と勇気、試練と希望をもって描き切った回となりました。次回以降、“誰もが知っているヒーロー”が生まれる奇跡の瞬間に、全国の視聴者が立ち合うことになります。
困難に立ち向かうすべての人に向けて、この物語が持つ意味はますます大きくなっていくことでしょう。