岐南町で前町長が町議選に当選――99件のセクハラ認定から再び政治の舞台へ
2025年9月7日、岐阜県羽島郡岐南町で行われた町議会議員選挙において、かつて99件に及ぶセクハラ行為を認定され辞職した小島英雄前町長(75)が、2位で当選を果たしました。岐南町にとって、本件は町政と地域社会に大きな波紋を投げかけています。この記事では、今回の選挙の経緯や背景、町民や関係者の声、今後の岐南町の課題などをわかりやすく解説します。
選挙の概要と小島英雄氏の経歴
- 投開票日:2025年9月7日
- 議席数:10
- 立候補者数:16名
- 当選者内訳:現職7人、元職1人、新人2人
- 小島氏の獲得票:908票で2位当選
- 投票率:41.48%(前回より16.15ポイント減)
- 小島英雄氏:8回目の当選、無所属
小島英雄氏は町長として長年岐南町の発展に尽力してきましたが、2024年に第三者委員会による調査で少なくとも99件の女性職員らへのセクシュアルハラスメントが認定され、責任を取り辞職しました。今回の町議選での当選は、同氏にとって政治再起の舞台となります。
セクハラ認定と辞職の経緯
2024年、岐南町役場の第三者委員会は、長期にわたり複数の女性職員に対し、尻を触るなど明確なセクシュアルハラスメント行為が繰り返されていたことを認定しました。その件数は少なくとも99件。この認定を受けて、小島氏は町長職を辞任し、社会からの強い批判を浴びました。
今回の町議選出馬について、小島氏は「これまで一生懸命やってきた努力を住民の方々が認めてくれた」と述べ、町民への感謝の言葉を語っています。ただし、セクハラ問題へのコメントはありませんでした。
選挙結果の詳細と町民の反応
- 立候補者16名のうち、現職7名、新人2名、元職1名(小島氏)で当選
- 無所属が9名、公明党が1名
- 投票率41.48%で低調
- 当日有権者数:20,800人
小島氏の当選について、町民からは「町政への貢献は認めるが、セクハラ問題はやはり許されることではない」「悩んだけど、町のことを考え入れてしまった」「正直、複雑」といった声が多く聞かれます。
再選の背景にある民意とは
これほど重大な不適切行為を認定された人物が、なぜ再び有権者の支持を得たのでしょうか。専門家の分析やメディア報道、市民の意識調査から、以下の要因が読み取れます。
- 長年の実績:小島氏は長年町長として、地域のさまざまな課題解決やインフラ整備、福祉政策などに携わり、一定の評価を受けてきました。
- 地域に根差した人脈:小規模自治体特有の密な人間関係やネットワークが、票の基盤を築いています。
- 選択肢の少なさ:候補者を十分に比較検討する時間や機会がなかったという指摘もあり、知名度の高い小島氏が有利になりました。
- 町民の葛藤:セクハラ問題を重く見る声と、「実務ができる人」に期待する声とが交錯しています。
一方で、「セクハラを許容する民意が示された」との懸念や、全国的な注目を集めることへの戸惑いの声もあり、地域社会の葛藤が浮き彫りとなっています。
町政と地域社会への今後の影響
今回の選挙結果は、岐南町だけでなく、全国の地方自治体にとっても大きな課題を突きつけました。特に、以下の点が今後問われます。
- ハラスメントへの対策:町政や公的組織におけるハラスメント防止体制の強化、第三者による継続的な監査の必要性。
- 政治倫理と説明責任:公職者としての説明責任、再発防止策の徹底。
- 住民の意識変化:町民の価値観や政治参加意識の変化、世代間の意見の違い。
- 全国への波及効果:本件が全国の地方選挙や公職者の倫理観にどのような影響を与えるか。
セクハラや不適切行為をめぐる社会的意識は近年大きく変化しています。小島氏の再選は、町の未来や公共の福祉、職場環境の安全性をどう守るのか、町民一人ひとりが問われているとも言えます。
再スタートを切る岐南町――今後の展望
小島英雄氏は「新しい岐南町を作っていきたい」と語りましたが、町民の一部からは「今回の当選はやり直しのチャンスではあるが、過去の行為の説明と償いを尽くし、町政への信頼回復に努めるべき」との厳しい意見が寄せられています。
今後は新たな議会構成員のもと、「町民の安全と信頼をいかに取り戻すか」が最大の焦点となるでしょう。同時に、町政の透明性と説明責任、ハラスメント根絶のための実効性ある対策が急務です。
- 選挙管理委員会や第三者委員会による継続的なモニタリングや情報公開
- 町職員への支援、被害者へのケア体制の構築
- 政治倫理研修や町民参加のワークショップを通じた意識啓発
岐南町のこれからは、町民一人ひとりの意識と行動によって大きく変わるはずです。地域社会全体で課題を共有し、開かれた議論と協働によって「新しい岐南町」を築けるかどうか、その歩みが全国から注目されています。
まとめ
岐阜県岐南町での町議選において、過去にセクハラで辞職した前町長、小島英雄氏が再び当選しました。これは町政や地域社会に重大な課題と波紋を投げかける出来事です。町民の選択、その背景にある多様な民意、そして今後町政に課される説明責任と倫理的課題について、岐南町のみならず全国レベルで改めて考え、行動すべき大きな転機となりました。