楽天ふるさと納税をめぐる最新動向 ― ポイント付与禁止がもたらす制度変革とその影響

ふるさと納税は数年来、地域応援の新しいかたちとして注目を集めてきました。特に楽天ふるさと納税をはじめとする仲介サイトは、寄付に加えポイント還元の仕組みで多くの利用者の支持を得てきました。しかし、2025年10月、総務省による制度改正でこうした仲介サイトを通じたポイント付与が全面的に禁止されることになり、大きな転換期を迎えています。

ふるさと納税制度の歴史と「ポイント還元」流行の背景

2008年にスタートしたふるさと納税は、寄付金の一部が住民の希望する自治体に直接届き、地域活性化や特色ある返礼品が受け取れることで広まりました。仲介サイトの登場で、手軽に申込できるだけでなく、楽天ポイントや「Yahoo!ふるさと納税」の特典、また独自のコイン還元やキャンペーンを介して、寄付者は実質的に「買い物」の感覚でふるさと納税ができるようになりました。

  • 寄付額に応じてポイントが付与される
  • ポイントは自分の生活に再利用可能
  • サイト独自やクレジットカードのサービスも充実

こうしたお得感が後押しし、サイト間のポイント競争も激化。期間限定の「ポイント2倍」「3倍キャンペーン」や「スーパーSALE」といったイベントも利用者増加の一因となっています。

2025年10月 制度改正の詳細 ― なぜポイント付与が禁止されるのか

2024年6月、総務省は「過度なポイント競争が本来の制度趣旨(自治体を応援し地域活性化に資する寄付)から逸脱している」とし、実質的な「ポイント還元型ふるさと納税」を禁止する制度見直しを発表しました。2025年10月1日からは以下のようになります。

  • 仲介サイト(楽天ふるさと納税、さとふる、ふるさとチョイス等)は寄付に対するポイント付与を全面禁止
  • ポイントサイト(モッピー、ハピタス等)経由のポイント還元も禁止
  • 自治体はポータルサイトによる利用者獲得競争を行えない

この改正により、寄付者の「お得感」は減少しますが、返礼品は引き続き受け取れます。サイト運営各社は、「民間原資のポイントまで禁止するのはやりすぎだ」と強く反発、楽天グループなどは告示無効を求める裁判も起こしていますが、2025年10月のポイント禁止は予定通り実施される見通しです。

寄付者・自治体・仲介サイトへの影響

  • 寄付者:ポイント廃止の混乱や困惑が広がっています。今までは「実質負担2,000円」+ポイント還元でさらにメリットがありました。しかし今後は、お得を最大化するなら「9月末までの駆け込み寄付」が推奨されています。
  • 自治体:泉佐野市をはじめ、「生活困窮者支援」や「限定返礼品」の独自施策で制度改正に対する対応力を示しています。実際、「もうええで省」限定泉州タオル1万枚配布キャンペーンなど、新たなアプローチに注目が集まっています(PR TIMESより)。
  • 仲介サイト:比較サービスや限定返礼品の充実を図るなど、「ポイント以外の付加価値」が重要に。ポータルサイトの利便性、返礼品の魅力が今後の競争軸となりそうです。

ポイント禁止後のふるさと納税 ― どう変わる?何を選ぶべき?

10月以降、仲介サイトのポイントはゼロになりますが、クレジットカード会社のポイントやマイルは規制対象外です。よって、寄付の際にはカードのキャンペーン利用が賢い選択となります。

  • 自治体への直接寄付(制度本来の趣旨へ回帰)
  • 返礼品の比較、限定返礼品狙い
  • 寄付手続きの簡易性やアフターサービスも今後重要
  • ブランド米など人気返礼品情報もサイトごとに充実

また、各サイトでは「駆け込み寄付」「駆け込み特典」「限定返礼品キャンペーン」といった9月末までの集客施策が相次ぎ展開されています。米や肉などの「全国ブランド米MAP」特設ページも公開され、お得に自治体応援をしたい方は最後の機会に注目が集まっています。

生活者の困惑と自治体・メディアの対応

ポイント禁止への戸惑いは生活者にも広がっています。「私も困ってました」といった声や、今後の返礼品選び・寄付タイミングで悩む方が増えています。自治体では、「泉佐野市の限定泉州タオル配布」「生活困窮者の声を反映した独自キャンペーン」など、制度改正後にも利用者を支援する動きが見られます。

  • 9月末までに寄付を済ませるべきか迷う人が増加
  • ポイント廃止後も自治体オリジナル返礼品でつなぎとめを図る動向
  • メディアや比較サイトも「今どきのふるさと納税の選び方」特集を強化

今後の展望と利用者へのアドバイス

ポイントでのお得感は確実に減りますが、地域応援・サービス利用の選択肢は依然豊富です。仲介サイトでは

  • 限定返礼品やわかりやすい比較機能
  • 寄付手続きの利便性など使い勝手向上の動き
  • 寄付額に応じた自治体による特別企画も注目

各自治体の公式サイトやポータルサービスも、返礼品の内容や最新キャンペーンを随時更新中です。生活者としては、「ポイントがあるうちに、寄付を済ませておく」「10月以降は返礼品や利便性で選ぶ」など、ライフスタイルや応援したい地域に合わせた利用が大切になってきます。

まとめ:ふるさと納税制度の“新たなステージ”へ

2025年10月から始まる楽天をはじめとした仲介サイトのポイント禁止。一見「損」と感じるかもしれませんが、制度本来の意義である地域応援・多様な返礼品の魅力は変わりません。制度が成熟し、新たな競争やサービス展開が始まる中、自分らしいふるさと納税のかたちを見つけることが、これからの“新しいふるさと納税”の楽しみ方です。

この制度改正がより健全なふるさと応援に繋がることを願いつつ、賢く納税し、地域とともに暮らしを彩る未来を選んでいきましょう。

参考元