ASML、UBSの買い推奨で株価急上昇――半導体業界の期待と投資家心理の変化

2025年9月7日、世界の半導体製造装置市場を牽引するASMLホールディングは、欧州証券取引所(Damrak)で株価が顕著に上昇しました。UBSがASMLの投資判断を「中立」から「買い」へ引き上げたうえ、目標株価も660ユーロから750ユーロへ上方修正したことで、市場に強いインパクトを与えています。
この動きは投資家心理に大きな影響を与え、ニューヨーク市場の開場時にも大手チップ関連銘柄の買いが活発化するなど、世界のチップファンド(半導体関連株)が恩恵を受ける形となりました。

UBSの投資判断変更がもたらす市場への影響

  • UBSは「中立」から「買い」に格上げ
  • 目標株価は660ユーロ→750ユーロ
  • ASML株価は欧州取引所(Damrak)で上昇、半導体セクター全体にも波及効果
  • アメリカでもチップ関連銘柄の投資が活発化、新たな強気ムード

UBSの格上げ理由としては、ASMLの技術力と市場独占的地位、そして今後数年にわたる半導体需要の本格的な回復期待が挙げられます。特にEUV(極端紫外線露光装置)技術で世界シェアを独占する同社は、AIやIoT、自動運転分野など次世代半導体の開発競争にも不可欠な存在です。

ASMLの事業概要と2025年第1四半期決算

2025年第1四半期、ASMLは売上高77億ユーロ、純利益24億ユーロと堅調な業績を示しました。EUV装置の売上は32億ユーロ、従来型(non-EUV)装置でも25億ユーロを計上し、市場ガイダンスに沿った安定した成長を堅持しています。

  • 売上高:77億ユーロ
  • 純利益:24億ユーロ(売上の30.4%)
  • EUV装置売上:32億ユーロ、non-EUV装置:25億ユーロ
  • 実効税率:16.7%(通年予想は約17%)

EUV技術の進化は顧客企業(TSMC、インテル、サムスンなど)にとって未曾有のパフォーマンス向上をもたらし、ASMLの最先端モデル「3800」は従来機種「3600」より30%高速化を達成していることも明らかになりました。
これらの成果から、ASMLは今後も顧客との協業を通じ最先端技術の成長を牽引するとの期待が高まっています。

投資家の見通しと議論―短期的な懸念と長期的な成長ポテンシャル

一方でASMLは、中国など一部市場での設備投資鈍化懸念や短期的な業績圧迫要因も抱えています。ドイツ銀行やBofA証券は中国向け売上減少を理由に目標株価を下方修正しつつも、投資判断「買い」を据え置いています。
こうした背景から「株価急落直後はエントリーポイント」と見る投資家も多く、長期志向の投資家にとって今が新規投資の好機という声があがっています。
市場全体の調整局面においても、ASMLの技術的優位と旺盛な需要を背景に、中長期的なポテンシャルは高く評価され続けています。

  • 中国向け売上の減少予測(〜22%減)
  • 目標株価引き下げ例も一部あり(ドイツ銀行・BofA証券)
  • 「今こそ長期投資の好機」とのアナリスト評価
  • AIセクター本格参入による今後の市場成長期待

コミュニティの具体的な投資スタンス―ドルコスト平均法・長期保有へのアプローチ

ASML株は歴史的にも高価であり、投資家の間ではドルコスト平均法を活用しつつ、下落局面で追加投資を行うアプローチが推奨されています。テクノロジー市場の変動が激しい中で、AIセクターの成長が価格にどのように影響するか注目を集めていますが、過度な悲観は不要との見方も多く、積極的な投資姿勢が議論されています。

  • ASML株は市場最高水準のバリュエーションだが、調整時の買い増しが推奨
  • AIセクターの本格成長は今後の株価の下支え要因
  • 短期的な調整にとどまらず、長期でのリターンが期待される

サステナビリティとESG視点から見たASML――UBSファンドによる組み入れ状況

環境・社会・ガバナンス(ESG)重視の投資が国際的に拡大する中、ASMLはUBS MSCI先進国ESG株式インデックス・ファンドの主要銘柄に組み入れられています。半導体製造分野の省エネルギー化や持続可能なイノベーションが注目され、グローバル資金がASMLのような先進企業に集まりやすい傾向も明確です。

  • ESG評価の高い先進国企業としてファンドに組み入れ
  • 環境負荷低減・社会貢献・ガバナンス面でも高評価
  • 国際的な資金流入による株価の下支え効果も期待

今後の展望――ASMLが牽引する半導体産業の未来

ASMLは今後も最先端半導体技術のリーダーとして、グローバルな顧客基盤と革新力によって市場成長を牽引していく見込みです。UBSの強気判断が示すように、投資家を惹きつける持続的成長力と世界的な産業インフラを支える役割は今後も不変です。
一方で、中国や地政学リスク、競争環境など新たな不確定要素も存在しますが、ASMLは研究開発・技術革新力と広範なパートナーシップを活用しながら、安定した事業運営と株主価値の最大化を目指していくでしょう。

まとめ:ASMLの躍進―投資家にとって今が新たなチャンス

今後の半導体メーカー・投資家双方にとって、ASMLの動向は世界経済とテクノロジー革新の未来を占う重要な指標となります。UBSが「買い」へ判断転換したことで株価が上昇したように、最新技術・事業モデル・サステナビリティのいずれもがグローバル市場からの期待に応える価値ある存在であると言えるでしょう。

参考元