因島総合病院に感謝を込めて――水軍まつり有終の小早レースが開催へ
2025年8月31日、広島県尾道市因島で行われる「2025因島水軍まつり・海まつり」は、例年以上に地域の感謝と期待が集まる特別な年となります。その理由は、地域医療を長年支えてきた因島総合病院が閉院を控えており、同病院職員によるラストランともいえる「小早レース」への参加がニュースとして注目を集めているからです。
地域に根付く因島総合病院――“ありがとう”を込めた最後の水軍レース
因島総合病院は、島民の健やかな暮らしを長きにわたり支えてきた総合医療機関です。閉院の運びとなる2025年、病院職員たちは感謝の思いを込めて因島水軍まつり・小早レースへ参加します。
毎年地区・企業・団体がチームを組み、16名が一丸となって櫂をこぐこのレース。今年は特に、病院チームのラストチャレンジに激励の声援や、地域住民からの“これまでありがとう”の思いが一層強く寄せられています。
- 病院スタッフは数か月間、勤務の合間を縫って練習に励んできました
- 「みんなで力を合わせて最後の夏の思い出をつくりたい」と病院職員
- 地元住民からは「命を守ってくれてありがとう」の声が多数寄せられています
勇壮な伝統――村上水軍と小早レース
「因島水軍まつり」は、南北朝時代から戦国時代にかけて瀬戸内海を支配したと言われる村上水軍(村上海賊)の勇壮な歴史を現代に伝える因島最大の祭りです。祭りは毎年8月末から9月にかけて2部構成で開催され、多くの地元民や観光客でにぎわいます。
- 8月31日…『海まつり』:小早(こはや)レースや体験乗船
- 9月20日…『島火まつり』:武者行列や松明リレー、跳楽舞、花火打ち上げ
特に注目を集めるのが小早レース。これは村上水軍の伝令船として使われた「小早舟」を忠実に復元し、16名(櫂のこぎ手14名、舵取り1名、太鼓打ち1名)が約1~1.2kmのコースで速さを競う、手に汗握る熱戦です。
「小早」はその機動力とスピードで敵を翻弄し、時には救援や連絡の要を担った重要な船でした。因島の人々はこの小早に自ら乗り込み、村上水軍の知恵と団結力を今に伝えています。
今年の水軍まつりの見どころと詳細
- 開催日(海まつり・小早レース):2025年8月31日(日)8:15~14:30
- 開催場所:因島アメニティ公園・しまなみビーチ(広島県尾道市因島大浜町57)
- 体験小早:当日先着順・無料
- 小早レース:職場・団体・企業など多くのチームが参戦
- 尾道観光親善大使もゲスト参加
この日は小早レースだけでなく、気軽に参加できる体験乗船コーナーや、地元グルメの出店、音楽パフォーマンスなども用意され、島民も観光客も一体となって盛り上がります。
9月20日開催――炎と舞と絆の「島火まつり」
「水軍まつり」は、8月31日の「海まつり」に続き、9月20日には「島火まつり」が開催されます。夕方から夜にかけて、「村上水軍本陣入陣」や「水軍跳楽舞(すいぐんちょうらくまい)」の披露、巨大な松明を持った武者行列など、まるで戦国時代にタイムスリップしたかのような勇壮な光景が繰り広げられます。
クライマックスには、幻想的な花火が夜空を彩り、祭りの締めくくりを飾ります。
- 開催日(島火まつり):2025年9月20日(土)16:45~20:50
- 場所:因島アメニティ公園・しまなみビーチ
- 出演:尾道観光親善大使、三原やっさ踊り保存会、阿波おどりグループほか
今を生きる喜び、未来へ繋ぐ「人の和」
因島水軍まつりの根底には、村上水軍が遺した「天地人の教え」を学び、命のつながり、人の和を大切にしようという感謝の精神があります。海で生きる厳しさと、助け合って生き抜いてきた先人たちの知恵、温かさが詰まった因島の伝統です。
- 水軍まつりは、単なるお祭りではなく、「生きていること、生かされていることを皆で喜び合う」場です
- 村上水軍だけでなく、因島で生きたすべての先祖、支え合った人々全員に感謝を伝えます
- 今年は、因島総合病院のスタッフも「人の和」「感謝」に込める思いが例年以上に強い特別な年
地域の絆が深まる水軍まつりに、ぜひご参加を
因島水軍まつりは、毎年、島内外から何千人もの人々が訪れる因島最大のイベントです。
島内の子どもからお年寄りまで、世代を超えて参加し、初めての方でも温かく迎えてくれるアットホームな雰囲気も魅力です。
小早レースの迫力や体験乗船、夜の松明行列、幻想的な花火と、見どころ満載のイベントで、因島の歴史・文化・人の温かさを存分に味わえます。
- 交通アクセス:因島アメニティ公園までは尾道大橋経由が便利です
- 駐車場あり。詳しくは実行委員会へお問い合わせを
- 体験小早は先着順なので早めの来場がおすすめ
- 新型コロナウイルス感染症対策も実施されますので、会場の案内に従ってご来場ください
まとめ:地域医療と伝統文化、二つの絆が交差する夏
2025年の因島水軍まつりは、因島総合病院という「地域の命を守る砦」がその歴史に幕を下ろす記念の年となります。
この夏、小早レースに全力で漕ぎ出す病院スタッフの後ろ姿、島民が一丸となって応援する姿、そして村上水軍から受け継がれる「助け合い」の心が、何よりも心強いメッセージを私たちに届けてくれることでしょう。
因島の伝統と誇りを今に伝える水軍まつり――皆さんも、ぜひその瞬間を見届けに足を運んでみてはいかがでしょうか。